新妻【贖罪】 私は牝になる

酒井は囁くようにいながら、いよいよ敏感な肉の突起に舌を伸ばしてきた。

「ひむうううッ……」

これまでとは比較にならない鋭い感覚が、光速で脳天まで突き抜けていく。

男の舌先はあくまでもソフトなタッチなのに、まるで直接神経に触れられたような激しい衝撃が襲ってくる。

「怖がらなくても大丈夫です。クリトリスを愛されるのは初めてのようですね。蕩けるみたいに気持ちいいでしょう? ほら、お汁がどんどん溢れてきますよ」

ナメクジのような舌で愛蜜を掬いあげては、硬くなった肉芽に塗りたくられる。そのたびに、またしても望まない妖しい感覚がひろがっていく。

「ンふっ……はうンっ……くふぅぅっ」

「不安だったらチンポを唇で締めつけて、思いっきり吸ってみたらいいですよ」

中年男のくぐもった声が、催眠術のように頭のなかで反響する。

(ああっ、なにこれ? 痺れちゃう……いやよ、怖いわ)

美帆は初めての感覚に眩暈を起こし、なにかに縋りつくように口内のペニスを吸引していた。もう自分でもなにをしているのかわからない状態で、言われるがままに逞しすぎる男根を唇で締めつける。

「ううっ、上手ですよ。奥さんの綺麗な身体を隅々まで愛してあげないなんて、旦那さんは罪な人だ。私が初めてのアクメを体験させてあげますからね」

好きでもない男に股間をしゃぶられ続けて、絶えることのない恥辱の涙が頬を濡らす。それなのに、なぜか嫌悪感が徐々に薄れていくことが恐ろしい。

淡泊な夫にこれほど念入りな愛撫を施されたことはなかった。少しでも身体を震わせたら、いつも驚いたように手を離してしまうのだ。

「知りたくないですか? 本当の女の悦びを」

頭の芯が痺れたようになり、思考能力が極端に低下していた。男の声は聞こえているが、理性が働かなくなっていることにすら気づけない。

(本当の……女の悦び……って?)

ねちっこいクンニリングスで延々と嬲られて、おぞましいのに下腹部の奥がむずむずと疼きだす。いつしか全身汗だくになり、恥裂からたっぷりの愛蜜を滴らせながら、甘えたような鼻声をもらしていた。

「あふンっ……ンンっ……むふふンっ」

口内を埋めつくす醜悪なペニスよりも、今は急速に迫りつつある未知なる感覚に気を取られてしまう。全身を痺れさせている浮遊感がさらに強くなり、鋭敏になった神経が異様なまでに昂っていく。

(あっ、ああっ……やめて、怖い……もうやめてくださいっ)

男の舌先が恥裂を押し開き、ズブズブと侵入してくる。内側の粘膜を舐めしゃぶられて、お漏らしのように溢れだした果汁を好き放題に啜られてしまう。

「あふッ、くううッ……むふッ、ンンンッ」

「マン汁が濃くなってきましたよ。むぅぅっ……もうすぐイカせてあげますよ」

酒井は興奮で声を上擦らせながら腰を振り、舌を捩りつつ巧みにピストンさせる。

「うッ、うッ、あうッ……ンふッ、はううッ」

頭のなかが真っ白になったのを見計らったかのように、クリトリスをチュウッと吸われて甘噛みされた。

「くううッ……ひむううぅぅぅぅぅぅぅぅッッ!」

その瞬間、汗にまみれた身体がビクビク痙攣しながら弓なりにのけ反っていく。

甘美な電流が全身を貫き、背後で拘束された両手を強く握り締める。理性は跡形もなく吹き飛び、わけがわからないままペニスを思いきり吸いあげていた。

「おおうっ、これはすごい……ううっ、出る……出ますよぉっ!」

下劣極まりない呻き声とともに、口内の肉棒が激しく跳ねまわる。ザーメンをぶちまけられて強烈な生臭さがひろがり、麻痺していた思考能力が回復した。

(い、いやっ、いやぁっ、お口でなんて……ああっ、やめてぇっ!)

中年男の長大なペニスが気味悪く脈打ち、大量の精液をこれでもかと放出する。

「奥さんのフェラ、最高に気持ちいいですよぉ」

ザーメンが喉に絡みつき、溺死するのではないかと本気で思った。ようやく肉塊が引き抜かれると同時に、激しくむせ返りながら粘液を吐きだしていく。

「おげぇぇっ……ごほっ……うげっ……げほぉっ」

父親のプレゼントであるソファーが、湯気を立てたザーメンで汚れてしまう。しかし、そんなことを気にしている余裕などあるはずがなかった。

「もったいないですねぇ、次からはしっかり呑むんですよ。ところで奥さん、初めてイッた感想はいかがでしたか?」

「ハァ……ハァ……ひ、ひどいです……こんなこと……」

涙に濡れた瞳で、非難するように中年男をまっすぐ見据える。

しかし、強がっているが内心激しく戸惑っていた。「イク」という感覚を味わったのは初めてだ。今でも四肢には甘い痺れが残っている。それが愛する夫を裏切った証のような気がして、ふいに堰を切ったように嗚咽が溢れだす。

「うっぅぅっ、あんまりです……酒井さんのこと、絶対に許しませんから」

「ほう、意外と気が強いんですねぇ。でも、このことは誰にも言わないほうがいいと思いますよ。旦那さんはもちろんのこと、奥さん自身のためにもね」

酒井は人妻の泣き顔をまじまじと覗きこんで脅し文句を囁いた。そして卑猥な笑みを浮かべながら拘束を解くと、意気揚々とマンションから出ていった。

(晃司さん……あなた、許してください……)

一人残された美帆は初めて体験したオルガスムスの余韻を噛み締めながら、いつまでも嗚咽をもらし続けた。

第二章 奪われた貞節

「食欲ないの?」