女教師たちの童貞いじり 美尻挑発の甘い罠

「ちょっと私と一緒にいらっしゃい」

(あぁぁあ。僕、どうなっちゃうんだろう)

子羊のように身体を震わせながら、正平は突き刺すような視線を送る美帆を、ただ黙って見つめることしかできなかった。

しーんと静まり返った廊下を、美帆は無言のまま歩いていく。

そのあとに続く正平は唇を真一文字に結び、さすがに真摯な顔つきをしていた。

一歩一歩足を進めるたびに、自分がまるで十三階段を昇る死刑囚のように思えてくる。

「あなたは、ちょっとここで待ってらっしゃい。先にホームルームを済ませてきちゃうから」

美帆は教室の前に正平を立たせると、そのまま扉を開けて中へと入っていった。

ざわついていた教室内が、一瞬にして静まり返る。正平は壁に寄りかかると、何度も首を小さく横に振った。

(バカだな……パンツをあんなところに置いておくなんて)

あの場面を見たら、覗き目的で女子トイレに忍びこんだと思われても仕方がない。いったい美帆に、どんな釈明をすればいいのだろう。

いや、この状況では、もはや下手な言い訳はしないほうがいいのかも知れない。相手は優しい性格の美帆で、しかも正平の担任なのである。大事にはしたくないというのが本音だろうし、正直に話せば、きっとわかってくれるはずだ。

廊下で待つ時間が、正平に平静さを取り戻させてくれる。美帆は三分と経たず、教室から出てきた。

「ついてらっしゃい」

美帆が声をかけると同時に、目線でも合図を送ってくる。正平は項垂れた姿勢を保ちながら、そのあとに続いた。

心に余裕が生じたのか、先ほどとは打って変わり、わずかながらも気持ちは軽くなっている。正平の視線は、自然と前を歩く美帆のヒップへと向けられた。

タイトぎみのスカートが、尻朶のかたちをくっきりと際立たせている。やはり真奈よりはワンサイズ小振りだったが、それでも蕩けるような脂肪がたっぷり詰まっているのか、いかにも柔らかそうだ。

正平は、またもや股間を疼かせていた。

(いけない。こんなときに何を考えてるんだ)

いくら美帆が生徒思いの教師だとしても、あまりにも状況が悪すぎる。殊勝な顔をしていなければ、心証を悪くしてしまうだろう。

美帆は廊下を折れ、記念館へ通じる廊下へと向かった。昨日正平が歩いた順路だけに、思わずドキリとしてしまう。

(それにしても、いったいどこに行くんだろう?)

正平の心に、徐々に不安感が芽生えはじめた。

てっきり生徒相談室に行くと思ったのだが、美帆はお構いなしに記念館へと足を踏み入れる。もちろん記念館に相談室は設置されていないのだが、それでも美帆は階段を昇り、ついに二人は最上階にまで到達していた。

四階にはLL教室があり、隣接して英語講師室が設置されている。美帆がその講師室に連れていこうとしていることに、正平はようやく気がついた。

どうやらこの時間帯は、LL教室を使用しているクラスはないようだ。暗いガランとした教室の前を通り抜け、美帆が講師室の扉を開ける。

導かれるままに室内に入った正平は、神妙な顔つきのまま、あたりを見回した。

真正面の窓の手前には長机に肘掛け椅子、両脇にはスティール製の棚が備えつけられ、教材が隙間なく置かれている。左奥にある扉は、どうやらLL教室に続いているようだ。

美帆は、主に英会話の授業を担当している。

おそらくこの講師室を使用しているのは、英語教師の中では彼女一人だけなのだろう。思っていた以上に、きれいに整頓されている部屋だった。

美帆は簡易椅子を正平に勧め、自分は腕組みをしながら長机の上へと腰掛けた。

「さあ、ちゃんと説明してちょうだい。あなた、女子トイレでいったい何をしていたの? 前もって言っておくけど、嘘をついたら大変なことになるわよ」

最後の脅し文句に思わず震えあがった正平だったが、椅子に腰掛けると、ちょうど目の前に美帆のすらりと伸びた足があり、どうしても視線がそこにいってしまう。

正平は俯きながら、廊下で考えていた返答を、そのまま言葉にした。

人身事故によってスクールバスが大混雑したこと。不本意ながらも真奈と密着する体勢になり、射精してしまったこと。汚れたパンツを処分しようと、トイレに向かったこと。

突然美帆がやって来たために、出るに出られなくなってしまったというくだりで、正平はまたもやしゃくりあげた。

このときばかりは、自分自身が本当に情けなく、溢れ出す感情を抑えることができなかったのである。

「嘘は言ってないわね? 田所先生に聞けば、本当かどうかわかるのよ」

「ほ、本当です!」

涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔をあげ、正平はやや強い口調で答えた。

すべて正直に話している。真奈がペニスを刺激するかのように、ヒップを小刻みに動かしていたという点だけを除いては……。

必死の弁明が功を奏したのか、美帆はようやく笑みを浮かべた。

「しょうがない子ね。わかったから、もう泣くのはおよしなさい。でも、その前に一つだけ言っておくことがあるわ」

美帆は再び口元を引き締めると、はっきりと言い放った。

「今回はしょうがなかったことだと認めてあげるけど、今後いっさい女生徒相手に変な気持ちは起こさないこと。約束できる?」

「約束します!」

正平は、間髪を入れずに即答した。