正平の尻朶には、もみじ型の手の跡がくっきりと浮かびあがり、やがて真っ赤に染まっていった。
「うっ……うっ」
甲高い音が鳴り響くたび、身体がガクンガクンと前後に揺さぶられ、口から小さな喘ぎが何度も洩れてしまう。
真奈は正平の身体の横に立ち、その様子をほくそ笑みながら眺めていた。
本来なら泣きたくなるほどの羞恥だったが、愛理に尻肉を叩かれるたび、正平の心境も変化を見せはじめた。
臀部は人間の身体の中でも、一番鈍感な部分である。
愛理の手は子供のように小さく、力を込めているといっても限界はある。しかも痛みにも慣れはじめたのか、それは徐々に甘美な疼痛となって、正平の股間を刺激していった。
萎靡していた肉茎が、ググッと反り返ってくる。
(あ、まずい。まずいよぉぉぉう)
仕置きの張り手が五回を過ぎる頃、正平のペニスは禍々しい熱のこもった強ばりと化していった。
リボンの紐が肉胴に喰いこみ、またもや激痛を与えてくる。今では尻よりも、根元を縛るリボンの痛みのほうが大きいぐらいだ。
そのことにいち早く気づいたのは真奈だった。
「あら。どうしちゃったの? お仕置き受けてるのに、おチンチン大きくなってるじゃない」
「まあホント、やだわ」
正平はバツが悪そうに顔を歪める。横から覗きこんだ美帆は呆れ声を放ち、平手を中断した愛理も呆然とした顔つきをしていた。
「困ったわね。これじゃお仕置きにならないわ。お尻を叩かれて感じちゃうなんて、いったいどういうことなの?」
正平がM気質を持った少年だということは、大人の女性である美帆と真奈なら、十分承知しているはずだ。知っていて、あえてとぼけている。
もちろん当の正平は、そのことにはまだ気づいておらず、不可思議な安逸感とともに、肩を小さく震えさせるばかりだった。
「柏木さん、どうかしら? 江本君、反省しているように見える?」
美帆が問いかけると、それまで唖然としていた愛理はキッと柳眉を逆立てた。
「思いません! こんな状態で感じちゃうなんて、絶対に許せないです!!」
「そうね。悪いことをしたっていう自覚が、まるでないみたいだわ。どうしたらいいかしら?」
美帆がはっきりした口調で問い質す。
それは美帆自身が仕置きをしたいがために、愛理にその口実を与えているかのような口ぶりだった。
「それは……」
当然のことながら、この状況下に置かれた十六歳の女の子が適切な対応などとれるはずもない。しばし考えたあげく、愛理はこう言い放った。
「美帆先生と真奈先生にお任せします」
「そう。わかったわ。それじゃあなたに代わって、私と田所先生がお仕置きをしてあげる」
「そのほうがいいかもしれないわね」
仕方なくという美帆と真奈の言い方だったが、その響きには、高揚感が満ちている。
正平の欲情もさらに膨れあがり、ペニスはますます熱い滾りを増すばかりだった。
「江本君、こちらを向きなさい」
美帆の言葉に、正平は待ってましたとばかり、後ろを振り返る。
赤黒く膨張した剛直がぶるんとしなり、それはまるで自己主張するかのごとく、躍動のいきり立ちを見せていた。
3
美帆と真奈の視線が、喰い入るように股間に向けられる。
正平のペニスは、自分でもびっくりするほど、凄まじい様相を呈していた。
根元がリボンで固く結ばれているため、海綿体に流れこんだ血液は留まったまま、静脈が破裂しそうなほど浮き出ている。
やや鬱血しかかったペニスはまるで鋼のような硬直を見せ、臨界点まで張りつめた亀頭も、まるで自分の顔が映りそうなほどテカテカの状態だ。
愛理は自分が施したことの結果にもかかわらず、異形の物体を呆然と見つめている。
あまりの怒張ぶりに、さすがの美帆と真奈も一瞬目を丸くさせたが、すぐさま淫蕩な笑みを口元に浮かべた。
瞳が潤み、口もやや半開き、まるで御馳走を目の前にした野獣のように、舌なめずりさえしている。
「江本君、覚悟しなさい。たっぷりお仕置きしてあげるわ」
美帆の言葉に、正平はブルッと腰を震わせた。
期待感が全身をすっぽりと包みこみ、あまりの喜悦に胸がキュンと締めつけられる。
だが美帆と真奈がジャージのチャックを下ろしはじめると、その目はみるみるうちに大きく開かれていった。
(なんだ? あれはなんだ!?)
てっきりノーブラだと思っていた美帆の上半身は両乳房を除き、真っ赤な網目模様の着衣に覆われていた。
網の目がグラマーな肢体に喰いこみ、ダイヤのかたちに浮き出た白い肌が、なんとも艶かしい。
ズボンが脱ぎ下ろされると、正平はさらに口をポカーンと開けた。
網目の着衣は下腹部まで続いており、かたちだけ見れば、それは確かにレオタードに違いなかったが、股間は円状にきれいにくり抜かれ、楚々と生えた恥毛や縦筋が丸見えの状態だった。
「どうかしら? おっぱいもあそこも丸見えのセクシーレオタードを着てみたんだけど。あなたこういうの大好きよね?」
美帆はそう言いながら、コスチュームを自慢するように両拳を腰に当てがう。その仕草は仕置きというセリフとはまったく裏腹のものだったが、正平はただ美帆の官能的な姿を注視するばかりだった。
透き通るような白い肌と、赤い網目のコントラストがやけに眩しい。
釣り鐘状に盛り上がったバストの膨らみ、肉感的なヒップのまろやか曲線、弾力性のあるムッチリとした太股。それらが三位一体となって、凄まじいエロチックさを醸し出している。