女教師たちの童貞いじり 美尻挑発の甘い罠

「江本君の話を聞く前に、ちょっと聞きたいことがあるんだけど、あなたさっき記念館に来てなかった?」

「え?」

その問いかけに、正平は心臓をドキリとさせた。

確かに部員の一人は、練習風景をカメラに収めている人間の存在には気づいていたはずで、実際にとなりの部員に耳打ちしていた。おそらくその事実は、愛理の耳にも入ったのだろう。だが、それが自分だとは言えるはずもなかった。

「な、なんのこと? 僕、知らないよ。お腹が痛くて、ずっとトイレにいたんだから。トイレに行く前に美帆先生に会っているから、聞いてみたらいいよ」

咄嗟に口をついて出た言葉に、正平は我ながらうまい言い訳だと思った。

美帆と会ってから、すでに一時間は経過しているが、詳細な時間の確認まではしないだろう。だが愛理は、明らかに疑念の眼差しを送ってくる。

「どうかしら? あなたは中学時代にも、私の写真を盗み撮りしてたんでしょ?」

「なっ!」

正平は、思わず絶句した。

更衣室覗きにより、女生徒たちが憤慨するのは仕方ないにしても、盗撮写真のことに関しては、村木以外誰にも知られていないはずだ。

その疑問に答えるかのように、愛理は言葉を続けた。

「私のパソコンに、写真を送りつけてきた人がいたの。フリーメールだったから、誰が差出人かわからなかったけど、そこにはあなたが盗撮した写真だとはっきり書かれていたわ」

(あっ。あいつだ!)

村木に違いなかった。

正平の気づかない間に、画像をダウンロードしていたばかりか、愛理に送りつけていたとは。なぜそこまでする必要があるのか、激しい怒りが込みあげてくる。

あの写真の中にはバストやヒップ、そしてアンダースコートの股間部を捉えたアップまである。それを見た愛理が、憤怒の情を覚えるのは当然のことだろう。

「ぼ、僕じゃないよ。第一、その写真を撮った人物が本当に僕だったら、わざわざ自分の名前を書いて、君に送りつけたりしないでしょ?」

愛理は、無言のまま正平をじっと見つめている。どうにも合点がいかないといった表情だ。

「まあ、いいわ。それであなたの話ってのは何?」

正平は安堵感を得ると、ようやく本題に移った。

「うん。あのね。その……こんなことお願いするのは筋違いかもしれないんだけど、僕の中学時代のことは……どうか誰にもしゃべらないでほしいんだ」

正平がやや俯き加減で懇願すると、愛理は間を置かずに即答してくる。

「なんだ、そんなこと。安心して、絶対に誰にも話さないから。だって、あなたみたいな人と同じ中学出身だなんて思われたくないもの」

愛理はズバリと言ってのけると、踵を返し、そのまま教室から出ていく。その後ろ姿を、正平は呆然と見送った。

瞬時にして心の中を寒風が吹きすさんだが、もちろん返す言葉などありはしない。

中学時代に憧れた美少女は、その芯の強さもまったく変わっていなかった。

彼女に対する思いは覗き事件であきらめという感情になり、やがて愛理が一年先輩の男子生徒と交際、初体験まで済ませたという噂を聞くたび、自分でもびっくりするほど気持ちが覚めていった。

(まあ……いいさ)

正平の現在の一番の関心は、美帆と真奈である。

彼女たちの大人の魅力に比べたら、愛理などまだまだ青い果実といったところだ。

とにかく今の自分は、美帆と真奈の盗撮写真という、生唾もののお宝を手にしている。

正平は気を取り直すと、机の上に置いてあった鞄を手に取り、足早に教室を後にした。

翌日の金曜日の朝、正平は学園最寄りの駅に到着すると、脱兎のごとく改札口を飛び出していった。

昨夜は美帆と真奈の盗撮写真で二回もオナニーしたため、朝が起きれずに寝坊。しかも運が悪いことに人身事故が重なり、電車が遅れてしまったのだ。

スクールバスは三台を使用し、駅と学園を往復しているのだが、一番遅く駅を出発するバスの時間は五分も過ぎている。周りを見てみると、やはり事故に巻きこまれた何人もの女生徒たちが並行して走っていた。

(ああ。よかった)

事故の情報が、学園側にも入っていたのだろう、駅前のロータリーに、見慣れた学園のバスが停車している。正平は女生徒たちとなだれこむように、バスへと乗りこんでいった。

そのあとからも次々と生徒たちが乗降口に押し寄せ、正平の身体は中へ中へと押しこまれていく。これほどの混雑ぶりは、入学以来初めてのことだ。

女生徒たちの甘酸っぱい体臭が充満し、正平は早くも額から脂汗を滴らせていた。

バスは五分後、すし詰め状態のまま出発し、急カーブの山道を普段よりやや速めのスピードで昇っていく。

曲がり道にさしかかるたびに、生徒たちの身体が左右に揺らぎ、背の高い女生徒たちの背中に挟まれた正平は、苦悶の表情を浮かべた。

(いたた。この位置はきついや)

ちらりと横を見遣ると、わずかな空間がある。次のカーブで、正平は全身に力を込めつつ、一歩横へと身体を移動させた。

強烈な力で挟まれていたせいか、腕がじんじんと痺れている。正平はようやくひと息つくと、眼前に佇む女性の格好に気づいた。

盟朋はグレーのブレザー、女子はリボンタイにチェックのプリーツスカート着用が義務づけられていたが、その女性は普段着の格好をしている。真っ白なブラウスに黒のタイトスカートは、明らかに生徒のものではない。