美帆は少し浮かれた様子でキッチンに立ち、手際よく夕飯の支度をしていた。
今夜のメニューはサーロインステーキ。滅多に食べることはないけれど、久しぶりに二人でゆっくり過ごせる特別な日だから思いきって奮発した。
そわそわして時計を見やったそのとき、インターフォンのチャイムが響き渡った。
(あっ……きっと彼だわ)
美帆はまるで少女のようにはしゃいで、小走りに玄関へと向かう。
「あなた、お帰りなさい……」
満面の笑みを浮かべて玄関ドアを開けると、そこには黒いポロシャツ姿の酒井八郎が立っていた。
「どうも、こんばんは。奥さん」
酒井は脂肪だらけの顔面をいやらしく歪めて、くぐもった声で挨拶をしてくる。すると美帆は頬を膨らませながら、中年男の目を甘くにらみつけた。
「どうして、そんな呼び方をするんですか?」
「え? おお、すまんすまん。どうも慣れなくてね」
満更でもない様子の酒井に対して、美帆はあからさまに不服そうな顔で唇を尖らせる。まるで子供が駄々をこねているかのようだった。
「約束は守ってください。八郎さんのこと信じられなくなってしまいます」
「二人きりのときは名前で呼び合うんでしたね。ええと……ただいま、美帆」
ご機嫌を取ろうとする酒井の声には答えず、美帆はその場にしゃがみこむ。そして男のスラックスをおろして、まだ柔らかい陰茎を剥きだしにしてしまう。
「ちょっと、奥さん……いや、美帆、ご近所さんに気づかれてしまいますよ」
酒井が玄関ドアの鍵をかけながらたしなめるが、美帆はまったく聞く耳を持つことなく亀頭に唇を被せていく。
「だって、もう我慢できないんです……おむふううっ」
蒸れた匂いと強烈なホルモン臭が口内にひろがった。最初の頃は吐き気をもよおしていたのに、今ではこの匂いを嗅ぐだけで濡れるようになっていた。
積極的に舌を絡めてカリの裏側をくすぐり、尿道口をチロチロと舌先で刺激していく。夢中になっておしゃぶりすると、あっという間に男根は屹立した。
「おうっ、上手になりましたね。ところで旦那さんに気づかれてませんか?」
「はむンっ……あの人は鈍感だから……あむっ、はむううっ」
戸籍上の夫である晃司は、一泊の予定で出張中だ。でも、本当は綾乃夫人と会っているということを、酒井からこっそり聞いて知っていた。
すでに気持ちは晃司に向いていない。心から信頼できるのは、夫人に浮気をされて同じ境遇にある酒井だけだ。
「とりあえずセックスしますか? それともザーメンを呑みたいですか?」
美帆は質問に答えることなく、睫毛を伏せて本格的に首を振りはじめる。そんな人妻奴隷の姿を見おろして、酒井は内心ほくそ笑んでいた。
すっかり剛根の虜になっている美帆は、夫が罠に嵌められて綾乃の性奴隷にされているとは夢にも思っていない。藍沢夫婦は真実を知らずに上辺だけの新婚生活を送りながら、その裏でそれぞれ酒井夫婦と秘密の関係を続けていた。
「あむっ、美味しい、あふふンっ、八郎さんのおチンポ、すごく美味しいですぅ」
美帆は蕩けきった顔で、陵辱者の逞しすぎるペニスを吸い続ける。
夢の一戸建てを購入する目処など立つはずもなく、中年夫婦に飽きられるまでこのリバースシャトーに住み続けることになるだろう。