(やっ、汚いわ……晃司さん、助けてください……)
どこかユーモラスな夫の愛らしいペニスとは、似ても似つかない中年男のおぞましい逸物。いかなる理由があろうと、咥えることなどできるはずがない。しかし執拗に鼻を摘まれて、つい息苦しさから唇を開いてしまう。
「おごほおおっ……」
酒井はわずかな隙を見逃さず、無理やり亀頭をねじこんできた。途端に強烈な汚臭が口内にひろがり、むせ返りそうになってしまう。鉄のように硬くて枯れ枝のようにゴツゴツした肉竿の表面が、柔らかい唇を強引に押し開いていく。
(ううっ、苦しい……そんな、お口でなんて、気持ち悪い……)
肉塊は信じられないほど熱く、口腔粘膜が焼け爛れるのではと恐ろしくなる。
目尻から新たな涙が溢れて頬を濡らす。極太の肉茎を押しこまれて、今にも顎がはずれてしまいそうだ。夫にさえしたことがない淫らな行為を、脂ぎった中年男に強要されてしまうなんて……。
「どんどん入っていきますよ。初めてフェラチオをする感想はいかかですか?」
さも嬉しそうな中年男の声が、耳孔にどろりと流れこんでくる。
(いやなだけです……もう抜いてください)
許しを乞うように首を左右に振るが、酒井は肉棒を口に押しんだままソファーにあがり、なにを考えているのか逆向きに覆いかぶさってきた。
男の体重が全身にかかり、「ううっ」と圧死しそうな声がもれる。しかし、まったく相手にされず、かろうじて身体に絡みついているワンピースの裾をまくりあげられていく。
「初心な奥さんに、いろいろとご指導しますよ。お忙しい旦那さんの代わりにね」
「むううっ……うぐううっ」
必死に抗おうとするけれど、喉の奥まで肉棒を埋めこまれて息が詰まる。あっという間にブラジャーとお揃いのパンティを剥きだしにされて、精緻なレースに卑劣漢の無遠慮な視線が絡みついてきた。
(ああ、いやです、晃司さんにプレゼントしてもらった下着なのに……)
これまで経験したことがないほどの屈辱と羞恥がこみあげる。しかし、新妻が味わう生き地獄はここからが本番だった。
「シックスナインていうんです。男と女がお互いの性器を舐め合う体位ですよ」
相互愛撫の説明を受けて青ざめる。と、その直後、抗う太腿を力まかせに割り開かれて、パンティの股布を脇にずらされてしまう。
(駄目っ、見ないでください! そこは、晃司さんも……)
たまらず腰を捩るが逃げられない。夫はおろか自分でもまともに見たことがない部分に荒い息が吹きかかり、胸の奥に絶望感がひろがっていく。
「ほう、これは綺麗な割れ目ですねぇ。毛も薄くて可愛いですよ」
剛根を咥えこまされた唇の隙間から呻き声が溢れだす。しかし、酒井はまったく意に介する様子もなく、いきなり股間にむしゃぶりついてきた。
「むぐううっ、くううっ──ひぐううぅぅぅぅっ!」
リビングのソファーで、ついに本格的なシックスナインに突入してしまう。
生温かくヌメる舌先が、無遠慮にヌメヌメと陰唇を這いまわる。敏感すぎる粘膜をしゃぶられると、たまらず両脚の爪先が反ったり丸まったりを繰り返す。性器にキスされるおぞましさは強烈で、全身の皮膚が一瞬にして粟立っていく。
(いや、いやっ……ああっ、こんなのいやです!)
見られるだけでも卒倒しそうなのに、陰唇に吸いつかれるなんて考えられない。あまりの汚辱感に頭がおかしくなってしまいそうだ。
必死に逃れようとするが、長大な逸物を喉奥まで埋めこまれて、太腿をがっしりと抱えられている。お嬢様育ちのか弱い人妻が、欲情を滾らせた中年男の腕力に敵うはずがなかった。
「フフフッ、しっとり濡れてるじゃないですか。オッパイを舐められて感じてたんですね。まだ開発はされてませんが、素質は充分にありますよ」
女の割れ目を舌先でそっとなぞられると、鮮烈すぎる刺激が四肢の先まで突き抜ける。美帆は股間を弄られる羞恥に身悶えつつ、初めて経験するクンニリングスに戸惑っていた。
(や……アソコを舐められるなんて……いや……いやですっ)
泣き顔を横に振ると、口内に挿入されている剛根が喉の奥を圧迫する。窒息の恐怖が脳裏をよぎり、慌てて舌腹を亀頭に押し当てた。
「うむむっ……おむううっ」
「おほっ、気持ちいいですよ。その調子で舌を使ってください」
呼吸を確保しようとする行為は、悲しいことに男を悦ばせただけだった。
酒井は腰をゆっくり動かして人妻の口唇を味わいつつ、意外にも器用に舌先を蠢かす。肉の合わせ目をそっとくすぐっては、肉芽の周囲で焦らすように円を描く。磨きのかかったテクニックで、発展途上の女体に微妙な刺激を送りこむのだ。
「はふっ……ンンっ……ひむンンっ」
肉竿に密着した唇の隙間から、いつしか艶っぽい呻きがもれていた。
(なに……この感じ? ああ、おかしいわ……)
陰部をいやらしく舐めまわされて、嫌悪感と汚辱感に苛まれながらも、しだいに妖しい感覚が芽生えてくるのを抑えられない。美帆は初めての体験に怯えつつ、妙に惹きつけられるものを感じていた。
「奥さん、イッたことはあるんですか? フフッ、愚問でしたね。答えなくてもわかります。私にまかせてください。女の悦びをたっぷりと教えてあげますよ」