放課後の蜜肌教室 人妻女教師と優等生

幸太のアパートには行かないと約束していたのに……衝動的に約束を破ってしまうほど嫉妬していたのだろうか。

「まあ、浅野くんはまだ若いし、やりたい盛りだものね。あたし一人じゃ満足できなくて、新藤さんにまで手を出したのかしら」

「違います」

ため息をついた真弓に対し百合がきっぱりとした調子で首を左右に振った。

「私のほうから言い出したんです。私……私だって、幸太くんのことが好きだから」

「あくまでも浅野くんをかばうわけ? 悪いのは自分だって」

場の空気がどんどん険悪に澱んでいき、幸太は心苦しい気持ちでいっぱいになった。

(僕が態度をはっきりさせないから──)

二人の女性の間を行ったり来たりしていたから、結果的に真弓にも百合にも嫌な思いをさせてしまった。だが簡単に決断することなど不可能だ。どちらか一方だけを選び、もう一方を切り捨てるには真弓も百合も魅力的すぎた。

「それじゃあ浅野くんに直接聞くしかないわね。あたしと新藤さんのどっちがいいの? 君はどっちを選ぶつもり?」

そんな彼の心を見透かしているのはやはり年長者である真弓だ。真弓と百合の視線が同時に幸太へと集中し、物理的な圧力さえともなって全身を締めつける。

「ど、どっちって言われても」

二人を天秤にかけることなどできなかった。勝手な言い草かもしれないが二人にはそれぞれの魅力があり、それぞれの想いがある。幸太には簡単にどちらかを切り捨てることができない。たとえ優柔不断と言われても……。

黙りこんでしまった幸太に真弓がしなやかな指先を伸ばし、胸板の上をつーっと撫でた。くすぐるようなタッチで大胸筋に沿ってなぞり、さらに乳首をつまむ。軽く痺れるような快感が胸元に走り、幸太は思わずうめいた。

「う……」

「ふふ、どうかしら浅野くん。あたしならもっとあなたに気持ちいいことをしてあげられるわよ?」

「わ、私だってっ……!」

声を震わせた百合が横合いから幸太に抱きついてきた。スレンダーな裸身を幸太の二の腕にこすりつけるようにしてしなだれかかる。肩から首筋に沿って、ぷるん、と弾力のある唇を這わせていった。

「うう……」

百合の唇が触れた部分から、くすぐったいような、鳥肌が立つような柔らかな愉悦が湧きあがる。

「あら。あたしに張り合うつもりなの、新藤さん」

「──私だって幸太くんへの気持ちならっ……」

百合はおとなしげな顔を紅潮させて真弓を見つめた。控えめな性格の彼女としては珍しいほど気持ちをあらわにしている。嫉妬、だろうか。

対する真弓は大人の余裕たっぷりに、幸太の胸板や乳首を指先でいじっていた。百合もふたたび幸太の首筋から耳たぶ、頬や唇にまでキスの雨を降らせていく。

偶然なのか、微妙に息の合った二人の愛撫がハーモニーを奏でるように融和し、幸太は全身がゾクリとするような肉悦を覚えた。

(うわ、二人とも気持ちいい)

「ど、どう……ん、ちゅ……かな、幸太、くん……あむっ」

「あたしのテクニック、まだまだこんなものじゃないわよ。これからたっぷりと味わわせてあげるわね」

期せずして人妻女教師と優等生の声が唱和する。

「えっ……と」

もはやどちらのほうが気持ちいいという問題でもなかった。二人同時にされたことで快楽が何倍にも増幅されている気がした。

(どうせならこのまま三人で──なんてだめかな?)

我ながら都合のいい考えだとは思う。思うが、しかしそれは同時に、この上もなく魅惑的な思いつきでもあった。真弓は正面から、百合は背後から、それぞれに幸太を責めたて、今やそのリズムはぴったりと合っていた。

(このまま真弓先生と百合ちゃんを、同時に)

そんな幸太の思いをいち早く汲み取ってくれたのは年上の真弓のほうだった。わずかに苦笑をまじえながらも妖しく瞳をきらめかせ、

「ま、いきなり『どっちを選ぶの?』なんて言われても、浅野くんも答えられないでしょうしゆっくり考えればいいわ。これからもあたしたち二人と接しながらね」

「先生……?」

真弓の発言の意図が分からず幸太は目をしばたかせた。

「どうせ、ひとりひとりじゃ君の気持ちも欲望も受け止めきれないみたいだし。だったら、あたしと新藤さんの二人がかりで受け止めてあげる──そういうこと」

「えっ?」

「そ、それってどういうことですか?」

幸太と百合が同時に驚きの声を上げると、真弓は艶のある笑みを浮かべ、部屋の中央に敷かれた布団に視線を向けた。

「君たちが二人とも裸で、あたし一人だけ服を着ていると場違いよね」

真弓が百合に対して含みのある視線を向けた。まるで恋敵に見せつけるかのように豊満な胸や尻を揺らしてみせた。濃紺のジャケットとスカートを脱ぎ去り、ブラジャーとショーツを外していく。

「うわ……あ」

ガーターベルトとストッキングを残し、あとは一糸まとわぬ裸身をさらすと幸太と百合は同時にため息をついた。考えてみれば、何度も交わったとはいえ全裸に近い姿を見るのはこれが初めてだ。

豊穣の女神を思わせる均整の取れた肢体は見事の一言に尽きた。勢いよく突きだした双丘が呼吸に合わせて軽くはずむ。胸元からわき腹、腰を通って両下肢へと続く曲線は完璧なSの字を描いていた。

その中でガーターベルトに吊られたストッキングが太もものむっちりとした肉感をより強調していて、単純な全裸以上にエロチックだ。