獣性を刺激されたのか、今度は別の男が雄たけびとともに濃密な秘毛に覆われたサーモンピンクの秘唇を指で弄ってきた。
鮮紅色をした肉厚のラヴィアが左右に割り広げられ、その奥の肉層に向かって太い指が無遠慮に侵入してくる。ぐちゅ、ぐちゅ、とわずかに湿った内部の肉壺をかき回されて両足が戦慄いた。
さらに他の男たちも、抜けるように白い熟妻の柔肌にいきり立った何本ものペニスを押しつけてくる。
複数の肉根の熱さや硬い質感、さらには力強く脈動する感覚までもが肌に伝わってきた。
(駄目よ、こんなこと……許されないわ)
何人もの男から同時に性器を押しつけられるおぞましさに彩香は身震いした。
夫や婚前に付き合った恋人との性経験はあるものの、複数でのプレイなど一度も体験したことがない。一人の良識ある女性として、それくらいの倫理観は当然持ち合わせていた。
そもそもセックスとは心を許し合った恋人同士でのみ行う行為なのだ、こんなふうに不特定多数の男性と乱れて交わるような行為など許容できるはずがない。
まして人妻である自分が夫以外の男たちから性奴隷のように扱われるなど、許されるはずがなかった。
禁忌を犯しているという背徳の実感が背筋をゾクリと凍らせる。
「お、お願いですから……ん、くっ……もう、やめてぇ」
彩香は乳房や秘所への指戯、そしてペニスの群れから逃れようと体をくねらせながら、悲痛な声で喘いだ。
だが男たちは何度拒絶の意思を示しても、一向にやめてくれない。むしろその行為はますますエスカレートし、乳房にキスをされたり、秘孔の中に指を突っこまれたり、あまつさえ尻の谷間にまで指が侵入してアナルを弄られたりと、まさにやりたい放題だった。
中には性急にインサートに及ぼうという不届きな男まで出る始末だ。
「くうっ、だ、駄目……!」
彩香は両手を突っ張ってその男を突き返し、一線を越えることだけはなんとか阻止した。
それでも美しい人妻を最初にモノにするのは俺だとばかりに、次から次へと男たちが殺到する。
「あああああ……」
喧騒の中に消える、か細い悲鳴。
周囲からいきり立った肉根を押しつけられ、カウパーを塗りたくられてヌルヌルの裸体が妖しい光沢を放つ。
いや、気がつけば、彩香の裸を濡れ光らせているのは彼らの欲望の体液だけではなかった。
「えっ、何、これは……!?」
彩香はその事実に気づいたとたん、呆然と動きを止めた。
股間の奥が熱い。熱くぬめっている。視線を落とせば、両足の付け根から透明な蜜液がこぼれ落ちているのが、篝火の照り返しで分かった。
今やぱっくりと開いてしまったヴァギナの深奥からは、後から後から愛液があふれて甘い牝の匂いを漂わせている。
「嘘よ!? どうして……」
呆然から愕然へと変化した心情を、彩香は叫び声とともに吐露した。
夫に永遠の愛を誓った自分が、他の男に嬲られて欲情を覚えるなどあってはならない事態だ。
しかしそんな彼女の狼狽をあざ笑うかのように、骨ばった指で無遠慮に弄られたヴァギナからは、湿った淫猥な音が驚くほど大きく鳴り響いた。
濡れている。
興奮している。
目の前の、この下卑た男たちを相手にして──。
彩香の狼狽は今や最高潮に達していた。
と、そんな彼らの背後から大柄な人影が現れた。
精悍な顔立ちにがっしりとした体格をした男だ。
「あ、あなた……助けて……」
彩香は悲痛な声でその男──最愛の夫に助けを求めた。
夫は微動だにしない。
よその男の白濁にまみれた妻の裸身をジッと見つめている。
ショックのあまり声も出ないのだろうか。
それも当然だ。
まだ結婚して間もない妻が、自分以外の男に汚されようとしている現場を目の当たりにしたのだから。
それでも彩香は信じていた。
夫は必ず自分を助けてくれると。
「あなた──」
もう一度助力の声を上げようとして、彩香の表情が硬直した。
驚きに目を見開く。
夫の顔に浮かんでいたのは、男たちへの憤怒の情でも、汚された自分への憐憫の想いでもなかった。
そこに浮かんでいたのは──。
「彩香、お客さんだぞ」
夫の声に彼女は回想を中断し、ふう、とため息をついた。
あのときのことを思い出すのは久しぶりだ。
忌まわしく、それでいて甘美な記憶は反芻するだけで脳髄までジンと痺れてしまうほど刺激的だった。
こんなことを思い出したのも、やはり豊稲祭が近いからだろうか。全身の血が甘ったるく疼き、同時に熱く燃えているような感覚があった。
そう、今年も祭りの季節がやって来たのだ。
壁に目を向ければ、祭りの当日に着る白と紅の巫女服がかけられている。確か今年は隣家の瑞穂も彼女と同じ巫女役に選ばれていた。
初めて出会ったときの瑞穂は、清楚そのものの新妻という印象だった。いかにも郷田辺りが好みそうな女性だ。
実際、彩香の家で一緒に飲んだ後、寝入っていた瑞穂をあの男は──。
「今行くわ」
彩香は艶然とした笑みを口元に浮かべ、自室を後にした。
畑野家を訪ねてきたのは、近隣で農家を営む男だった。
いかにも純朴そうな顔立ちをしていて、農作業で鍛えられたがっちりとした体からは畑の土の匂いがする。
「これ、うちの畑で採れた野菜だから」
彼は両手いっぱいに抱えるほど大量の大根とジャガイモを持ってきてくれた。収穫された野菜をよくこうやってお裾分けしてくれるのだ。