「そんなに拒絶しなくてもいいでしょう。私と奥さんは、もう他人じゃないんですから。一緒に腰を振り合った仲じゃないですか」
酒井は薄笑いを浮かべながら言うと、美帆のヒップと背中に手のひらをまわして思いきり抱き締めた。
「あひンンッ……い、いやっ、ひうっ、そんな奥まで……あううっ」
股間から上半身にかけてが、肥満体とべったり密着してしまう。美帆は嫌悪の呻きをもらしながらも、無意識のうちに腰をもじつかせていた。
「たまらないみたいですね。心配しなくてもじっくりイカせてあげますよ」
中年男が腰をまわしたことで、陰部を貫く剛直の切っ先が子宮口をグリグリと刺激する。内臓を突き破られるような危険と隣り合わせの愉悦がひろがり、新妻の白い下腹部が妖しく波打った。
「ううっ、掻きまわさないで、あむむっ、駄目っ……駄目ぇっ」
極太の陰茎を激しく抜き差しされて、瞼の裏が真っ赤に染まっていく。
ジュプッ、ジュプッ、ヌチャッ、ヌチャッ──。
真下から突きあげられるピストンに、女体は為す術もなく揺さぶられる。
すると水道の元栓が壊れたように愛蜜が迸り、いつしか二人の股間はぐっしょりと濡れていた。
「フフッ、グチョグチョじゃないですか。そろそろフィニッシュといきますか」
「あぅっ、あぅぅっ……ちょ、ちょっと待って──ひッ、お尻はいやですっ」
ヒップを抱いていた手が谷間を割り開き、いきなり肛門に指をあてがわれる。そして信じられないことに、指先がじわじわと押しこまれてきたではないか。
「あひぃッ、だ、駄目っ、お願いです、そこだけは……ひいッ、お尻、あひいッ」
「どんどん入りますよ。だいぶ開発されてきたみたいですね」
「ひッ、あひッ、やめてください、お尻は……ひああッ、駄目ぇぇっ」
泣きながら必死に懇願するが、もちろん聞き入れてもらえない。
蜜壺に極太ペニスを咥えこまされたまま、お尻の穴にも指を挿れられて、抗いようのない強烈な快美感がひろがっていく。
「くぅっ……オマ○コが締まってきましたよ。やっぱりアナルが好きなんですね」
「ひいいッ、駄目っ、それ以上したら……ひいッ、ひいッ」
「旦那さんが帰ってくる前に、イッておいたほうがいいですよ。もう彼の粗チンじゃ満足できないんですから。それにアナルを苛めてなんて頼めないでしょう?」
酒井は肉体だけではなく、言葉巧みに精神までも追いつめようとしてくる。
確かに、お尻の穴に疼きを抱えていた。もしかしたら、昨日しつこく淫具で責められたことが影響しているのだろうか。今夜、夫に抱かれたとしても肛門を責めてくれるはずがなく、疼きは解消されないままだったろう。
「やっ、お尻、ひッ、あひッ……やっ、駄目っ、あうッ、あううッ」
肛門に穿ちこまれた指をまわされながら、極太ペニスを抜き差しされる。ピストンは激しさを増し、敏感な粘膜をこれでもかと擦りあげてくる。
「うはっ、それ、激し……ひッ、ひッ、あひッ、ズボズボって、あひいいッ」
急速に思考能力が薄れていく。唇をパクパクさせるが、意味のある言葉が出てこない。もはや自分が置かれている状況すら、わからなくなっていた。
「くっ……オマ○コとアナルの二穴責めはすごいでしょう?」
「うああッ、も、もう駄目ぇっ……ああッ、両方なんて、おかしくなりそう」
もう酒井のいやらしい囁きを否定することはできない。性感を極限まで昂らせている美帆は、いつしか貪欲に快楽を求めるようになっていた。
「自分から腰を振ってみてください。もっと気持ちよくなれますよ」
「ああッ、すご……い、いいっ、あひッ、すごいいッ」
無我夢中で中年男の肥満体にしがみつき、涎を垂らしながら腰をクイクイとしゃくりあげていく。大嫌いだった汗の匂いさえも、なぜか性感を高めるスパイスとなってしまう。
「ひッ、ひッ、感じる、ひいッ、感じちゃうっ、あひッ、お尻、あひいッ」
「おうっ、これはすごい……ううっ、私も限界ですっ」
酒井も顔を真っ赤にして、ラストスパートの杭打ちに突入した。
アナルに指をひっかけたまま、容赦のないピストンが繰りだされる。美帆は涙を流して、極太ペニスをこれでもかと締めつけた。すると全身の皮膚がいっせいに粟立ち、発狂しそうな絶頂感に呑みこまれていく。
「あひいいッ、ひッ、ひッ、駄目っ、もう駄目っ、おかしくなっちゃうっ、イキそう、あああッ、イクっ、イッちゃううぅぅぅぅッ!」
子宮口に密着した亀頭が痙攣したかと思うと、灼熱のザーメンを噴きあげた。
「きひいッ、熱い、ひいッ、ひいいッ、また……あひああぁぁぁぁぁぁぁッ!」
美帆は白眼を剥いてのけ反りながら、中年男との対面座位で二度目のオルガスムスに昇りつめていった。
第五章 覗かれた密戯
「晃司さん、行ってらっしゃい」
翌朝、美帆はいつものように玄関先に立ち、柔らかい笑顔を夫に向けていた。
身に着けているのは白い半袖ワンピース。肌を隠したくてパンツスタイルにしたときもあったが、まったく無駄だということに気がついた。それならば、少しでも気分が晴れるお気に入りの服を着たほうがいい。
「それじゃ、行ってくるよ」
グレーのスーツを着た晃司が、黒い旅行鞄を軽く掲げてみせる。そのとき、急に不安感が押し寄せて、夫の上着の裾を遠慮がちに掴んでいた。