恥辱の風習 捧げられた新妻

「ダメ、やめて……」

「妻に触らないでくださいっ」

拘束されたまま正一が顔を真っ赤にして叫ぶ。

ここまで感情を露わにする夫を見るのは初めてだった。

郷田が進み出て瑞穂を正面から見据えた。欲望をにじませた蛇のような視線が白いブラウス越しにもはっきりと分かる豊かな膨らみや、青いスカートに包まれたヒップラインを何度も這い回り、怖気が走る。

「お前らはこれからもずっと村の一員だ。このまま出ていくなんて虫のいい話は通らねぇぜ」

郷田がさらに近づいて瑞穂に体を寄せると、白いうなじに沿って舌を這わせてきた。首筋にぬるっとした気色の悪い感触が貼りつく。ゾクリとした悪寒が走り、瑞穂は身をすくませた。

「やめてください、郷田さん! くうっ、放してくれ!」

目の前で妻が嬲られている光景に、正一がたまりかねたように身をよじった。が、男たちは拘束する手を緩めず、夫はわずかに体をばたつかせるのが精一杯のようだ。

「おとなしくそこで見てろ。それに、俺は君が子供のころから何かと世話してやったろ。そろそろその借りを返してもらう時だぜ、くくく」

郷田は身動きの取れない正一を勝ち誇ったような顔で一瞥した。口の端を吊り上げてほくそ笑み、瑞穂の股間に右手を近づける。スカートの中にその手が侵入し、パンティの上から指が這った。

「あっ……」

郷田はにやりと笑うと、パンティの上から恥丘や肉裂の形をなぞるようにして、撫でさすり始めた。ぎゅっ、ぎゅうっ、と徐々に力を強め、クレヴァスだけでなくクリトリスもグリグリと圧迫する。

巧みな力加減に加え、夫の眼前というシチュエーションが瑞穂の背筋をぞくりと震わせた。

同時に、以前と比べて自分の体が格段に敏感になっていることを自覚する。指先が触れるたびに秘所から電流のように甘い痺れが走った。この憎むべき男によって体中の性感帯を開発されてしまったことを、あらためて実感させられる。

「やめろぉっ!」

正一の絶叫が耳朶に重く響き、瑞穂は唇を噛みしめた。

愛する夫がすぐ傍で見ているのだ。他の男の指戯で快感の声を漏らすことなどあってはならない。

「へへへ、この辺りが感じるんだよな、奥さん」

「っ……うぅ……」

感じてはいけない──自分に課した禁忌が、逆に性器の感覚を鋭敏にしてしまい、郷田の指遣いに応じてひとりでに下肢が痙攣してしまう。充血を強めた肉芽が体積を増していく。

「くっ……!」

これ以上反応を見せまいと、瑞穂は唇を強く噛みしめた。

「ほう、なかなか頑張るな。あれだけ開発してやったんだから、相当感じてるはずなんだがな」

「だ、誰が気持ちいいもんですか! そんなことされても不快なだけです!」

さすがに人妻としての貞操観念を侮辱するような言葉を聞き過ごすわけにはいかない。瑞穂は気丈に郷田を睨みつけた。

「いいねぇ、その目。ゾクゾクする」

しかし彼はますます嬉しそうに目を細め、

「旦那の前で貞淑な妻ぶりたいんだろうが、そうはいかないからな。一皮剥けば、お前の中にも淫乱な『女』が潜んでるってことを教えてやる。旦那の目の前でじっくりとな、くくく」

(どこまでも卑劣な男っ……!)

「開発? ど、どういう意味ですかっ」

正一がハッとした顔でこちらを見た。

「ん? まだ気づかないのか、自分の妻が俺たちに何をされたのか。だったら教えてやるか……」

「い、言わないでっ!」

郷田のいやらしい笑みが深まるのを見て、瑞穂は悲鳴を上げた。

自分の身に起きたことを夫にだけは知られたくなかった。

優しい夫のことだからすべては事故だったのだと許してくれるかもしれない。だが決定的なしこりは残るはずだ。妻が他の男に抱かれたのを知って平静でいられるとは思えない。

一度知られてしまえば、もう二度と元の夫婦関係には戻れない。

(だから言わないで、お願い──)

祈るような気持ちで拳を握る。心臓の鼓動が急速に速まる。

郷田はにやりと笑って瑞穂を、そして正一を見た。

不吉な予感が込み上げて背筋がゾッとなった。

「お前の奥さんはな、正一くん。俺たちに──」

「だめぇっ!」

「俺たちに散々犯された上に、最後は自分から腰を振ってヨガったんだぜ」

シン、と周囲が静まり返った。

愕然と目を見開いた正一が瑞穂をまっすぐに見ていた。

小さく開閉を繰り返す口からは言葉が出ず、吐息がかすかに漏れるだけだ。目の焦点も合っていなかった。まるで魂が抜けたような虚ろな表情のまま、一切の動きを止めている。

「い、今、なんて……まさか瑞穂にこの村の風習を……?」

ようやく口を開いた正一は、かすれた声で問いかけた。

「嘘かどうか、今から証明してやるよ。この女の体を使って、な」

郷田はそう言うと、パンティのクロッチ部をずらして今度は直接秘唇に指で触れた。

わずかに綻びを見せる二枚の花弁を指先でこじ開けると、すでにジワリと湿っているそこに潜りこませた。膣の中に入ってきた指の圧迫感に下腹部が自然と震える。指の腹で浅瀬の粘膜を優しく撫でられた。

「んっ……!?」

ずぶ、ずぶりっ、と郷田の人差し指が秘孔のさらに深い場所へと押し入ってきた。

内部に溜まった愛液を撹拌し、膣内に塗りこめるようにして潤滑をよくすると、太い指をリズミカルに出し入れし始めた。