いけない誘惑水着 グラビアアイドルの撮影日記

できれば自分だけでなく祐美香さんを感じさせてあげたい。

声こそ始めのように痛みを訴えるものではなくなっていたけれど、人気グラビアアイドルの表情はあまり気持ちよさそうには見えない。宏之が最初よりも挿入に馴れたから自然な締めつけを感じ取れるようになっただけかもしれない。

(祐美香さんをイカせてあげたいけど……ぼくにはまだ無理かなあ)

気持ちではゆっくりにさせようと思っているのに、宏之の腰の動きはまた激しくなっていく。性器と性器の摩擦の音がたち始めて祐美香のあえぎ声を消していく。

「はあっ、はあっ、ひ、宏之くん、はっ、はあっ……」

年下女子大生の口はもう開いたままだった。

その表情を見て肉棒の根元から発した電流みたいなものが肛門の周りをしびれさせ、膝を震わせた。手をぎゅっと握り爪を手のひらに食いこませてももはや我慢も限界だ。

「祐美香さん……やっぱり、ごめん、ぼく、もう、出るっ」

宏之は腰を遣い、亀頭をより深くに潜りこませていた。

前に身体を倒し体重をかけながら、耳元でささやく。

「出すよ、祐美香さん、ぼく、出すよッ」

「うん、宏之くん。うん」

さらに挿入が深くなった。コチコチの男根が根元まで入った。とば口から奥まで膣全体が相変わらず射精をせがむように、みしみしと密着して絞り上げてくる。

(イクッ、ホントに、ぼ、ぼく、もう、出、し、ちゃ、う……ッ!)

次の瞬間には始まっていた。

「祐美香さんっ!」

肉棒の脈動に合わせてふたりの結合部からおたがいの分泌した汁の混ざりあったものが溢れ、敷物代わりのTシャツにしたたっていく。どく。どく。どく。どくどくどく……宏之の射精はまだつづいていた。

「あ、あっ! 宏之、くんっ」

(うわわっ、なんだっ?)

底みたいなところにこつんと当たる感触があった。ふくらみきった亀頭の先がそれをぐっと持ち上げていた。ひょっとして子宮口とかだろうか。肉傘のノックに肉のかたまりは粘液をしぶかせて応えてくれた。ふたりの腰がうねる。恥骨が恥骨を押す。毛と毛がもつれあった。

「うおぅ!」

もうひと噴き、ドプンッ! と放っていた。宏之の目にはもう祐美香の耳と髪と砂しかなかった。視界ばかりか気持ちまでもが射精絶頂という名の白い靄に包まれきって他のことはどうでもよくなっていた。

出しながら女の子を抱きしめているのがこんなに気持ちいいなんて!

肌と体温と鼓動がこんなにしあわせを感じさせてくれるなんて!

どくどくと出しつづけているペニスが最愛の相手のぬくもりに包まれていることで、全身に幸福感がぴりぴりと走っている。

「ううーん……っ」

気品をいつも持っていた水着アイドルがうなり声みたいなものを上げていた。

その声で宏之は少しだけ現実に戻された。

祐美香の腕が宏之の背中に回り、ぎゅっと抱きしめてきた。

宏之の身体の下で二十歳の裸の腰が右に、左にくねった。

「ああ、わたし、なにか、へんに、ああ……う、あッ」

ううんッとうめいたかと思うと、その腰のうねりが止まった。白い喉を宙に向けて反らし、腰だけでなく太ももを硬直させている。その腰はぐぐっと浮かび上がり、宏之の腰に向かって一回、また一回、しゃくり上げるように動いた。

「ああ、わたし、へん、うっ……うっ……うっ」

祐美香のつぶつぶした膣の波打ちがそれに合わせていっそう強靭になっていた。ひだも祐美香とは別の意志を持った生物であるかのように青年の肉棒に熱くからみついていた。宏之は三回目の射精感に突き上げられていた。

「あうっ……ぼくもう出ないんじゃ……ふはうっ!」

「宏之くうん……ううう、ううっ、うっうっうっ!」

ふたりは揃ってうめいていた。

(ヤバいっ。まだイク……!)

宏之はさらなる快感に見舞われていた。脊髄をヤスリで擦られて後押しされるようにイキつづけていた。長く長く放出はつづいた。いつものようになにかを失ってしまうような感覚はなかなかやってこなかった。満足感に包まれつづけていた。

「祐美香さんっ、祐美香さんっ、すごいようっ」

「ひろ、ゆき、くうん……っ」

まるで自分の中の生命力すべてを出しきるような射精だった。祐美香の粘膜も収縮して宏之のものを絞り尽くそうとしてくる。宏之はすべてをぶちまけるように射精しつづけていた。敏感な亀頭粘膜をいっぱいにふくらませきって可憐な膣粘膜の感触を味わいながら出しつづけた。

それでもやがて長い放出が終わり……。

ようやくこころの中にひとすじ冷たい空気が流れて、宏之はいつもの自分を取り戻すことができた。うれしいはずなのに、しあわせなはずなのに、なぜかもの哀しい気持ちになっていた。

(祐美香さん……今、ぼくで気持ちよくなってくれたのかなあ……?)

よくわからなかった。

少なくともイクというわかりやすいことばは使ってくれなかったから。

(あんなに痛がっていたんだから……そんなに簡単に気持ちよくはならないんじゃないかなあ……でも祐美香さんはへんな演技をするような人じゃないと思うし……)

ぼくとひとつになれたっていうこころの満足感みたいなもので身体も反応してくれたっていうのなら、すごくうれしいけれど。

経験の浅い宏之にはわからないことだらけだ。

(イッてくれたの? なんて、訊けないし……本当のこと答えてもらえるかどうかもわからないし……)