新妻【贖罪】 私は牝になる

(あなた……私もがんばります……)

負けるわけにはいかない。夫と一緒にこの苦境を乗り越えると決めたから……。

すると酒井は新妻の決意を見透かしたかのような笑みを浮かべて、ボストンバッグのなかから別の道具を取りだした。

「これはアナルパールっていうんですよ。どうやって使うと思います?」

男が目の前に突きつけてきたのは、黒い小さな玉を十個ほど数珠繋ぎにした不気味な物体だった。

「お尻の穴に挿れるオモチャなんです。電池でグネグネ動くんですよ」

「え?……な、なにを仰っているのか……」

思わず聞き返していた。お尻の穴に挿れるなんて信じられない。排泄のための器官に、いったいなにをしようというのだろうか。

「怖がることはありません。最近のカップルなら、みんなやってることですから」

酒井はくぐもった声で囁くと、美帆の目の前にしゃがみこんだ。

「やっ、ちょ、ちょっと待ってください!」

椅子の上で大股開きにされて身動きがとれない。女の源泉も不浄の穴も、すべてを無防備に晒している。

「あううっ……」

卑猥な視線を感じて羞恥に身悶えた直後、剥きだしの陰唇に指を這わされて、思いがけず甘い声が溢れだす。そのまま合わせ目をそっとなぞられると、望まない快美感とともにヌチャニチャッという湿った音が響いてしまう。

「ずいぶん濡れてますねぇ。やっぱり乳首が気持ちよかったんですか?」

「そ、そんなはず……あンンっ、これは、違います……」

羞恥に染まった顔を背けて蚊の鳴くような声で否定する。しかし、じつは指摘される前から薄々感じていた。敏感な乳首を刺激されたとき、下腹部全体が熱くなって理性が吹き飛びそうになっていたのだ。

(やだ……私の身体、どうしちゃったの?)

ここまで官能の波をなんとか抑えこんできた。しかし、性器を濡らしていたという恥ずかしい事実を知らされたら、さすがに平静を装ってなどいられない。

「あっ……あっ……い、いやです、もう触らないでください」

眉を情けない八の字に歪めて懇願する。だが、酒井はごつい指先で愛蜜を掬いあげては、そのすぐ下に見える肛門に塗りこんでくる。

「ひゃッ、やっ……ひうッ、やめて、ひああッ、お尻、いやぁっ」

排泄器官を他人に弄られるのは、もちろん初めての経験だ。その汚辱感はあまりにも強烈で、裏返った悲鳴をあげずにはいられない。

「こうしてるだけでも感じるでしょう。アナルがヒクヒクしてますよ」

酒井は肛門を揉みこむようにしながら執拗に愛蜜をまぶすと、いきなりアナルパールをあてがって一個目の玉を押しこんできた。

「いひッ……な……なにを? ひむぅぅっ」

ヌルリという異様な感触が肛門をヒクつかせる。排泄器官を逆流する気色悪い感覚に、たまらず裏返った嬌声が溢れだす。

本来なら他人が触れることのない不浄の窄まりに、卑猥なオモチャを挿入されてしまった。あまりのおぞましさに腰を捩るが、拘束されているので逃げられない。そうしている間にも、二個目の玉が肛門を内側に押しこんでくる。

「だ、駄目っ……ひッ……ひッ……」

「どうです? いいもんでしょう。ここからは一気に全部挿れてあげますからね」

「うひッ、やっ、やめてください……ううっ──あひいッ」

たまらず涙を流しながら懇願するが、まったく相手にしてもらえない。それどころか中年男は下卑た笑みを浮かべて、ゴムのように弾力のある玉を次々と肛門に埋めこんでくるではないか。

「ひッ、いやぁっ、お願いですから、お尻は──ひううッ」

泣き顔を左右に振っていやいやをする。しかし、酒井は目をギラつかせて舌なめずりを繰り返し、ついにアナルパールを根元まで押しこんでしまった。

「ひああッ、ふ、深い……やっ、抜いてください……」

「十個も入っちゃいましたね。おやおや、オマ○コからお汁が溢れてるじゃないですか。これでよくわかったでしょう。アナルも立派な性感帯なんですよ」

酒井の粘着質な声が、美帆の精神を蝕んでいく。夫の書斎でお尻の穴を嬲られる屈辱が、意思とは裏腹になぜか官能の炎を燃えあがらせてしまう。

「奥さんがアナルパールを咥えこんでるところ、全部ビデオに映ってますからね」

「あううっ、そ、そこ……いや、お尻は……許してください」

「少しずつ慣らしてあげるから大丈夫ですよ。アナルでもしっかり感じるようにしてあげます。そのうち、もっと太いモノが欲しくなりますよ」

意味深な囁きに恐怖して、縋るような視線をパソコンデスクの写真に向けていく。

(晃司さん……私はどうなってしまうの?)

心のなかで問いかけるが、タキシード姿の夫は微笑んでいるだけだった。

そんな美帆の憂いはまるで無視されて、予告もなしにアナルパールのスイッチが入れられてしまう。

「ひああッ、やっ……な、なに?」

直腸にまで達していた先端が激しく蠢き、拘束された裸体が跳ねあがる。お尻のなかを掻きまわされるのは、これまでに体験したことのない異常な感覚だった。

「フフッ。強烈でしょう? これがクセになるんですよ」

「やだ、これ、ひッ、ひッ……なかで動いてる、お尻のなかで……ひいいッ」

さらにローターを膣口に押し当てられて、蕩けるような微弱振動で責められる。途端に思考能力が鈍り、半開きになった唇の端から透明な涎が垂れ落ちた。