女教師たちの童貞いじり 美尻挑発の甘い罠

正平は顔を真っ赤にさせながら、慌てて俯いた。

「これから部活?」

「い、いえ。あの……ちょっとトイレに寄ってから帰ろうかなと思いまして」

「そうなの。駅に着くまではちょっと時間もかかるし、先に済ませておいたほうがいいわね」

咄嗟に嘘をついたものの、美帆はなんの疑いも抱いていないようだ。

彼女は新体操部の顧問をしており、スポーツバッグを手にしているところを見ると、これから部員たちの指導に向かうのだろう。

今日の美帆は、いつにも増して輝いているように思える。それはこれから起こそうとしている正平自身の行動が、大きく関与していたのかもしれない。

じゃ、気をつけて帰るのよ」

「は、はい」

終始笑顔を絶やさないまま、美帆は正平の前から立ち去っていった。

視線が、自然と丸い柔らかそうなお尻に向けられる。腰の位置が異様なまでに高く、ヒップから足首にかけての流れるような脚線のなんと美しいことか。知らずしらずのうちに、感嘆の溜め息が洩れてしまう。

美帆の後ろ姿をぼけっと見ていた正平だったが、彼女が廊下の角を折れて姿が消えると、すぐさま困惑したような表情を浮かべた。

(困ったなぁ。こんなところで美帆先生と会っちゃうなんて。どうしよう。また次の機会を狙うか……)

正平が顎に手をかけて思案していると、またもや前方から女生徒の集団がやってきた。

「あっ! 正平君だ」

「いつになく難しい顔してどうしたの?」

「ねえ、よかったら駅前のファーストフード店に寄ってかない?」

次々と女生徒たちから声をかけられた正平は、条件反射でまたもや人懐っこい笑みを浮かべた。

「ごめん。行きたいんだけど、今日はちょっと用事があって」

「ホントに? 他の女の子と待ち合わせしてるんじゃないの?」

「全然! 絶対にそんなことないから!」

正平が顔の前で手を振って否定すると、女生徒たちは無邪気な笑い声をあげた。

「じゃ、今度誘ったときはつき合ってくれる?」

「うん。約束するよ!」

最後に挨拶を交わし、女生徒たちはキャッキャッとはしゃぎながら、下駄箱の方角へ歩いていく。正平はにこやかな笑みを目一杯振りまき、彼女たちの姿が見えなくなると、すぐさま口元を引き締めた。

(残念だけど、僕が興味を抱いてるのは、君ら女子生徒じゃないのさ)

正平は意を決すると、新聞部の腕章を腕につけ、美帆の後を追うように廊下を歩いていく。そして校舎の二階から渡り廊下を伝い、隣接する記念館へと歩を進めた。

この記念館は四階建てで、三年前に建てられたばかりのせいか、まだ壁も白く、廊下もピカピカの状態だ。

一階には二階まで吹き抜けの講堂があり、三階には部室や更衣室、四階は視聴覚室にLL教室、図書室などの文科系の教室が設置されていた。

記念館に足を踏み入れると、すぐさま軽快な音楽のリズムが聞こえてくる。正平は思わず胸をときめかせた。

(とにかく様子だけでも見てみよう。だめだったら、また来ればいいんだし)

講堂を一望に見下ろせる二階の張り出し口に向かい、部員たちに見つからないように一階を見下ろす。

講堂内ではちょうど新体操部が部活をしており、レオタードを着た部員たちが音楽に合わせ、華麗な演舞を披露している最中だった。

ポケットからデジタルカメラを取り出し、慎重に廊下側を見渡すも、人影はまったくない。

正平は新聞部に所属しており、月末に校内新聞を発行している。

本来は写真部に入部したかったのだが、あいにく盟朋には写真部がなく、カメラを手にしていても不審に思われない新聞部に入部したのだった。

これなら誰かに見つかっても、校内風景を新聞に載せるため、という言い訳が成り立つ。

腕章はいざというときのための保険のようなものだったが、先ほど美帆にこれから帰宅すると言ってしまったあとだけに、あまり意味はなさなかった。

とにかく誰にも見つからないよう、慎重に行動しなければならない。張り出し口の手すりからちょこんと顔を出した正平は、一階をぐるっと見渡した。

(来たっ!)

着替えを済ませた美帆が、講堂に姿を現す。

正平の目的は新体操部の顧問である、美帆の姿を撮影することだった。もちろん、レオタードの写真である。

(やっぱり、カッコいいなぁ)

正平は羨望の眼差しを送りながら、素直にそう思った。

身長は一六五センチを超えたあたりだろうか、小柄な体格の多い女子部員よりは、やはり頭一つ抜け出ている。セミロングの髪を黄色いリボンでアップにしていたが、その姿もかわいい。

正平は二・〇の視力で、今度はじっくりと美帆の顔を凝視した。

細い流麗な眉は眉尻がややあがっていたが、三日月型の瞳は逆に目尻がやや下がっており、それが見る者に安らぎを与えさせる。

小さな鼻、いつも笑みを浮かべているような涼しげな口元は清楚で上品、まさに理想とも言える優しいお姉さんタイプの女性だった。

美帆は学生時代から新体操をしていたようで、演舞する部員たちを一人一人レクチャーして回っている。その光景を見ながら、正平は内心舌打ちをした。

(だめだ。今日もジャージを着ている)

正平の記念館来訪はこれで四回目となったが、前三回はいずれも美帆がジャージを脱ぐ機会はなかった。

結局美帆の顔だけを撮影するだけに留まったが、今日こそはなんとしてもレオタード姿をレンズに捉えたい。