身体をぐっと押されて、大きな樹に寄りかかる形になった。確かにこの体勢ならば、校舎のほうから人が来ても、木が死角となって守ってくれるに違いない。
(亜季ちゃん、強引なんだから……)
寿治がキスをするまで、亜季は断固身体を離す様子はない。いっそ、キスしてしまったほうが、早くことが済む。
(はぁ……仕方ないか……)
腹を決めると、亜季の頬に両手を当てて顔を上向かせた。
長い睫がかすかに上下した後、亜季の目が切なさげにきゅっと細められる。目が閉じきる前に、ちゅっと一瞬だけくちづけた。
「……そんなんじゃ、ダメだよっ」
唇が離れると、亜季は不満げに唇を尖らせた。
「えっ、だって、キスしろって……」
「亜季がしたいのは、もっとちゃんとしたキスだもん」
亜季は寿治の首に手を伸ばすと、爪先立ちに背伸びして寿治にキスをした。すぐに舌が入り込んできて、口の中をぬるぬると這い回る。
(亜季ちゃん、すごく積極的だ……)
学校でするにはあまりに濃厚なキスだった。れろんと激しく舌を絡みつけてきたり、歯茎をトントンと軽くノックしてきたりと、寿治の性感をくすぐるような情熱的なキスに、下半身が血が集まって熱くなってきてしまう。
(うわっ、どうしよう、学校なのに……)
なんとか身体を平静に戻そうとしても、少女とこんなにみっちりと密着していては、鎮まるものも鎮まらない。セーラーブラウスの上に羽織ったベージュのカーディガン越しに、少女の巨乳がムニムニと押し付けられ、性感はますます猛りゆくばかりだ。
「あれぇ……トシくん、もしかして……興奮してる?」
寿治の下半身の変化に気がついた亜季が、指先を寿治の股間に伸ばして、そっと触れた。びくん。少女の柔らかな指の感触に身体が震えてしまった。
「あっ……これはその……だ、ダメだよ、触ったらますます勃っちゃうから」
「大丈夫、それだったら、亜季がイかせてあげるよ。ね、イクのって気持ちいいんでしょ?」
亜季はその場にすっとしゃがみこむと、寿治のスラックスのベルトに手をかけた。
「そりゃあ、イクのは気持ちいいけど……でも……」
「しっ、大きな声出しちゃ、ダメ。誰か来ちゃう」
亜季はすっと立てた人差し指を唇に当てて、寿治に黙るように言うと、スラックスのチャックを開いてトランクスの上からそっとペニスに触れた。
「あっ……ダ、ダメだよ、亜季ちゃん、ここ、学校なんだから」
「学校なのに、おちんちんを勃てちゃったのはトシくんだよ?」
「それは生理現象だから……あぁっ」
亜季がトランクスの中からにゅるりとペニスを引き出した。少女との濃厚な接吻で、すっかり勃ちきった屹立は、しっかりとその赤黒い鎌首をもたげていた。肉竿には蔓が巻きついたように太い血管が浮き出し、その生々しさが、明るい日差しの下で曝け出された恥ずかしさに頭がクラクラする。
「こうやって、トシくんのおちんちんをじっくり見るのって初めてだよね」
最初の公園で交わって以降、亜季とのセックスは、父親の留守中にいつも寿治の部屋でしていた。
一度だけ、亜季の身体をじっくりと見てみたいという好奇心から、電気をつけたままエッチをしていいかと頼んでみたが、亜季は「恥ずかしいから、今はまだ無理。もっと慣れてからね」と許してくれなかったのだ。
「ずるいよ、亜季ちゃん、ぼくばっかりこんな明るいところで見られて、恥ずかしい……」
「やっぱり男のコも、明るいところで見られるのは、恥ずかしいんだ」
「そりゃあ、そうだよ……」
亜季は情けない声をあげる寿治の陰茎に手を伸ばすと、親指と人差し指とで根元を支え、お腹側に反らすようにしてまじまじと見つめた。
「こんなに立派なんだもん、何にも恥ずかしいことないよ」
初めて明るいところで目にする男性器に好奇心を隠せない様子で、興味深げにいろんな角度からジロジロと観察しては、「へぇ」とか「うわぁ」とか声を漏らしている。
(ううっ、恥ずかしいけど……なんだかちょっと興奮しちゃうかも……)
羞恥心が煽られて腰の奥がむず痒く疼く。下腹部に溜まった何かがぐつぐつと沸き立っているようで、こそばゆいもどかしさに焦れてしまう。
「亜季ちゃん、あの、もうちょっと……上のほうを触って欲しいかも」
「ん? 上ってこっち?」
亜季が根元を掴んでいた指先をすっと亀頭の段辺りまで擦りずらした。
輪にした指が陰茎に擦れ、ぞわぞわとした快感が下半身に奔り、先端にぷくりとカウパー液が浮き出ている。
「あぁっ……」
「うわぁ、なんか先っぽから出てきたよ。ねぇ、なぁに、これ?」
亜季が空いている左手を鈴口に伸ばすと、こぷりと浮き立った先走りに人差し指の先を当てた。掬い上げて離すと、粘り気を持った透明の糸がつーっと引く。
「これは……カウパーっていって、気持ちがいいと出てきちゃうんだ」
「へぇっ、そうなんだ……すごい、まだまだいっぱい出てくるね……ぬるぬるしてて、なんだか不思議」
だらだらとペニスの先端から溢れるカウパー液に亜季は目を丸くしながらも、人差し指で掬い上げては、鈴口にとろりと塗しつける。粘り気を持ったカウパーが潤滑油の役割を果たし、ジンジンとした痺れが精道に奔って腰奥がムズムズしてしまう。
「お願い……亜季ちゃん、もう片方の手も……もっと動かしてくれるかな」