新妻【贖罪】 私は牝になる

「まさか、ここで……う、嘘ですよね?」

上擦った声で問いかけると、酒井はニヤリとしながら舌なめずりをする。

「私は家内にバレても構いませんが、奥さんは諦めたわけじゃないでしょう?」

的確な言葉だった。確かにショックを受けているけれど、別れようと思っているわけではない。そのとき、裸身がビクッと跳ねて思わず声がもれそうになる。

「ひぅっ……やめ……ンン……」

獣のような体勢で、背後から巨大な亀頭を押し当てられたのだ。

風呂場で味わわされたアクメの余韻で、陰唇はじっとりと湿っている。軽く触れられただけで鮮烈な快美感がひろがり、迸りそうになる嬌声を慌てて押し殺した。

「私にまかせてください。すごいセックスを体験させてあげますよ」

「だ、駄目です……夫がいるんですよ──あうンンっ」

拒絶の囁きを無視して、剛根が侵入を開始する。巨大な亀頭が膣口を押しひろげながら埋没し、大きく張りだしたカリが陰唇を巻きこむようにしてめりこんだ。

「ほうら、簡単に入りましたよ。本当は奥さんも欲情してたんですね」

「欲情だなんて……そんな……くううっ」

それ以上しゃべるといやらしい声がもれそうで、下唇を血が滲むほど強く噛み締めた。しかし、酒井は構わずに腰をゆっくりと押しつけてくる。

「ンっ……ンンっ……はンぅぅっ」

長大な肉竿がズルズルと押しこまれてくる感触に狼狽えて、美帆は必死に首を左右に振りたくった。

「正直になったらどうですか? オマ○コはこんなに濡れてるじゃないですか」

中年男の卑猥な言葉が、熱い吐息とともに耳の穴に吹きこまれる。

(いやです、晃司さんが近くにいるのに……抜いてください)

嫌悪感と汚辱感に身を捩るが、剛根を根元まで挿入されると背筋が艶めかしく反り返ってしまう。

「はンンっ……」

「いつもよりも感度がよくなってますね。わかりますか?」

背後から黒髪を掴まれて、無理やり襖の隙間に顔を押しつけられる。途端に夫の生々しい不倫現場が、視覚と聴覚を通して脳内に流れこむ。

『き、気持ちいい……綾乃さんのアソコ、すごく気持ちいいです』

『ああンっ、私もよ……晃司さんの、すごく感じるわ……』

晃司は夢中になって腰を振りたくり、たわわな乳房を揉みしだく。綾乃は艶っぽい声をあげて、腰をしゃくりあげながら快楽を享受する。

(いや、やめてください、晃司さん……お願いですから……)

とても見ていられなくて、双眸をギュッと閉じた。夫婦の夜の営みではあっという間に射精するのに、どうしてあんなにがんばっているのだろう。不倫セックスに溺れる二人の姿は、美帆の心を完膚無きまでに叩きのめしていた。

すると酒井が背中に覆いかぶさり、耳もとで囁きかけてくる。

「ほら、また濡れてきました。旦那さんと家内がセックスしてるのを見て、奥さんはいやがりながらも興奮してるんですよ」

「そ、そんなはず……あンンっ」

思わず反論しかけた瞬間、剛根をググッと押しこまれた。鋭角的に張りだしたカリが膣壁を抉り、同時に亀頭の先端が子宮口を圧迫する。

「ひっ……ンンっ……だ……駄目です……くぅぅっ」

その強烈な快感を無視することは到底できない。くびれた腰をがっしりと掴まれてバックから抽送されれば、どうしても唇の隙間から低い呻きがもれてしまう。

「恥ずかしがることはないですよ。伴侶を寝取られて興奮するのは、その人のことを深く愛している証拠です」

酒井が耳朶をしゃぶりながら、極太ペニスをねっとりと出し入れする。結合部から湿っぽい音がたち、濡れていることが嫌でもわかってしまう。

「愛しているからこそ嫉妬する。悔しくて悲しくて、その反動でますます興奮が高まっていく。奥さんが濡らしてしまうのは当然のことなんですよ」

「あぅぅっ、でも……いやです……こんなの……はンンっ」

美帆は混乱した気持ちのまま、しだいに逞しすぎる男根に心奪われていくのを感じていた。

『ううっ、すごい……綾乃さんのヒダが絡みついてきます』

『もっと感じていいのよ……あふンっ、でも、まだイッちゃ駄目よ』

薄間一枚隔てた隣の部屋で、夫が自分以外の女性と交わって感極まった声をあげている。そんな夫のあさましい姿を目の当たりにしながら、美帆自身も中年男に犯されて蜜壺をしとどに濡らしていた。

(どうしてなの? ……ああ、どうして、私のアソコ……こんなに……)

認めたくないが、この異常なシチュエーションが背徳感を高めているのは間違いない。悲しくてつらいのに、なぜか倒錯的な愉悦がこみあげてしまう。

「あの二人、いつから不倫してると思います?」

酒井の手が乳房に伸びてくる。張りのある乳肉を揉みしだいてスローペースで腰を振りつつ、おもむろに驚愕の真相を語りはじめた。

「旦那さんが追突事故を起こして、家内が市民病院に入院しましたよね。その当日に二人は病室でキスをしたんです。旦那さんが家内に一目惚れしたんですよ」

「え……?」

一瞬、自分の耳を疑った。あの真面目な夫が、事故を起こした直後に被害者を口説くとは思えない。しかし、現実に目の前で起こっていることと照らし合わせると、途端に自信が揺らいでしまう。

「その後も、清拭という口実でクンニリングスを施したり、鞭打ちのリハビリと称してフェラチオをさせたりしたらしいです」