新妻【贖罪】 私は牝になる

「ひぐッ……うむううぅぅぅぅぅぅぅッ!」

夫の愛用する椅子に大股開きで拘束されたまま、ついに背徳的なアクメに昇りつめていく。汗でヌメ光る裸体にビクビクと痙攣が走り、脳髄が甘く痺れるような絶頂感に酔いしれる。唇の端から透明な涎が糸を引いて垂れ落ちた。

(やだ……私……イッちゃった……)

しかし、陵辱者のおぞましいペニスを咥えていたために、よがり啼きを響かせることはなかった。

「クククッ……本当にイッたんですね。奥さんは本物の淫乱ですよ」

『美帆、そこにいるんだろ? 返事をしてくれないか』

絶頂の余韻が立ち籠める頭に、酒井の含み笑いと夫の訝しむ声が反響する。

ようやくオモチャの振動がとまり、勃起を引き抜かれた。思わず啜り泣きをこぼしながら、それでも新婚生活を守るために偽りの言葉を紡いでいく。

「ちょっと……指を火傷してしまいました……」

息が荒くなるのを懸命にこらえてつぶやいた。

『それは大変だ。病院に行かなくても大丈夫かい?』

「はい、大したことありませんから……」

『とにかく、すぐに氷で冷やしたほうがいいよ』

夫から電話を切ってくれたが、酒井の陵辱はまだ終わりそうになかった。

「さあ、奥さん。ここからが本番ですよ」

「ひいッ、ま、また動いて──ひああッ」

再び淫具のスイッチがオンになり、鎮火しかけていた官能の炎に油を注がれる。我慢してきた反動なのか、淫らがましい嬌声を抑えられない。二穴責めで強制的に送りこまれてくる快感は強烈で、瞬く間にアクメの予感が押し寄せてくる。

「やっ、待ってください、もういやっ……ひッ、ひッ、お願いです、ひいいッ」

懇願する声が上擦り、無意識のうちに腰がググッと迫りあがっていく。

薄い粘膜越しにふたつの淫具が暴れまわり、貞淑な人妻の理性を粉々に打ち砕いてしまう。夫に聞かれる心配がなくなったことで、いつもより激しいよがり声を書斎中に響かせる。

「さ、酒井さん、もう駄目ですっ……ひいッ、ひいッ」

「イキそうなんですか? 奥さん、またイキそうなんですね?」

卑猥な目で見つめられて執拗に訊ねられると、もう我慢できない。ビデオカメラに撮られていることも忘れて、美帆は泣きながら何度もガクガクと頷いた。

「ひああッ、い、イキそうです……ひいッ、あひいッ、もう……もうっ……」

「いいですよ、イッてください。さあ、思いきりイクんです!」

まるで酒井の声に反応するように、膣と肛門を抉られる愉悦が膨れあがり、目の前に眩い光が飛び散った。

「あひいいッ、イクっ、イッちゃいます、あひああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!」

アブノーマルな体験の連続で異常なほど昂っていた。股間から透明な汁が噴水のように噴きあがり、またしても魔的なエクスタシーの波に呑みこまれてしまう。

「ああッ、いやっ、やだ、なに? ひいいッ、あひいいいッ」

「ほほおっ、ついに潮を噴きましたな。よほど興奮されたと見える」

中年男の下品な笑い声が、望まない快楽に悶え狂う新妻の精神をこれでもかと追いこんでいった。

精も根も尽き果てた美帆は、ハイバックチェアーの上でぐったりとする。言葉を発する気力はなく、半開きの唇からもれるのは荒い息だけだ。

「ご満足されたようですね。おかげさまで撮影もバッチリですよ」

酒井はほくそ笑みながら拘束していた縄を解き、朦朧としている美帆を無理やり立たせて書斎をあとにした。

「ンっ……あっ……擦れちゃう……ンぁぁっ」

前後の穴に淫具を埋めこまれたままなので、上手く歩くことができない。スイッチは切られているが、歩を進めるたびに身体のなかで擦れ合うのだ。

「あンっ、いやです……ど、どこへ……?」

「フフフッ、肩が震えてますよ。可愛いですねぇ」

酒井は質問に答えず、まるで恋人同士のように肩を抱いて強引に歩かせる。

このマンションを扱う不動産屋だけあって、部屋割りはしっかり頭に入っているらしい。中年男に連れていかれたのは、寝室として使っている洋室だった。

白い壁紙に囲まれた十畳の寝室には、クイーンサイズのダブルベッドが置かれている。淡いピンク色のベッドカバーは美帆が見たてたものだ。サイドテーブルにはステンドグラス調のスタンドとアロマキャンドルが飾られていた。

「きゃっ……なにをするつもりですか……」

全裸のままダブルベッドに転がされて、新妻の美貌が見るみる引きつっていく。

狼狽えている間に手首と足首に縄をかけられ、それぞれベッドの支柱に縛りつけられてしまう。あお向けの状態で、四肢を引き伸ばすような格好だ。

「ご主人が帰ってくるまで、まだ結構時間がありますね」

「い、いやです……ここでは……」

夫婦の寝室で嬲られると知り、声を震わせながら弱々しく首を振る。しかし、どんなに懇願しても無駄なのはわかりきっていた。中年男の絶倫ぶりは、レイプという形で嫌というほど体験しているのだから……。

「奥さんの肌はじつに美しいですねぇ。染みひとつなくて惚れ惚れしますよ」

酒井はいやらしい手つきで柔肌を撫でまわしてくる。鎮まりかけている性感を煽るように、脇腹から双乳の裾野にかけてを執拗に擦られてしまう。

「はンっ……や……ンンっ……」

くすぐったさと紙一重のむず痒さが、少しずつ妖しい感覚へと変化していく。