新妻【贖罪】 私は牝になる

「さあ、フェラチオするんですよ。奥さんの口で気持ちよくしてください」

酒井のくぐもった声が、耳の穴にねっとりと流れこんでくる。

(お口でなんて……そんな、はしたないこと……ああ、晃司さん……)

とにかく夫を落胆させたくなかった。卑劣漢に股間をしゃぶられて気をやったことなど、絶対に知られるわけにはいかない。夫を愛しているからこそ、酒井の命令に逆らえなくなっていく。

「どうせなら、そこにひざまずいてフェラしてもらいましょうか」

酒井はスラックスとトランクスを一緒に脱ぐと、大きく股を股を開いてソファーにふんぞり返った。そして怯える人妻の目をじっと見据えて、早くしろとばかりにペニスを揺らすではないか。

「や……ど、どうしても……しないと駄目なんですか?」

美帆はひとり言のようにつぶやいてソファーからおり、ストッキングに包まれた両膝を絨毯についた。男の臑から太腿にかけては毛むくじゃらで、生理的な嫌悪感が湧きあがってくる。でも、今はそんなことを気にしている余裕はなかった。

黒いバットのような太幹の根元に指を添えると、何度も躊躇しながら上半身をゆっくりと伏せていく。

「うっ……」

中年男の股間に顔を寄せただけで、強烈な臭気が鼻の粘膜を刺激する。パンパンに張りつめた亀頭の先端は、先走り液にまみれて淫らがましい光を放っていた。

「昨日もやったからわかりますね。できるだけ奥まで咥えるんですよ」

「ああ、ひどいわ……んむっ」

思いきって唇を押し当てると、ヌチャと湿った音が響いて鳥肌が立つ。腰が引けて逃げだしたくなるのを必死にこらえながら、ツルンとした表面を滑らせるようにして巨大な肉の実を呑みこんでいく。

「ううっ……むふうぅぅぅっ」

途端に男性器特有の生臭さが口内いっぱいにひろがり、反射的に嘔吐感がこみあげる。それでも太幹に指を絡めて、自分の意思で肉塊を咥えこんだ。

(気持ち悪い……いやです、こんなの……)

押さえこまれて無理やりしゃぶらされるのとは違う屈辱が、貞淑な新妻の胸を掻き乱す。またしても夫を裏切ってしまったという思いに駆られて、双眸から大粒の涙が溢れだした。

「よくできましたね。でも口に入れただけでは射精できませんよ。唇で締めつけながら首を振ってください」

計画どおりに事が運んで上機嫌な酒井が、居丈高に勝手なことを命じてくる。悔しいけれど無視するわけにはいかず、ゆっくりと首を前後に動かしていく。

「ン……ンン……うンンっ」

肉竿を唇で摩擦すると、火傷しそうな熱気が伝わってくる。膨張しきって黒光りする屹立は、まるで馬のペニスのように巨大だった。

「いい感じですよ。唇で唾液をまぶすように……そうです、気持ちいいですよぉ。舌も使ってみましょうか。飴玉を舐める感じでペロペロしてください」

要求はさらにエスカレートするが、弱みを握られているため従うしかない。

震える舌先を伸ばして、口内の亀頭にねっちょりと押しつけていく。先走り液でヌメる感触はあまりにも気色悪く、磯のような生臭さに吐き気がこみあげる。

(もういやです……せめて早く終わってください)

化け物のような肉塊を唇で刺激して、しかも舌まで使って卑猥に舐めまわす。愛する夫にさえしたことのない淫ら極まりない奉仕を、愛情の欠片も抱いていない中年男に施していた。

「おうっ、いい感じですねぇ。その調子でお願いしますよ」

酒井は先ほどから同じような言葉を繰り返し、気色悪い呻き声をもらしている。しきりに奉仕をうながしてくるが、いっこうに射精する気配を見せない。ただ人妻のフェラチオに恍惚となり、大量のカウパー汁を垂れ流していた。

「綺麗な黒髪ですね。あなたのように若くて真面目な奥さんが、私の臭いチンポをしゃぶってくれるなんて夢みたいですよ」

髪を撫でられるおぞましさに、背筋がゾクゾクッと寒くなる。それでも中断するわけにはいかず、懸命に首を振って極太の肉竿に舌を這わせていった。

「ううっ……おふっ……むふぅぅっ」

息苦しさと顎の痺れに悩まされ、全身にじっとりと汗が滲んでいく。

そもそも経験豊富で百選錬磨の酒井が、そう簡単に射精するはずがなかった。昨日はフェラ初体験ということで多少手加減していたのだが、そんなことを初心な新妻が知る由もない。

(どうして終わってくれないの? く、苦しい……もう、駄目……)

途方もなく巨大なペニスの魔力なのか、それとも単に酸欠状態に陥っているだけなのか、とにかく頭が朦朧となり卒倒してしまいそうだ。凄まじいまでの牡の力強さを実感し、自分はか弱い牝でしかないことを思い知らされていた。

「むはぁっ……ハァ……ハァ……」

疲れきってペニスを吐きだすと、華奢な肩を激しく喘がせる。額には玉の汗が浮かび、前髪が数本張りついていた。

「おや? 勝手にやめたら駄目ですよ。家内が退院するまでは、奥さんが性欲の処理をする約束じゃないですか」

酒井の声は聞こえているが、今は呼吸を整えるので精いっぱいだ。男の大きく開かれた脚の間にうずくまり、がっくりとうなだれて荒い息を吐き続ける。

「す……少し……休ませて、ください……」

とてもではないが、今すぐ長大なペニスを咥えることはできない。無理に再開すれば、きっと酸欠で倒れてしまうだろう。