女探偵眞由美の誘惑事件簿

彼女は限界まで身を反らし、すでに狭かった膣肉を収縮させた。イッている途中のペニスをさらに搾るのだ。

「う、ぁっ、ぁああぁああっ!? 私もイクのぉおっ! イクッ、またイクッ! イッ……くぁ、あはぁああっ!? くぁおぉぉおおほぉおぅうぅうくっ! ひうっうぅぅうっくぁああぁぉおおぉぁぁぁあああっ!」

アクメの絶叫を解き放ちながら、尚も急所を穿られることを願って、腰を捩る眞由美。

女探偵が肉欲の虜と成り果てたため、正太郎も射精している途中の屹立を、逞しく振り上げ続けた。指は硬直してしまい、ローターをクリトリスから離せない。

イッている途中から、もっと凄い絶頂感が溢れてきそうで──。

そんな法悦に脳を焼かれる、正太郎と眞由美だった。

「ぅ……た、ただいま……」

正太郎は門限ギリギリの時刻に、大学の寮へ戻った。

本当は眞由美と一晩過ごしたかったのだが、ルール違反を繰り返していたら、後で厄介なことになる。堅い進路を希望していたら尚更だ。

そして己の生活の場へ辿り着くや、想い人と求め合った後の虚脱感が、ドッと押し寄せてきた。

眠気でよろけかけながら、どうにかドアを開けて自室へ入れば、ルームメイトのしばが、スマホで何かを見ている。

「あ、お帰り。最近遅いよねぇ。バイト始めたんだっけ?」

「……まあな」

軽い口調の友人へ、気が抜けた返事をしながら、正太郎は自分の椅子へ腰かけた。

と、欠伸を噛み殺したところで、ヒョイッとスマホを差し出される。

「未来の弁護士殿に質問。夫婦が離婚して子供の養育権を取り合うと、母親のものになりやすいんだって?」

画面に映っているのは作り物めいた法廷だ。どうやら裁判物のドラマの一シーンらしい。

「そういうケースが多いな」

正太郎は頷いた。よほど問題がない限り、親権の争いは母親サイドが有利なのだ。

当然、姓も母方になる。まあ、父が婿入りしていたのなら、変化はない訳だが──。

「あ」

正太郎は突然、変な声を上げてしまう。

「どしたの?」

「何でもない。こっちの話だ」

ルームメイトへは適当に返すが、何でもないどころではなかった。

眞由美が言っていた『嘘』の正体。それが分かったかもしれないのだ。

(しかし、これで本当に正解なのか?)

あっけなさすぎて不安になる。

もっと手こずって、バイト終了間際まで悩むだろうと、覚悟を決めていたのに。

しかし当たっている自信は乏しいものの、否定する根拠はさらにない。

これは明日を待って、眞由美へぶつけてみる必要があった。

第五章 青年の推理とアナルセックス

「この事務所をスパイするように俺へ指示した時、源元教授は『姉の娘……つまり姪の仕事を手伝ってもらいたい』と言いました。ですが昨日は、所長のお母さんを『見合い結婚で嫁に来た』と紹介したんです。『嫁に来た』は、夫側の見方ですから、今にして思えば矛盾でした」

正太郎が食い違いに気付いたのは、友人の羽柴へ親権絡みの話をした時だ。

本当は今日、探偵事務所へ着いてすぐに、当たっているかどうか確かめたかった。

しかし、おかしなことを言って、眞由美の仕事への集中力を削ぐ訳にはいかない。

だから夜まで待った。

今、女探偵は真面目な顔で、彼の推理へ耳を傾けてくれている。

「源元教授が母方の親族として振る舞ったのは、俺を従わせようと構えていた時です。ですから、ポロッと漏らした父方の立場こそ、真実に近いんじゃないでしょうか。……ここで俺は、何か嘘を吐いているという所長の言葉を前提に、もう一段階、発想を飛躍させてみました」

話しながら、正太郎は喉が渇いてきた。

この推測が見当違いかもしれないという心配も、だんだん強まりだす。

外れていた場合、想い人を『解放』するどころか、古傷を抉るだけで終わってしまうだろう。

それでも焦燥を堪え続けた。

「所長の弱さについて話す時、源元教授はずっと近くで、小さな子供の頃から、見守ってきたような口ぶりでした。所長……源元教授こそが、あなたのお父さんなんじゃありませんか? とすれば、俺に吐いてきた『嘘』の正体とは、あの人を『叔父様』と呼んだことです」

話し終えた青年を、眞由美は無言で見つめてくる。

部屋の空気はピンと張りつめ──やがて彼女の美貌に、観念するような微笑が浮かんだ。

「ええ、当たりよ……吉尾君」

それで正太郎も、一気に緊張が解ける。

「どうして所長まで、嘘を吐いたんですか?」

「それは……最初、君のことを何も知らなかったから……」

眞由美の声のトーンが落ちてきた。笑みも淡雪のように消えてしまった。

「父から姪と紹介された以上、しばらく話を合わせて、様子を見ようと思ったのよ。君が信用できる人なのは、野呂君が犬探しを依頼してきたことで、すぐ分かったわ。でもそうなると、今度は逆に騙したことが申し訳なくて……。本当に、ごめんなさい……」

「い、いえっ、いいんですよっ。俺と所長は初対面だったんです。警戒するのは当然ですっ」

相手のテンションを上げたくて、正太郎は力強く返事する。その甲斐あって、眞由美にも笑みが少しだけ戻った。

「……ありがとう、正太郎君。身近な相手に嘘を許してもらえるのって、とても幸せなことね。君は約束通り、私を一つ楽にしてくれたわ」