夫のほうを振り返り、淫蕩な笑みを浮かべる。
「じゃあ、そろそろ始めましょうか。あなたもここで見学していかない? なんなら途中から混じってもいいのよ」
「ふん、それも面白いな」
興をそそられたように身を乗り出す夫。
その股間がギンギンに膨らんでいるのを見て、彩香は喉を鳴らした。夫と他の男を交えての3Pというのも悪くない。
「さあ、あなたも……搾り取ってあげる」
彩香は軽く舌なめずりをして跪くと、男の腰に顔を寄せていった。
第五章 終わらない輪姦祭り
三月の終わりになり、豊稲祭の日がやって来た。
神社の境内にはすでに大勢の見物客が集まり、賑やかな喧騒に包まれている。夫は仕事の都合で会社に出ていて、頼れる相手のいない瑞穂は緊張気味に周囲を見回した。
彼女は本殿の前に置かれた神輿を背にしていた。それを数十人の見物客が半円で囲んでいる。彼らのほとんどが村の住民で、毎年この祭りを楽しみにしているのだ。
「今日はご苦労様だな。巫女さん頑張ってくれ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
見物客の一人から声をかけられ、瑞穂は丁寧に頭を下げた。あらためて自分の格好を見下ろす。
今日は白と赤の巫女衣装姿だ。
清涼感のある千早と色鮮やかな紅の袴はともに薄い生地でできており、しかも祭りのしきたりということで下着を身に着けていない。そのため、今の季節では肌寒いくらいだった。
隣の彩香に目を向ければ、やはり同じ巫女衣装姿で、千早の合わせから深い胸の谷間がわずかに覗き、同性である自分から見ても息を呑むほど艶めかしい。もっとも胸の谷間が覗いているのは瑞穂も同じで、周囲の視線がどうしても気になってしまう。
(いけない。祭りに集中しなくちゃ)
瑞穂は大きく深呼吸をして今日の予定を頭の中で反芻した。
二人は作物の豊穣を神に祈願する巫女という役回りだった。背後を振り返ると、巨大な神輿が鎮座している。村の男たちが担ぐこれに跨がり、村中を練り歩く『種蒔き歩き』が祭りのメインイベントだ。
「すごい、大きいー」
「ふふ、巫女さんがあれに乗って村中を歩くのよ」
と、見物客の中から親子連れらしい声が聞こえてきた。
「これに跨がるのよね……?」
あらためて神輿を目にした瑞穂は戸惑いを隠せなかった。
以前に一度彩香の家の写真で見たことがあるのだが、木造の神輿は男根を模した形をしている。
間近で見ると頂上部に縦溝が走る赤黒い先端といい、見事に反り返った傘の部分といい、男根そのもの。しかもそれが五メートルほどの巨大サイズなのだ。完全に圧倒されていた。
やがて時間になり、彩香が楽しげな顔で瑞穂に話しかけた。
「ほら、瑞穂さん、あなたも早く。これに跨がってキスをするのよ」
「え、そんなことするんですか?」
事前にそこまで細かい段取りを聞いていなかったため、瑞穂は戸惑いを隠せない。
「あら説明してなかったかしら? それが毎年の巫女のお役目だもの」
「お役目って……」
男根を模した神輿に抱きつき、口づけをするという行為は、どうしてもフェラチオを連想してしまう。それを衆人環視の中で……しかも大勢の男が見ている前で行うというのは抵抗があった。
「ほら、皆が待ってるわよ」
我知らず体を震わせる瑞穂に、彩香が重ねて告げた。
気がつけば、十数人の男たちが神輿の担ぎ手として二人を囲んでいた。いずれも日に焼けた赤銅色の肌を晒し、褌一丁に足袋と草鞋だけという勇壮な格好だ。
彼らの好奇と好色の視線が巫女装束越しに肌まで突き刺さるようだった。反射的に両腕で自分の体をかき抱いてしまう。
「何をやっているの? これはお祭りなのよ。巫女役に選ばれたんだから、キチンと自分の仕事をしなさい」
彩香が軽くたしなめた。
「村にとってこれは年に一度の楽しみなんだから。少しくらいサービスしたってバチは当たらないわよ」
「……わ、分かりました」
再三催促された上に、年に一度の楽しみとまで言われてしまっては、瑞穂としても断りにくかった。
やむなく彩香とは反対側から男根型の神輿に抱きつき、おそるおそる表面に唇を這わせる。
とたんワーッという歓声が周囲から上がった。
瑞穂に浴びせられる視線は、いずれも淫靡な熱の籠もったものだった。褌越しに勃起している男を見て、瑞穂の体もまた甘い熱を帯びる。
(嫌だ、何を考えているの、私ったら──)
戸惑いをよそに、神輿がゆっくりと動き出した。
「わっしょい」
「わっしょい」
十数人の支え手たちが勇壮な掛け声を響かせ、瑞穂と彩香は男根神輿に跨がりながら村の中を練り歩いた。神輿は思った以上に激しい上下動を繰り返す。振り落とされないように瑞穂はしっかりとしがみついた。
そのとたん、
「っ……!?」
下半身に妙な刺激が走り、瑞穂はびくんと全身を震わせる。
男根神輿の下部──彼女が跨がっている箇所には小さな突起があり、神輿の振動に合わせて股間を擦ってくるのだ。
ちょうど敏感な部分を刺激するように。
「んっ……ふ、ぁ……っ……!」
まるで淫靡な目的のために突起が設置されたのかと思えるほどの絶妙な刺激に、つい喘ぎが漏れそうになってしまう。まさか衆人環視のこの状況でいやらしい声を上げるわけにはいかない。
瑞穂は唇を噛み、嬌声が漏れそうになるのを必死で抑えた。