恥辱の風習 捧げられた新妻

炎の照り返しを受けて陰影のついた肉体が牡としての肉体美とセックスアピールをムンムンと発散していた。汗ばんだ赤銅色の肉体や胸元や臍周りを覆う剛毛に、祭りという独特の場の雰囲気と相まって強烈な牡臭さを感じてしまう。

「あなたはまた何を企んで──」

仁王立ちで見下ろす隣家の中年男に瑞穂は気色ばんだ。

「企む? 人聞きの悪いこと言うなよ。俺が決めたわけじゃなく伝統ある祭りってだけだ。こいつは恒例行事さ」

「はあっ、あんっ、ああんっ! いいの、旦那よりずっとぉ……!」

「へへ、よその男にヤられて感じてるのか? そらっ、もっとヨガれぇっ!」

まるで郷田の言葉を肯定するかのように、一際大きな嬌声が聞こえる。それに付随して響く、肉と肉がぶつかり合う音。唾液や体液の混じり合う水音。さらに、周囲に漂う生臭い性臭もその濃密さをいっそう増したように思えた。

「皆、今日の祭りを楽しみにしてたんだぜ。この日だけは他人の夫や妻だろうが、誰かの恋人だろうが、関係なしに乱交できるんだからな」

言葉通り、そこかしこで恋人や夫婦でもない男女が無差別に交わっていることを感じ、呆然となる。立ち尽くす瑞穂を郷田がいきなり押し倒した。草むらに背中から落ちて、その衝撃で一瞬息が詰まる。

すぐ真上にハアハアと息を荒らげた郷田の顔があった。熱い息を吹きかけられ、瑞穂自身の体もカッと熱を帯びた。怒りと屈辱、そしてそのどちらとも違う不思議な熱がない交ぜになった妖しい火照りだ。

(私、一体どうしてしまったの……!?)

嫌悪感以外の感情を抱いてはいけない相手だった。

なのに今、不快な気持ちとは別に、自分でもよく分からない昂揚感が甘い波となって全身に広がっている。

(まさか、私……期待しているの)

脳裏に浮かんだ想像を、すぐに愕然とした気持ちで否定する。

自分は人妻なのだ。不可抗力で犯され、あるいは脅されてやむなく体を開いたことはあったが、自らの意志で夫以外の男を受け入れるなどあってはならない。

「あいつらの次は俺の相手をしてもらおうか。今日は祭りなんだから嫌がるなよ」

そう告げた郷田がいきなりしゃがみこんだかと思うと、未だ力が入らずに四肢を投げ出している瑞穂にのしかかってきた。そのまま袴を掴み、紐に手をかける。

「なっ!? 何を──」

袴を脱がされようとしていることに気づき、慌てて両手を突っ張ってらちな中年男を押しのけようとした。が、重量感のある筋肉質な肉体は、彼女の細腕ではびくともしない。押し返すこともできず、紐を解かれてしまう。

「へへ、やっぱりな。彩香がヤるところを見て、濡れてやがった」

重い体にのしかかられたまま、力ずくで袴を足元までずり下げられた。下腹部にひやりとした冷気が訪れる。巫女衣装を着るために元からパンティを穿いておらず、裸の下半身が丸出しになった。

「そんな……違うわ!」

羞恥に頬を赤らめながら、瑞穂が否定の言葉を発しようとした矢先、郷田が完全に袴を脱がせて放り捨てた。すらりとした彼女の両足を強引に左右に押し開く。

「あうんっ……!?」

混乱と戸惑いの声を上げる瑞穂。

郷田が体勢を変え、大股開きの状態で固定された彼女の両足の間──剥き出しの股間に顔を埋めてきたのだ。濡れた舌が陰毛を湿らせ、かき分けながら、熱気を帯びた秘唇に這い回る。

猫がミルクを舐めるような音とともに、下半身に妖しい感覚が走り抜けた。

(やぁっ、気持ち悪い……!)

不快感と同時に、腰がひとりでにビクンと跳ねた。

「くくく、どんどん濡れてきてるぜ? 一番手は俺がもらうとするか」

「えっ、一番手って──きゃあっ!?」

郷田に下腹部を抱えられ、両足を押し広げられる。その間に腰を押し進めた中年男は自らの褌を解いて、急角度にそそり立った赤銅色の逸物を露わにした。篝火に照らされた先端部があふれ出るカウパーでテラテラと光っている。

(まさか、このまま犯すつもりなの!?)

瑞穂は隣人の信じられない暴挙に愕然となった。

「おおっ、川崎さんのところの奥さんか!」

「顔に似合わずエロい体してんなぁ、おい!」

「ちくしょう、俺が一番乗りしたかったぜ、へへへ!」

羨望と揶揄の混じった声があちこちから聞こえた。いずれも瑞穂と郷田の絡みを見物しているようだ。

通常ならば、いくら郷田が不埒な男でもこんな衆人環視の中で、それも人妻である自分に無体を働くはずがない。しかし、この異様な雰囲気の前でそんな常識など通用しないことを瑞穂は直感的に理解していた。

この場を支配するのは、倫理や常識ではなく欲情なのだ、と。

何よりもすでに彩香が複数の男を受け入れているではないか。ならば自分もここで犯されても不思議ではない。危機感が最高潮に達し、全身の毛孔からぬるい汗が噴き出す。

「お、お願いです、やめ──」

拒絶の叫びを上げようとした瞬間、熱いものが秘孔の内部に押し入ってきた。

まだそれほど濡れていない粘膜をかき分けるようにして、逞しい肉の塊が奥へ奥へと押しこまれていく。

「あああっ、嫌っ! ぬ、抜いてぇ!」

正常位で根元まで深々と貫かれた瞬間、瑞穂は絶叫した。怒りと屈辱で全身を震わせながら、体の上に乗って喜悦の表情を浮かべる郷田に懇願する。