新妻【贖罪】 私は牝になる

言われなくても気づいていた。逞しすぎるペニスを抽送されると、なぜか膣肉が歓喜に打ち震える。心では抗っても、肉体は背徳の官能に燃えあがっていく。

「出しますよ、できるだけ奥にぶっかけてあげますからね……くおおおおッ!」

酒井が汗だくになりながら、極太ペニスを根元まで穿ちこんだ。子宮口が圧迫されるのと同時に、おぞましい肉塊の脈動が伝わってくる。

「ああッ、駄目っ、なかは──ひいッ、私には夫が、ひいいいッ!」

射精がはじまった直後、信じられないことに五度目の絶頂が襲いかかってきた。沸騰したザーメンで子宮口を洗われて、気が狂いそうなほどの衝撃が突き抜ける。

「きひいいッ、すご──ひッ、ひああッ、狂っちゃう、いひゃあぁぁぁぁぁぁッ!」

まるで放尿するように、夫以外の精液をドクドク注ぎこまれてしまう。

頭のなかが真っ白になり、一瞬にして思考能力が霧散していく。悲哀に満ちた涕泣を響かせるが、背徳感にどっぷりと浸って腰をしゃくりあげていた。

(あなた、許して……晃司さん、許してください……)

大量の牡汁を中出しされて涙に暮れながらも、その横顔はすっかり蕩けきって恍惚としている。昨日のように男をにらみつける気力は、微塵も残されていなかった。

夫がゴルフから帰宅したのは、ずいぶん遅い時間だった。

「ただいま。すっかり遅くなっちゃったよ」

「あ……あなた……」

玄関で夫の顔を見た途端、美帆は思わず涙ぐんでしまう。懸命にこらえようとするが、双眸から大粒の涙が溢れてあっという間に頬を濡らしていく。

「美帆……どうしたんだい?」

晃司は狼狽えながらも慰めようとしてくれる。でも、今は彼のやさしさが逆につらかった。肩を抱かれてキスされそうになるが、反射的に顔を背けてしまう。

「え? ……美帆……」

「あ……ご、ごめんなさい……私、疲れてるみたい……」

美帆は夫の目を見ることなく、消え入りそうな声でつぶやいた。

あのおぞましい極太ペニスを咥えた唇で、酒井とディープキスを交わした唇で、愛する夫と口づけできるはずがなかった。

第三章 閨房での狂宴

月曜日──。

夫を会社に送りだすと、美帆は食卓の椅子にぐったりと腰かけた。

掃除も洗濯もせずに、ただ無駄にボーッと時間を過ごす。いけないと思っても気力が湧いてこない。昨夜は取り乱してしまったが、今朝は夫の前でも気丈に振る舞うことができた。でも一人になると、こらえきれずに涙腺がゆるんでしまう。

(晃司さん……ごめんなさい……)

昨夜の涙を問われて、「一人で留守番していたら寂しくなった」と嘘をついた。罪悪感で胸が痛んだが、本当のことなど話せるはずがなかった。

今日の美帆は珍しくスカートではなく、膝下丈の白いパンツに淡いピンク色の長袖シャツを身に着けていた。肌の露出を少なくしたい一心だったが、夫はいつものようにやさしく微笑み「似合ってるよ」と言ってくれた。

薬指のリングをそっと撫でると、夫の愛が伝わってくるような気がした。

昼すぎになり、さすがに家事をしなければと思ったそのとき、まるで死刑執行の合図のように、インターフォンのチャイムが響き渡った。

「ほ、本当に……ここで脱がないといけないんですか?」

美帆は困惑顔で立ちつくし、今にも泣きだしそうな声でつぶやいた。夫の書斎である六畳の洋室に案内させられて、裸になるように命じられたのだ。

「全部脱いでください。ストリッパーみたいに色っぽくお願いしますよ」

酒井はねっとりとした笑みを浮かべながら、晃司のお気に入りである黒革製のハイバックチェアーに腰かけている。

例によって汗染みのできた黄色いポロシャツ姿で、今日は黒いボストンバッグを持参していた。仕事をしている様子は微塵もないが、不動産屋の経営はいったいどうなっているのだろうか。

「あの……リビングでは駄目でしょうか?」

恐るおそる問いかける。すでに穢された身でも、書斎では嬲られたくなかった。

目につく物すべてが晃司に繋がってしまう。本棚に並ぶ経済書と釣りの本。スチール机には愛用のノートパソコン。彼が選んだ若草色のカーテン……。

夫の残り香が漂う書斎で中年男と二人きりになっていると、まだなにもはじまっていないのに屈辱感と罪悪感が数倍に膨れあがる。

「旦那さんの部屋だから楽しいんですよ。たまには趣向を変えないとね」

酒井はパソコンの隣に置かれているフォトスタンドを手にとり、わざわざ美帆にも見える角度に向きを変えた。

「ああ、晃司さん……」

お気に入りの写真を目にした途端、思わず眉を歪めてがっくりとうな垂れる。

タキシードで決めた晃司と、純白のウェディングドレスを纏った美帆が、木製のフォトスタンドのなかで幸せそうに微笑んでいる。チャペルで寄り添っていたあのとき、まさかこんな悲惨な未来が待ち受けているとは思いもしなかった。

「さあ、奥さん、脱いでください。ご主人のために」

「ひどいわ……あんまりです……」

決して屈服したわけではないが、新婚生活を守ろうとする夫の努力を無駄にはできない。それに、なによりレイプされたことを知られるわけにはいかなかった。

(あなた、許してください……こうするしか……)

逡巡しながらも、震える指先でパンツをおろしていく。パンティに包まれた股間が露わになると、少しでも隠そうとして極端な内股になってしまう。