「ああん、や、やだっ、先生、やめてください」
「祐美香の初々しい反応を見てると、加奈もインスピレーションが湧いて、いい写真が撮れそうな気がするんだなあ……」
一方、黒髪お下げのおさななじみは呆気に取られている宏之の前にひざまずき、肉棒をしごき始めていた。
「ねえ、祐美香ちゃん。ふたりの縁結びに協力してあげたんだから、このたくましい硬ーいおちんちん、お裾分けさせてもらっちゃダメかなあ? あたしも一回体験してみたいんだなあ」
「そ、そんな。宏之くんはわたしの……」
駆け寄って結を宏之からもぎ離そうとする祐美香の身体を、加奈が後ろから抱きしめ直す。
「祐美香から佐橋くんを奪ったりはしないわ。ちょっとだけお試ししてみたいのよ。今日だけよ。約束する。佐橋くんのおちんちんには加奈も興味があるのよねえ」
「せ、先生まで、そんなあ……」
「あら。この前は三人であなたのことを気持ちよくさせてあげたでしょ? あなたは自分だけよければそれでいいの? そんなことないでしょ? 今日はみんなで気持ちよくなりましょうよ。祐美香のことだってたっぷりとかわいがってあげるから」
加奈が女性ならではの繊細な手つきで、キャミ越しにグラビアアイドルの敏感な乳首をまさぐっている。
「あっ、ああん、ダメえ、先生……っ」
黄色い声を上げる祐美香のすぐ横で宏之も、いきなり結のフェラチオ攻撃を受けていた。早くも肉棒は限界まで隆起しきって先端から透明の先走り汁をこぼしている。
加奈が今度は宏之にすり寄って、いきなり頬を舐めてきた。
「菊池さんも、先生も、ひ、宏之くんを取らないでくださいっ」
恋人が巨乳を宏之の胸板に擦りつけてくる。
「うわわっ、祐美香さん……っ」
(こ、こんなことしていたら、身体、もつかな、ぼく……?)
宏之の忙しいエッチな日々はまだまだ当分はつづきそうだった。
※
……かというと。
そうでもなかった。
RRRRR~♪
「ん……?」
まぶたを擦りながら、まくらもとで鳴った携帯を取る。
──おはよう、宏之くん。
いつものモーニング・コールだった。時計を見ると午前六時。でも。
「祐美香さん。日曜日なのに、なんでこんなに早く……?」
──ごめんなさい。宏之くんの声を聞かないと一日が始まった気がしなくて。
あの後発売された写真集を最後に、祐美香は完全にグラビア活動からは引退して東京で学生生活を送っている。宏之は大阪の大学に通う毎日をつづけていた。頻繁に会うというわけにもいかないのだった。
(毎朝電話をかけてきてくれるのはうれしいけど、ひょっとして、なにか疑われてるのかなあ。ぼくは祐美香さんひとすじなのに……)
約束通り、あれ以降は女流カメラマンも女性編集者も横合いから手を出してくることはなかった。
──もしもし、宏之くん。聞いてる?
「ああ、うん。聞いてるよ」
──わたしの親に会ってくれる約束、忘れてないよね?
(うっ)
それはふつうに忘れていた。
──もしもし、宏之くん? もしもし?
これから嵐や高波があるのかもしれない。でもさんさんと輝く祐美香と宏之の恋の夏は今、本番を迎えたばかりだった。