恥辱の風習 捧げられた新妻

彩香はどよめく男たちに秘所や臀部を見せつけるように腰を突き出し、ベリーダンスさながらに腰をくねらせて軽く肉を揺らしてみせた。

あちこちから生唾を呑みこむ音が聞こえてくる。

彩香は余裕たっぷりに周囲を一瞥してから中腰の姿勢になった。いきり立った肉棒の上にヌラヌラと濡れた秘唇をあてがう。

入れては駄目、と心の中で声にならない声を上げる瑞穂。

そんな願いも空しく、眼前では最悪の事態が進行しようとしていた。まるでスローモーション映像のように、彩香がゆっくりと腰を落としていく。水っぽい音とともに鮮紅色のラヴィアが正一の亀頭によって少しずつ押し開かれ、やがて先端が内部に嵌まりこんだ。

「ああっ!」

その瞬間、瑞穂は思わず声を上げていた。

ずぶぶぶぅぅぅぅっ、と湿った音が響き、熟れた膣の中に最愛の夫の分身器官が呑みこまれていく。

自分のほうが先に夫を裏切ったのだから、抗議をする資格はないと分かっていても、やはり愛する男が他の女性と交わるシーンを目の当たりにするのはショックだった。目の前の風景がぐにゃりと歪み、現実感が喪失する。

(嘘……こんなの、嘘よ)

他の男に犯される場面を夫に見られ、今また夫が他の女性とセックスする場面を見せつけられてしまった。

頭の中をハンマーで殴られたような衝撃。が、そんな瑞穂にはおかまいなしに、彩香は最初からフルスロットルで全身を揺らし、熟練した腰遣いで正一のペニスを責め立てていく。

「ううっ」

彩香が下腹部を滑らかにグラインドさせるたび、夫は苦悶に似た快楽の表情を浮かべた。

「あなた──」

「す、すまない、瑞穂……ぐううっ」

正一の顔には罪悪感と、そしてそれを上回る愉悦の色とが同時に浮かんでいる。

「ふふふ、奥さんと私……んっ、ああっ……ど、どっちのオマ○コが……あんっ……気持ちいいかしら……?」

彩香は悩ましげな嬌声混じりに腰の振りをどんどんと速めていく。

それに合わせて夫の全身が小刻みに震え、止まらなくなる。

「ひひひ、旦那があれだけよその女と楽しんでいるんだ。ワシらはワシらで楽しむとしようか」

言って、増山がふたたびピストンを始めた。

相変わらずのスローな動きが、絶頂直後で痺れきった女体に甘ったるく響く。

「あんっ、駄目、ですぅ……今、動かしたら……はぁぁっ、感じて……ああっ」

しかも一度オルガスムスに達したことで瑞穂の体は感度を上げていた。ちょっとした突きこみや振動が膣内を甘美に震わせていく。自分でも官能の高まりを押し止めることができない。

このままでは二度、三度と連続してイッてしまう──。

危機感を抱いた瑞穂は残る力を振り絞って腰をよじり、結合を外そうと試みた。

「おお、ますます締めつけて……そんなに感じておるのか」

が、力の入らない体ではそれすらも叶わず、結果的に内部に咥えこんだ老人のペニスをより圧迫する結果にしかならなかった。

「はあっ、はあっ、こ、こっちもそろそろ……んっ、イキそうよ。正一さんも……はぁん……出そう、なんでしょう……? ふふ……」

「くう、おおおっ」

ラテン系のダンスを思わせる動きで複雑に腰を旋回させ続ける彩香に導かれ、正一も腰を上下に跳ねさせている。

瑞穂との夜の営みで、あんなふうに我を忘れた腰遣いをしたことはなかった。

嫉妬とも諦めともつかない感情が胸の奥に苦く広がる。

「ふほほほ、こっちはこっちで楽しもうかのう。そうら、旦那の前で思いっきりヨガるがいいっ」

増山が一気にスパートをかけた。

スローだった腰遣いが少しずつ加速し、トロトロにこなれた瑞穂の肉孔をかき回す。ぐちゅ、ぐちゅ、と老いた男根で撹拌された膣穴の縁から透明な愛蜜が飛び散り、周囲に濃密な牝の匂いを振りまいた。

「くうっ、いい締めつけだわい。このままたっぷり出してやるぞう、愛する旦那の目の前でな……ふひひ」

「えっ、ま、待って、それだけは──それだけはやめてくださいっ!」

全身を走り抜ける甘い官能に酔いしれていた瑞穂だが、さすがにこの一言に理性を振り起こした。

増山の言葉が聞こえたのか、夫が瑞穂のほうを見る。

「み、瑞穂……」

「今さら嫌がることはあるまい。郷田たちに散々中出しされたと聞いているぞ」

「それは……でも、やっぱり……」

確かに、郷田たちとの交わりで何度となく膣内射精を受けてしまった。

だが夫の目の前で胎内に精液を注がれてしまうというのは、やはり心理的な抵抗感が段違いだった。

祭りのときに衆人環視の状況で中出しされたが、最愛の男性にそんな行為を見られてしまうというのは意味合いがまったく違う。たとえ世界中の男に見られても、夫にだけは見られたくなかった。

刻々と迫りつつある絶望の時に怯え、表情をこわばらせていると、すぐ傍から嘲笑するような声が聞こえた。

「いいじゃない、お互いパートナーの前で違う相手に中出しして、中出しされて。きっと背徳感があってすごく気持ちいいわよ。なんなら、私が見本を見せてあげる」

彩香が瑞穂を煽るように腰を振り立てる。

その動きが正一に今まで以上の快感を与えているらしく、

「み、瑞穂……!? ぐうっ……!」

びくん、と腰を突き上げた正一が顔をしかめた。

同時に、彩香がうっとりと頬を染めながら彼の腰の上に尻から着地し、気持ちよさそうに全身を痙攣させる。