いけない誘惑水着 グラビアアイドルの撮影日記

(胸や乳首って、そんなに感じるの……?)

いけない誘惑水着 グラビアアイドルの撮影日記

少し愛撫を抑えてあげようと思い、胸に当てている手指の動きは止めて、背中に回している方の手で背すじをそっと撫でてみた。宏之としては祐美香の興奮を鎮め、落ち着かせるつもりだった。だがしかし。

「アッ。アッ。ああッ……ん、佐橋さ、それ、ダメ!」

「えっ?」

乳首に触れたときと同じかそれ以上の鋭敏な反応が返ってきた。たわんでいたゴムが一気に伸びきるみたいにビクッと大きく身体を弾ませ、こらえきれないといった風に声がほとばしり出たのだ。

(背中って、そんなに敏感なの……?)

祐美香の鋭い反応を目の当たりにして、宏之のジーパンの中の硬い勃起ペニスの先端からとろりとひとしずくの汁がこぼれ出た。

(わ。どうしよう。ぼく、もうヤバい……っ)

射精したいという衝動が痛いほどにこみ上がり、腰骨のすぐ下あたりが勝手にひりひりと気持ちよくなっていた。

雨の匂いを乗せて、誰かが後ろでため息でもついているようなそよそよとした湿った風が偶然宏之の首すじを撫でてきた。

宏之の片手はあこがれのアイドルの背中をしっかりと抱き、もう片方の手は相変わらずビキニで守られた乳房に触れている。そしてアイドルは初めて体験する愛撫に反応してしまうことにおびえながらも抑えきれない初めての性悦を享受するみたいな表情になっていた。

そんな顔を見せられて。

(ああっ祐美香さあんっ)

限界まで跳ね上がった宏之のペニスはトランクスからはみ出し、亀頭がデニムの生地に擦られた。

(だ、だめだ……出るッ)

そう思った次の瞬間には、もう。

大好きな年下女性と隣り合ってベンチに坐りその身体を抱きしめたまま、宏之はジーパンの中でどくどくと射精を始めていた。

自分のへそに向かってそそり勃った陰茎の根元から熱い快感がほとばしる。夕べ出したばかりのはずなのに、どくり、どくり、どくりとエラは宏之の意志を無視して勝手に三回も脈打ち、そのたびに鼻の穴の奥から脳に向かってヒリついたしびれが気持ちよく駆け抜けた。

(し、しまった……出しちゃった)

悔やんでも一度出始めた精液を食い止めることなどできなかった。さらにまた一回腰の芯に甘いしびれが走ってビクンと精子を噴き出してしまった。お腹の上を生温かい粘液がつたう不快な感触があった。

宏之はふと思った。

(ヤバい。匂いで、気づかれないか……?)

どうやら祐美香も男性に抱擁されビキニ越しに胸にさわられるという未知の体験でいっぱいいっぱいのようだ。目をぎゅっと閉じ、顔を真っ赤にさせて、半開きのくちびるをひくひくさせている。

それに山中の休憩小屋だ。周りは林だし雑草もたくさん生えている。雨の匂いと草の匂いでペニスの先っぽから氾濫した精液の青臭さがかき消されているのだろう。

ほっとした。

(出しちゃったこと……バレてないみたいだな)

射精したことで、芽生えかけていた獣性は鎮まっていた。

あこがれのグラビアアイドルはまだじっと、熱い蜜を練り固めたようなその発達しきった身体を任せてくれている。

(これで充分じゃないか。祐美香さん相手にここまでできたファンなんか誰もいないんだ……これ以上のことをしてしまったら、祐美香さんに悪いよ。祐美香さんの将来をぼくが奪っちゃうわけにはいかない)

好きな女子には、その人がいちばん好きな相手としあわせになってもらいたいから。

「桜さん。もう、これぐらいに、しておきましょう……」

ささやいて、少しずつ力を抜いていった。

「えっ? は、はい……」

年下の処女は意外そうな顔をして、でもやはり安堵の色もはっきりと見せた。

(やっぱり、これで、よかったんだ。無理やり襲ったりしなくて、本当によかった)

なんだか急に疲れがどっと押し寄せてきた。

きのうカーペットやベッドやマットレスを運んだ腕は今ごろになって痛むし、夕べからなんだかいろいろなことがありすぎたような気がする。

うとうとしてきた……

蒸し暑かった──。

こんな経験、初めてだった。

(ど、どうしよう)

太ももの上に男の人の頭が乗っている。

祐美香は困っていた。胸にさわらせてほしい、なんて言われたときは、本当にどうしようかと思った。荒花先生がおっしゃっていたように、やっぱり男の人ってみんな、胸やお尻しか見てないんじゃないのか、と思った。佐橋さんに、さわられる練習をさせてくださいなんて頼んだのは間違いだったんじゃないか、自分がおろかだったのではないか──そう思いかけた。

でも──。

本当に、佐橋さんは衣服越しにちょっとさわっただけだった。

約束を守ってくれた。

(それに──佐橋さん。昼間、わたしが叩いてしまったのに──ぜんぜんそのこと怒りもしないで──)

グラビア撮影の現場では、荒花先生に怒鳴られて、逆に怒鳴り返したり、そのままキレて出ていってしまうような男性スタッフや編集者もいる。そういう現場を目にするたび、祐美香はしゅくしてしまうのだった。こういう業界ってこわくていやだな、と思ってしまうのだった。

(でも、こうやって、佐橋さんの寝顔を見てると──)

男の人って、こわいだけじゃなくて、意外とかわいいところもあるのかなあ、とも思えてくる。

それに──さっき。佐橋さんは胸やお尻じゃなくて、目をちゃんと見てくれた。