喉をゴクリと鳴らした正太郎は、まずローションボトルの蓋を開け、眞由美の尻の谷間へ粘液を垂らす。
「ぅ、ふ……っ!?」
ツツーッと尾てい骨の辺りから下まで伝うヌルつきに、眞由美の声音は慄くようだ。
青年を誘いはしたものの、心細さも大きいのだろう。しなやかな十指をことごとく曲げて、シーツにキュッと食い込ませだす。
そんな彼女を濡らし終えたら、正太郎はアナルビーズを持ち直した。リングがあるのとは反対の端を、ヒクつく排泄孔へあてがい、
「入れます……!」
どうにかそれだけ言って、眞由美が頷くのを待った。
コクリ──。
了解をもらえたので、比較的小さな一つ目の珠を、ツブッと肛門へ押し入れる。
「んあはっ!?」
眞由美は声を高くしたものの、菊座の方は思っていたよりスムーズに、人工の珠を飲み込んだ。
一応、圧力は大きいし、珠が通り抜けるや否や、針孔のような大きさへ戻りもする。
とはいえ、どこかこなれた雰囲気なのだ。
「あ、ぁっ……今のっ……一個目が、入っちゃったの、よね……っ!?」
「はいっ、続けて平気ですかっ?」
女探偵が首を縦に振るのを見ながら、正太郎はさっきのセリフを思い出した。
──身体の準備なら、ちょっとだけしてきたの──
多分、彼女は風呂でアヌスを解してきた。シャワーで温めたり、指で揉んだり。ひょっとしたら、他にも何かしたのかも。
美女に似合わぬ痴態を想像すると、血が沸き立ちそうだった。
もう質問は挟まない。珠を順に突っ込みだす。
「はっ……きひっ!? いっ!? ひぐぅううっ!?」
二人を濡らす汗は量を増し、入れる珠の直径によって、青年の指先への抵抗も変化した。
いかに解れかけとはいえ、異物を押し戻す感触は決してヤワくない。大きめの珠の番が来れば、押し込むのに結構な力が必要だ。
一回、また一回と、菊座も広がってから縮こまり、極小の穴からグロテスクな器物がニュッと生える眺めは、何とも言えず変態的だった。
そうして最後まで入れきったら、正太郎は問いかける。
「どうですか、眞由美さんっ……?」
「ん、あ……き、昨日とは、違う、かも……っ……!」
女探偵は答えるために意識を背後へ集中し、一層心を炙られてしまったらしい。落ち着きかけていたわななきを再び大きく変えて──、
「ァ……アレよりお腹がゴロゴロする感じで……! や、ぁっ!? もっと変なのぉおっ!」
語尾も妖しく高まった。
「分かりました……! 次は取ってみます!」
正太郎はリングへ指を掛け、さらなる慎重さで玩具を引きにかかった。
すると括約筋を擦り立て、グポッ、グポッと、珠が一つずつ出てくる。
菊門が大きくなったり窄んだりするのは、入れる時と一緒だが、今度は穴周りが何度も歪に持ち上がった。
「んぁあっ! で、出るっ! またっ、あンッ! またぁあっ!? どんどん出てるぅうっ!?」
亀の産卵を連想させられる変形ぶりだ。
そのまま全ての珠を抜き終えて、正太郎は己が無意識に息を止めていたことに気付く。
「ふぅうっ!」
忙しく呼吸した後は、ろくに動けない眞由美へ、またアナルビーズを挿入していった。
──どうやら一回目以上に、穴が柔らかくなってきたようだ。
眞由美もますます艶っぽく反応している。
「んぁああっ! ぁはうっ! しょ……たろ……くっ……ふやはぁっ!」
声音は愛くるしいし、尻は心持ち後ろへ差し出すし。
結局、最初の三分の二ぐらいの時間で、マニアックなアイテムは腸内へ収まった。となれば──。
正太郎も手に熱が入る。
「抜きますよ!」
「ひ、いっ! んきひぃっ!」
一つ目、二つ目、三つ目の珠と、亀の産卵ごっこは、どんどんハイペースになっていった。
そのまま四つ、五つ、六つ目の珠も。
「ひはっ、やっ……あ、あ、あぉおっ!? 出るっ、出てるぅううっ!?」
もはや菊門の収縮は、卑猥な珠を飴玉さながら、大喜びでしゃぶり転がすみたいだ。
そして七、八、九、十番目──!
「はひぃいっ! あっ、やっ、ぅぁああうっ! 出っ、ひゃぐぅううっ!?」
盛大に捲れてしまった肛門周りは、容赦なく摩擦され続け、眞由美は「出る」と言い切れないうちから、次の排泄感で滅多打ち。
こうなると、菊門も珠を出しきったのに、元へ戻れない。正太郎の眼前で、緩慢にすぼまろうとするものの、結局、ボールペンぐらい通せそうな緩さを残してしまう。
他の部分も激しく痙攣していた。手、肩、足──。どこも真っ赤で汗みずくだ。
そのくせ、息遣いには淫色が濃かった。
正太郎はアナルビーズをベッドに放り出し、人差し指を肛門へと添える。
「次は指を入れますっ!」
「ぁぅンっ……し、してぇっ!」
短い宣言には、短い返事。
これだけ聞ければ十分で、正太郎は愛撫を猛進させた。
締め付けはまだ残っていたが、指の鈍痛ごときで青年の気力は損なわれない。むしろ、攻撃的な締まりを、徐々に解していけるという征服欲が、グイグイと高まる。
「う、ぐ、く……ぉっ!」
腸内まで潜れば、窮屈さの代わりに体熱が待っていた。亜熱帯のようなそれも、指先を蠢かせて堪能だ。
「んはっ、硬いのっ……正太郎君の指ぃいっ! お尻をっ、つ、突き抜けへうぅううっ! この感じ……はうんっ! わたっ、しっ……好っ……きぃいいっ!」