あと1センチもずれれば淫核というところで、唇を離して淡い陰毛に鼻先を埋める。石鹸の清潔な匂いの中に、かすかに甘酸っぱい匂いを嗅ぎ取った。
「あ……んんんっ……ぁあっ、意地悪しちゃヤダぁ……」
もどかしさに耐えかねたように、まみが身体をずらした。
「意地悪じゃないよ、焦らされたほうが気持ちいいんだよ……ほらっ」
寿治の舌を待ちわびてピンと突き立った淫豆を、伸ばした舌でべろりと舐めあげた。
「あひゃっんっ!」
待ちに待った舌先での快感に、まみは背筋をびくん、と反らせると大きな喘ぎ声をあげる。
(すごい、まみちゃん、いやらしい声を出してる……)
さっきよりも濃厚さを増した愛液が味蕾をまったりとくすぐった。小陰唇をパクリと咥え込み、ぴったりと閉じた隙間に舌を滑り込ませると、たちまちぬかるんだ淫襞が絡みついてくる。
「あぁんっ、気持ちいい、気持ちいいよぉっ!」
焦らしに焦らされて、優等生は矜持を忘れたかのように声を張り上げた。
「あぁ、まみちゃんのおま○こ、どんどんエッチになっていく……」
たっぷりと愛液をまとった小陰唇に包まれながら、くちゅくちゅと舌先を動かすと、奥から蜜がたっぷりと溢れてきて、顎までびしょ濡れになってしまった。
れちゅっ、ぬちゅっ、ねちゅっ。
小陰唇の奥の赤く充血した膣口を嬲ると、クリトリスが切なげに身じろぐ。それでは、と淫核を舌でつんつんと突くと、今度は誘い水のように愛液が染み出してくる。
(外も……中も気持ちよさそうだ……)
ひとつしかない舌では、両方を満足させられそうにない。太ももの付け根を押さえていた右手をクリトリスに持っていくと、人差し指でコネコネと弄る。
「あぁっ、ぁあああんっ、ひゃぁあんっ」
舌で丁寧にほぐされた淫粒は、指でもって愛撫しても、もう十分に性感を感じられるようだった。それでも、綿棒の先ほどしかない可憐な突起は儚い風情で、そっと扱わないといけないと本能が語りかけてくる。愛液をたっぷりと指先に塗すと、下から優しく撫で擦る。ぬらりと糸を引かせながら指先で刺激し続けると、まみの両足がぴんと伸びた。
「はぁっ、んんっ、寿治くん……ひゃゃぁっ」
まみが身体をぶるぶると震わせると、めくれあがったタートルネックセーターからはみ出した胸が大きく上下にバウンドした。助けを求めるように、スカートの裾を掴む手にはぎゅっと力が入り、細めに開いた唇から、ハッハッと荒い息が漏れる。
「あっ……んっ……あ、ぁああぁ────っ」
それでも、膣口にチロチロと舌を這わせながら花芯を指で責め続けていると、まみがビクン、と身体を揺らした。初めて秘裂にくちづけた時と同じように、股がぎゅっと内側に閉じて、寿治の頭を左右から押さえつける。
(あっ!)
水風船が破裂でもしたかのように、びしゃりとおびただしい量の愛液が、アソコから溢れ出して、床へと滴り落ちた。クリトリスは痙攣を起こしたようにふるふると震え、全身の肌がぽっと紅く染まる。
(まみちゃん、ひょっとして……初めてなのに、イってくれた……!?)
少女のアクメ姿を目の当たりにして、じんと感激が胸いっぱいに広がる。
初めてだというのに、寿治の愛撫に身を任せ、絶頂にまで達してくれるだなんて。
(ぼく、まみちゃんを気持ちよくできたんだ……)
充足感に満ち足りた思いでごろりとまみの右横に横臥すると、髪の毛を撫でる。
「寿治くん……すごく気持ちがよかったよぉ……」
たっぷり三分は待っただろうか。まみは仰向けていた身体を寿治のほうへと向き直すと、とろんと恍惚した目を寿治に向けて言った。
「まみちゃん、すごく可愛かった……大好きだよ、まみちゃん。まみちゃんはぼくのものだ」
ただでさえあどけない顔が、紅潮しているせいで余計に幼く見える。右手を伸ばして前髪をかきあげると、その額にくちづける。
「寿治くん……わたしも……」
まみも手を伸ばすと、寿治の身体に抱きついた。胸の中にすっぽりと抱え込んだまみから、トクントクンと心臓の鼓動が伝わってくる。
(なんて幸せなんだろう……)
こんな満ち足りた気持ちになったのは初めてだった。ただ、まみを満たすことができたという歓びが、身体中に渦巻いている。
「ねぇ、まみちゃん、今度は、ぼくのも……触ってくれる?」
「うん、もちろんだよ」
まだ股間は硬いまま、痛いほどに勃ちきったペニスを持て余してまみに頼むと、まみは目をとろりと細めて頷いた。
「ありがとう、まみちゃん」
「ん、でも……どうしたらいいかな、わからないから教えて」
「じゃあ、あの……ちょっと待ってね」
「ん……」
寿治は上半身を起こすと、ベルトを外した。デニムパンツを脱ぎ、下半身はトランクスだけになる。
「うわぁ、なんだか緊張しちゃう……」
まみも起き上がって座った状態になると、辺りをきょろきょろと見回した。
「どうしたの?」
「ううん、ひょっとして、椅子に座ってもらったほうが……触りやすいかもって思って」
まみが窓際から四列目、一番後ろの席を指差した。寿治の席だ。確かに床は冷たくて固い。まみの傷ひとつない膝を付かせるのは可哀想な気がした。
「じゃあ、そうしようか。まみちゃんの膝の下にはぼくのコートを敷こう」
「ありがとう、優しいんだね、寿治くん」