パーカーに隠れて見えづらかった胸のふくらみがはっきりとわかる。
祐美香さんほどでもないし、意外と巨乳そうだった荒花先生ほどでもないだろう。布地の内側に桃かトマトでもちょこんと入ってるみたいなふくらみ方だった。でもジーパンに包まれた太ももやお尻はやっぱり魅力的。
「いや、だから。どうしてお風呂場なんですか」
「そりゃあもちろん、きみの部屋にふたりでずっといて祐美香ちゃんが来たら誤解されちゃうし。ここなら万が一のときでもなんとか言いわけできるし。それに訓練にちょうどいいんだな」
「訓練? なんの?」
「ヒロくん。それよりあたしの質問に答えなさい。いい?」
「は、はい……」
「ヒロくんさあ、ガツガツしすぎてたんじゃない? 自分のパンツ降ろす前に、ちゃんとやさしく前戯してあげたのかな?」
「前戯……ですか」
宏之はさっきのことを思いだしてみた。キスをして。胸とかさわって。うん。あれは前戯だったんじゃないだろうか。そう思えたので首をたてに振って、
「うん。した」
と答えた。
おさななじみのお姉さんはジロリと睨んできた。
「わかってると思うけど、五分間や十分間じゃあ前戯とは言わないからね」
え……。
(いや、それは、わかっていなかったかも)
しかたなくもごもごと口にする。
「そこまではしませんでした……」
「だよねえ。さあ、そこに坐って」
指さされてバススツールに腰かけた。
結がその前に来て立て膝をついた。
「あのさあ、ヒロくん。ひょっとして溜めこみすぎてたんじゃない? ヒロくんぐらいの若さだと、ふたりっきりになる前にこっそり抜いておいた方がよかったかもね」
「はあ?」
「だ、か、ら。ギラギラしすぎてたらじっくり愛撫もできないでしょっ、ってことよ。しかたないなあ、お姉さんが手伝ってあげよう」
タンクトップ姿の年上女性は黒いお下げ髪を短く左右に揺らしながら前かがみになって、手を伸ばしてきた。
ベルトをゆるめチャックを降ろして前を開かせ、汗で濡れたトランクスの中に指を入れて若い肉棒を弾き出させる。
結は目を丸くさせた。
「うわ……」
「ど、どうしたの? 結姉ちゃん?」
「これ、あたしでもオドロキだよ! 初めての子がこわがって当然だよ!」
え……? そうなの?
(あ。そういえば……荒花先生も一瞬だったけど、驚いたような顔してたっけ)
あこがれのグラビアアイドルに逃げられてからもずっと半勃ち状態がつづいていた。結の指で引っ張り出されたその刺激だけで、ギンギンに勃起しきっていたのだ。
そこにすっ、と。
指がからみついてきた。
「ゆ、結姉ちゃん、なにを……」
「つらくない? 出させてあげる。少し落ち着きたいでしょ?」
親指となか指とくすり指で包みこむようにやさしく幹を握られた。そのままゆっくりと上下に動かされる。自分でするときとはやっぱりまるで違うゾクゾクとした快感がお腹やお尻の方にまで響いてきた。同時に熱いものが根元からこみ上がってきて噴き出させそうになってしまう。
「結姉ちゃん、ヤバいよ、だ、出しちゃうからっ」
「いいんだよ。出しなさい」
甘いしびれといっしょに這い昇ってきた精液が尿道を内側からひりひりと圧迫してくる。年上の異性の手指で擦られる気持ちよさとのダブルの刺激で宏之はもう追いつめられていた。Tシャツの下では一気に新しい汗が噴き出してきた。
「ゆ、結姉ちゃん。やっぱり、やめて、こんなこと」
「どうして。恥ずかしいから?」
それもあるけど、と宏之は自分の気持ちを口にした。
「ぼく……そりゃあ少し前までは、祐美香さん以外のグラビアを見てオナニーしたことだってあるけどさ……でも、もう今は、祐美香さん以外では出したくないんだよ。なんか、祐美香さんを裏切っちゃうみたいで、イヤなんだ」
ひゅう、と結は口笛を吹いた。
「驚いた。ずいぶん一途なんだね。祐美香ちゃんがうらやましいわ」
しかし美微乳タンクトップのお姉さんは奉仕をやめてはくれなかった。
むしろ手コキのピッチが上がっていく。
「ゆ、結姉ちゃん、なんで……?」
「ヒロくんの、祐美香ちゃんに対する想いの強さ、見たくなってきた」
ぺろりと舌舐めずり。
「そんなに祐美香ちゃん以外で射精したくないんなら、我慢してごらんなさい。どこまで我慢できるかなあ? うふふっ」
「そ、そんな……」
立ち上がろうとしたが、その前に結が空いていた方の手のひとさし指を宏之の眉間に突きつけてきた。そうされただけで坐った状態から身体を動かせない!
「な、なにを……」
「女だからって、舐めないでよ、ヒロくん。ヒロくんの抵抗ぐらい、封じられるんだからね」
「な、舐めてはいませんけど……」
「そう? じゃ、あたしが舐めちゃおっかなあ?」
浴場はエアコンなど効いていないから暑い。奉仕する結ももう汗をびっしょりとかいているようだ。湿りきったタンクトップの薄い生地を盛り上げている胸果実の小ぶりなふくらみ。その頂点ではふたつの突起がはっきりとその可憐そうなかたちを浮き上がらせて宏之の情欲を煽っている。
(ゆ、結姉ちゃんって、ノーブラ……?)
「うふふ」
結は微笑むと、またぺろりと舌を見せた。唾液にぬめった桃色の舌粘膜はなんだか淫靡な光を放っている。
「意外とたくましい身体してるじゃないの、ヒロくん」