恥辱の風習 捧げられた新妻

それとも──。

(まさか……!?)

正一に深々と貫かれながら心の片隅に疑惑が膨らみ始める。

膣粘膜を通して感じる肉棒の逞しさ、雄々しさ。それはまるで夫ではなく、別の男の──。

(いえ、そんなはずはないわ!)

目を開ければ、きっと答えが分かる。しかし、頭の片隅に浮かんだ疑念を認めたくなくて──何よりも答えを知ることが恐ろしくて、瑞穂は堅く目を閉じ、ひたすらに肉の感覚だけに没頭しようとした。

だが、ジワリとした快感と違和感が交互に訪れて集中できない。

まるで夫以外の男と交わっているような感覚──人妻としての明確な裏切り行為を想像してゾッと肝が冷える。

彼女は愛する正一に永遠の貞操を誓ったのだ。こんなことを考えるだけでも罪深いことだった。

が、一度生じた疑念は引っこむどころか、ますます大きくなって胸いっぱいに広がっていく。

もしも、彼女の想像通りの事態が起きているとしたら──。

恐ろしさに全身が総毛立った。

(そんなはずがないわ。あるはずがないんだからっ……)

私は今、愛する夫とセックスをしているのよ、と瑞穂は必死で自分自身に言い聞かせた。

夫以外の男との肉交が、これほど気持ちいいはずがない。

祈るような気持ちでゆっくりと目を開け、自分を貫いている男を見上げる。

ちょうどそのとき窓から月明かりが差しこみ、薄暗い部屋の明度が増した。

「なっ……あなたは!?」

瑞穂は愕然と目を見開いた。

自分にのしかかり正常位で貫いている相手──愛する夫だとばかり思っていたその相手は、勝ち誇ったような笑みを浮かべて彼女を見下ろしていた。

「へへへ、頂かせてもらってるぜ。いやぁ、今まで何人も人妻を食ってきたけど、あんたのオマ○コは極上だな。気を抜くと搾り取られそうだぜ」

「どうして──」

あまりのことに頭の中が真っ白になり、思考がショートしていた。

現実の出来事とは思えなかった。

信じたくなかった。

「郷田さん、どうして……!?」

そう、逞しい肉塊で瑞穂を深々と貫いている男は郷田だった。筋肉質な体は胸元や臍周りが剛毛に覆われていて、夫よりもはるかに男臭い印象を受ける。

本来ならすぐにその違和感に気づくべきだったのだが、暗がりだったのと声がくぐもっていたため気づくのが遅れてしまったのだ。アルコールが残っていて判断力が低下していたのも一因だろう。

どちらにせよ、痛恨の極みともいえる失態だった。取り返しのつかない事態に目の前が真っ暗になる。

全身が我知らず震えた。生涯夫にしか許さないと誓った人妻の聖域を、よりにもよってこんな男に盗まれてしまったのだ。

「い、嫌っ、抜いて──抜いてくださいっ!」

ここが他人の家であることも忘れ、瑞穂は絶叫した。

呆然とした心地で、自分の中にしたたかに侵入している男をあらためて見上げる。

角ばった顔に太い眉という精力的な風貌は口角が吊り上がって歪み、欲望に満ちた下品な笑みを浮かべていた。夫の爽やかな笑顔とは比べるべくもないその笑みに、生理的な嫌悪感を否応なしに抱かされてしまう。

相手が正一だと思いこんでいたときは膣内に咥えこんだペニスの感触を心地よく感じたものだが、相手の正体を知った今ではおぞましさや不気味さ、グロテスクさしか感じない。

一秒でも早く抜いてほしかった。

自分の中から出ていってほしかった。

しかし、深々と貫かれた上に体重をかけて組み伏せられているため、男の体をはね除けることもできない。

体の中心部を肉の杭で串刺しにされたまま、それでもどうにかして挿入を外そうとむなしく腰をよじり、両手足をばたつかせることくらいしかできなかった。

パンティが丸見えになるまで高々とからげられたスカートがその動きに合わせて空しく揺れる。

「嫌って言われてもなぁ……俺とあんたはもうつながっちまってるんだ。なら諦めて一緒に気持ちよくなったほうが得だと思うぜ、へへ」

「卑怯者っ……!」

「なんとでも言いな、そうらっ」

郷田は口の端をさらに吊り上げて笑みを濃くすると、おもむろにピストンを再開した。

大きく腰をしならせ、そこから一気に根元まで打ちこんでくる。

それを二度、三度。

亀頭でぐりっと子宮口を圧迫されるような力強い抽送に、瑞穂のくびれた蜜腰は大きく上下に波打った。引き締まった下腹部が衝撃に震える。激しい前後運動に合わせて、豊かな乳房がリズミカルに揺れ、弾む。

「ああっ、つ、強すぎるわっ……はぁぁぁぁっ」

「おおかた旦那はあんたのことを壊れ物みたいに扱うんだろ? あの奥手な正一くんならありそうなことだ」

「詮索するなんて……あんっ……し、失礼です……はうっ」

二人の夫婦生活の実態をぴたりと言い当てた郷田に思わず抗弁するものの、さらに連続して浴びせられたパワフルな打ちこみにその言葉を打ち消されてしまう。

とにかく一撃一撃が重くて深い。夫とはまったく違うピストンだった。

長大なペニスが瑞穂の膣孔の入り口から奥までを往復するたびに、子宮だけでなく内臓までが押し上げられ、その衝撃が四肢にまで行き渡る。

「くくく、俺が不甲斐ない旦那に代わって本当のセックスってやつを教えてやるよ、そらっ、そらっ」

「ああっ、激しく……んっ、ふぐぅ……し、しないで……ぇっ……」