「知ってるよ、でも、亜季はトシくんの親友になったんだもん」
「親友!?」
まみが聞いてないとばかりに寿治を睨む。
「親友って……いや、友達にはなったけど」
「嘘だぁ。だって一番の友達になるって約束したもーん。ほら、お餅つきに行こうよ」
亜季は右腕に腕を絡みつかせると、ぐっと身体を押し付けた。
「友達なのに、スキンシップしすぎっ」
今度は左腕にまみが身体を押し付けてくる。
「ちょっ……待って、ふたりとも、喧嘩はやめようよ」
「山川くん、モテモテじゃない」
慌てふためく寿治に、担任教師は笑って冷やかす。
「いや、モテモテっていうか……」
ぱっと咲いた花のような華やかな同級生と、優しくしっかりとしたクラス委員長が口を揃えて言った。
「ねぇ、わたしたちの、どっちを選ぶのっ!?」
甘やかで忙しない一年は始まったばかりだ。