──またあたしの身体を味わいたいの? いいわよ、何度でもいらっしゃい。
瞳でそう語りかけられた気がして、幸太は金縛りにあったように硬直した。勃起した肉棒の先端が濡れているのが分かる。先走りの欲望でブリーフの股間部もきっと湿っているだろう。
妖しい高揚感に胸を浸し、幸太は授業が終わるのを今か今かと待った。
昼休みになり、幸太は階段の踊り場にやってきた。
「まだかな、真弓先生」
そわそわした気持ちで周囲を見渡した。ここは最上階と屋上とをつなぐ階段の踊り場だ。屋上が立ち入り禁止となっているため他に生徒の姿はなかった。
幸太が踊り場に来てからまだ三分ほどしか経っていないのだが、まるで十分にも二十分にも感じる。待ち遠しくてたまらなかった。
「早く先生に会いたい……!」
胸を焦がすというのはこういう気持ちのことをいうのだろう。期待感で胸の中が熱く火照っている。階段の下からヒールの足音が聞こえてきた。
(来た!)
幸太は目を輝かせ、心の中で快哉を叫んだ。
授業が終わった後、教室を出て行く真弓を追いかけ、待ち合わせ場所を二人で話していた。それでも、本当に来てくれるのだろうかという不安はあった。
(真弓先生が僕なんかを本気で相手にしてくれるのかな)
真弓は幸太よりもはるかに大人で、おまけにとびっきりの美人だ。その気になれば相手には不自由しないだろう。
幸太のほうは勉強もスポーツも平均以下の凡庸な高校生に過ぎない。才色兼備の真弓とはまったく釣りあっていない。どうしても劣等感で心を苛まれてしまうのだ。
「ふふ、お待たせ」
白いスーツに包まれたグラマラスボディをくねらせ、美貌の女教師が階段を上ってきた。幸太は笑顔で恋しい女教師を出迎える。
「嬉しいです。本当に来てくれるなんて」
「あたしが来るの、待ち遠しかった?」
紅色の唇に妖艶な微笑をたたえ、幸太は一も二もなくうなずいた。高まる欲情が言葉を失わせていた。一刻も早く女教師の身体に触れたくてたまらない。
学生服のズボンの下は真弓を目にしただけで早くも充血をはじめていた。ペニス全体に微電流が走っているような心地だ。これから起きるであろうことへの期待だけで、自慰ができそうなほどだった。
「あわてないで浅野くん。先生だって気持ちは同じよ。昨日の君の姿を思い浮かべて、授業の間からずっと……ふふ」
真弓のほうは大人の余裕たっぷりに、幸太のはやる気持ちを押しとどめる。たおやかな手を伸ばし、幸太の股間を優しく撫でた。
肉棒を覆う微電流が一気に強まり、愉悦の反応を示す。若い茎がみるみる膨張していった。
「せ、先生は僕なんかが相手でいいの? こんな僕で……本当にいいの?」
幸太は胸の中でくすぶっていた疑問をぶつけた。心に巣くう劣等感を実際に口に出すと、それだけで泣きそうな気持ちがこみあげる。
「あら、ずいぶんと弱気な台詞ね。そんなに自信がないの?」
真弓はいきなり幸太の耳元に顔を寄せて、ちろり、と舌先で耳朶を舐めた。ただそれだけの行為で背筋が異様なほど粟だった。
「せ、先生……」
「あたしね、君のことが好きよ」
真弓は耳元でささやきながら、なおも舌先を耳孔に差し入れる。くすぐったさと心地よさの両方を感じ、幸太は四肢を震わせた。
「君のひたむきさが好き。君の真面目さが好き。君のまっすぐなところが好き。浅野くんがあんまり一生懸命だから……あたしまで本気になっちゃったわ」
「ぼ、僕も……僕も!」
幸太は大きく深呼吸をして己の気持ちを吐き出す。愛しい女性に精いっぱいの気持ちをつたえる。
「僕も先生のことが好きです。先生のためならなんでもしたいんです」
「なんでも、ねえ?」
女教師の口元に微笑が浮かんだ。なにかを思いついたのか、悪戯っぽい目つきになって幸太を見つめる。
「本当になんでもできる? じゃあこういうのは──」
ゆっくりとマーメイドスカートをまくりあげた。抜けるように白い肌と中心部の黒い翳りのコントラストに初心な少年は圧倒される。
真弓はスカートの下になにも身につけていなかった。ストッキングも、ショーツも。ここに来る前に全部脱いできたのだろう。むき出しの女性器が幸太の眼前で妖しく息づいていた。
(真弓先生のアソコが……丸見えだ!)
黒い繊毛がそよぎ、サーモンピンクの肉裂がわずかに口を開いている。美しさとグロテスクさがぎりぎりのバランスで調和した、女性器特有の淫らな形。
幸太は思わず言葉を失い、ぐびり、と生唾を飲みこむ。
「舐めなさい」
女教師が凛とした口調で命令する。気品と知性を兼ね備えた容姿もあいまって、その態度はまるで女王様のようだ。
「えっ」
「舐めるのよ、ここを。先生の言うことが聞けないの?」
「は、はい……」
驚きながらも、幸太は夢遊病者のような足取りで真弓の傍へ近づいた。固い床にひざまずき、相手の腰の両側に手を添える。膝立ちの姿勢になるとちょうど眼前に女教師の秘唇が位置していた。
(女の人のアソコをこんな間近で見たの、初めてだ)
幸太は眼前の光景をしっかりと網膜に焼きつける。昨日の初体験の際にも真弓の秘処を目にしているのだが、薄暗い教室内のことだったし、緊張もあってしっかりと見ることができなかった。