恥辱の風習 捧げられた新妻

えずきそうになったところで、郷田がゆっくりと腰を引いた。

「んぐ、ちゅ……」

半ば無意識に舌を跳ね上げて亀頭に巻きつける。

舌全体にサラサラとしたカウパーが染みこんできた。

「ちゅぱ、れろ……ぉっ……」

ぴちゃ、ぴちゃ、と本能的に欲望の汁を舐め取ってしまう。

さらに、弾力のある朱唇を亀頭に被せて柔らかく包みこみ、鈴口を舌先で突く。

漏出を増したカウパーが苦みと甘みを同時に伴い、らいに広がった。おぞましい味わいとともに、胃の底が裏返るような嘔吐感が込み上げた。

気持ち悪い。このまま吐き出してしまいたい。

「ぐっ、ごふぅ……」

ふたたびえずきかけたところで、突然口の中にトロリと蕩けるような甘美な味わいが広がった。

気持ち悪いはずなのに……吐き気さえ感じるほどなのに、自分でもわけが分からない。困惑で体中が震えた。嫌な男の体液でありながら淫靡な味わいが瑞穂の官能をじわじわと炙っているのだ。

込み上げる不思議な衝動のままに、瑞穂は舌をくねらせて口内を占領する肉塊にフェラチオ奉仕を続行してしまう。

ぴちゃ、ぴちゃ、と猫がミルクを飲むときそっくりの音を立て、敏感な亀頭粘膜に舌肉での圧迫を繰り返した。

「ふうっ、いい塩梅になってきたぜ、奥さん。中々飲みこみが早いじゃねぇか」

郷田が気持ちよさそうに呻いた。

同時に猛々しいペニスが不規則に脈を打ちながら、さらにワンサイズ膨れ上がり、瑞穂の小さな口内をさらに押し広げる。

「んんっ!? ぐ、ふぅ……」

恥辱の風習 捧げられた新妻

口の中に咥えたモノを反射的に吐き出しそうになったところで、郷田が瑞穂の頭をがっちりと掴んだ。

そのまま固定して最奥まで突き入れてくる。

強制的な口唇奉仕──イラマチオの体勢になり、その圧迫感に瑞穂は目を白黒とさせた。

まるで女の口を、性欲を排泄するための道具としてしかしていないような行動だ。

こんな乱暴な行為は、優しい夫からは一度も受けたことがなかった。

「はあはあ、そ、そろそろ……うく、くぅ……イキそうだぜ……!」

頭上から郷田の切羽詰まったような声が聞こえた。

同時に腰の動きが速まり、張り出したカリ首で口腔粘膜を激しく擦られる。

その勢いで跳ね上がった舌肉が、深く呑みこんだ亀頭と自然に絡まる。理想的なカーブを描く亀頭の丸みも、ひくひくと開閉を繰り返す鈴口も、大きく張り出したカリ首や溝も、すべて舌先で感じ取ることができた。

火傷しそうなほどの火照りが口いっぱいに広がり、瑞穂は腰の芯に妖しい疼きを感じた。

意に添わぬフェラチオとはいえ、自分の口と舌が男に快感を与え、射精に導こうとしている──。

その実感が女としての自尊心を不思議なほどくすぐり、同時に理性を焼いた。

(な、何を考えているの、私!? 相手は夫じゃないのに──)

そんな彼女の戸惑いにも気づいていないのか、郷田は一方的に腰の動きを加速させていった。ヌルヌルのカウパーを瑞穂の口内に注ぎながら、連続して喉を突き、フィニッシュワークへと移る。

「へへへ、もうイキそうだぜ、奥さん!」

「んぐぐ……うぅ……だ、めぇ……んっ」

(来る……!)

もうすぐ男の精を自分の中で受け止めることになる──。

まず湧き上がったのは強烈な忌避感だった。

愛する夫の体液ならばともかく、嫌悪感を抱く男のそれなど口にするのも汚らわしい。

だがこの状況では逃げようがない。その諦念が絶望へと変わり、瑞穂の胸の内を陰鬱に染め上げる。

仕方がない。

受け入れるしかない。

覚悟を決めた瞬間、不意に胸が甘く疼いた。

自分でも説明のつかない不思議な高揚だった。

まさか私は夫以外の男の射精を口で受け止めることに、高ぶりを感じている──!?

(違うわ! 私は嫌なのに、郷田さんに無理やり……)

脳裏に浮かんだ疑問を、理性を総動員して打ち消したとき、郷田が太い雄たけびを上げた。

「くおおおおおおおっ、出すぞぉぉっ!」

不気味に脈打つ男根の先端が大きく膨らみ、瑞穂の口の中いっぱいに生臭いスペルマが吐き出された。

口の中を膨張したペニスで占拠されている以上、その噴射を避けることも、吐き出すこともできない。

抵抗不能の飲精を強いられ、瑞穂は目を白黒とさせた。

「ぐぐぅ……んんっ、む……」

ねっとりとした粘性の高い精液が瑞穂の舌に、歯に、口蓋の裏に、そして喉の奥にまで所構わず吹きつけられ、絡みつく。

射精を口で受け止めたのは初めての経験だった。

「ぐうぅぅぅっ……ん、はぁっ……ごく……んっ」

後から後から注ぎこまれ、口の中を満たしていく熱々のザーメンが意識を甘く吹き飛ばす。やがて最後の一滴まで注ぎ終えると、口の中に収まっている剛棒がぶるぶるっと震え、わずかにサイズを縮ませながら、ずるりと口内から抜け出した。

赤黒い切っ先からまだ垂れている白い粘液が細い糸を引いて自分の唇とつながっている。その光景を呆然と見つめながら、瑞穂は深い息を吐き出した。

飲まされた。

一滴も余さず飲まされてしまった──。

それも、夫以外の男の精液を。

(苦くてどろっとしてるわ……口の中にへばりついて気持ち悪い。男の人の精子って、こんなにもおぞましい味がするのね……)

ハアハアと精臭の混じった息を吐いて呼吸を整えながら、瑞穂は完全にショック状態だった。