新妻【贖罪】 私は牝になる

そうやって恥じらう様子が、却って男の目を楽しませてしまうことなど、性の知識に乏しい美帆がわかるはずもない。シャツから肩を抜く仕草も色っぽく、本人の思いとは裏腹に男の情欲を煽りたてていた。

「も、もう……無理です、これ以上は……」

右手で胸もとを左手で股間を覆い隠し、書斎の中央に立ちつくす。白いブラジャーとパンティだけになった美帆は、羞恥に染まった美貌を力なく左右に振った。

モデルと見まがうようなパーフェクトなプロポーションは、成熟が目前に迫った人妻の色気をムンムンとまき散らしていた。

「フフッ、まあいいでしょう。あとの楽しみにとっておきますよ」

酒井は片頬にいやらしい笑みを浮かべると、慌てる様子もなく立ちあがる。そして鷹揚な態度で手招きして、夫が愛用している椅子に座るよう命じてきた。

抗うことの許されない美帆は、不安な表情で黒革製のハイバックチェアーに腰かけた。するといきなり脚を持ちあげられ、膝裏をそれぞれ左右の肘掛けに乗せるM字開脚を強要されてしまった。

「ああっ……や、やめてくださいっ」

「勝手に動かないでください。家内が退院するまでの辛抱です。ほんの数日、我慢するだけでいいんですよ」

どんなに口調は丁寧でも、酒井の目には脅すような光が宿っていた。

従わなければすべてが暴露される。レイプされた挙げ句に、何度も昇りつめたことまで知られてしまうのだ。もしそんなことになったら、夫の昇進どころか結婚生活を続けることもままならない。

(きっと、晃司さんに軽蔑されてしまうわ……)

離婚届けを突きつけられる場面を想像して、悲しみに打ちひしがれる。と、肘掛けに乗せた脚に、いきなり縄が巻きつけられたではないか。

「なにをするのですか? いやっ……いやです」

初めから縛るつもりで縄を持参していたらしい。さらに両手を後頭部で組み、腋を無防備に晒した状態で拘束されていく。手首を縛めた縄は真下に引かれて、椅子の背もたれにしっかりと括りつけられた。

「や……見ないでください……恥ずかしいです……」

今にも泣きだしそうになり、下唇を強く噛み締める。下着姿にされた挙げ句、夫の椅子の上で、大股開きの恥ずかしいポーズで縛られるなんて……。

「なかなかいい格好ですね。今日はいろいろと面白い物を持ってきたんですよ。奥さんをよがり啼かせるためのいろいろな道具をね」

酒井は恐ろしい言葉をつぶやきながら、ボストンバッグのなかを漁りはじめる。そして三脚を取りだすと美帆の目の前に立てて、最新式のビデオカメラを慣れた様子でセットしていく。

「録画してあげますよ。時間をかけてじっくり嬲るところをね。感度のいい奥さんのことだから、きっと何度もイクんでしょうねぇ。フフフッ」

「や……やめてください……そんな、録画なんて……」

背筋が寒くなるような戦慄を覚えて、見るみる頬を引きつらせる。無意識のうちに身を捩るが、がっちりと縛られた身体はびくともしない。

「記念に撮るだけですから、心配しなくても大丈夫ですよ。でも、奥さんがおかしなことをしたときは、ビデオを旦那さんに見てもらうことになりますがね」

「ああ、それだけは許してください……夫にだけは……」

想像しただけでも気が遠くなりかけて、絶望感に目の前が真っ暗になった。

しかし、酒井は少しずつ本性を露わにしながら、カッターナイフを手に近づいてくる。そして怯える美帆をギラつく目で見おろし、胸の谷間に刃をこじ入れた。

「ひいっ……」

ブラジャーを切られた途端、豊かな双つの膨らみがプルルンッとまろびでる。恥ずかしいが、両手を縛られているので隠せない。反射的に身を捩ると、結果として胸を揺らすことになってしまう。

「誘ってるんですか? 奥さんみたいな綺麗な方が、そんなにオッパイを揺すったりしたら勘違いされますよ。全部ビデオに撮ってますからね」

「そんな……ううっ、いやぁ……」

羞恥と屈辱に頬を染めて、カメラのレンズから顔を背けようと横を向く。するとパソコンの横に置いてある結婚写真が目に入り、瞬く間に双眸が潤みはじめる。

「大人しくしててくださいよ。スベスベのお肌に傷をつけたくありませんから」

酒井は嬉しそうに言いながら、ブラジャーの肩紐を切り落とした。さらにパンティまでも切り裂き、しきりに恥じらう人妻を一糸纏わぬ全裸に剥いていく。

「奥さんの大事なところが丸見えですよ。いつ見ても綺麗なピンク色ですねぇ」

「や……やめて、見ないでください……」

「おや? 可愛いお尻の穴も剥きだしですよ。ほお、これは素晴らしい。色素の沈着も少ないし、じつに美味しそうですなぁ」

椅子に浅く腰かけて両脚を肘掛けに乗せあげているため、必然的に肛門まで晒す格好になっている。誰にも見せたことのない恥ずかしい場所を、脂ぎった中年男の視線に舐めまわされてしまう。

「ああ、いや、そんなところ……うぅぅっ、お願いですから……」

大股開きの卑猥極まりない格好に緊縛されているのに、美帆の瞳からは清純そのものといった大粒の涙が溢れだす。

男なら誰もが震いつきたくなるような抜群のプロポーションでありながら、決して穢れることのない清らかな心を持っている。そんな肉体と精神のギャップが、新妻の聖性をより崇高なものにしていた。