放課後の蜜肌教室 人妻女教師と優等生

「な、なあおい。今日の真弓先生、妙に色っぽくないか? いやいつも色気あるけど今日は特に」

前の席に座っている男子生徒の楠木が顔を紅潮させながら話しかけてきた。

「本当だね。僕も見てるだけでドキドキするよ」

と、うなずきながら幸太は胸がすくような優越感を覚える。女教師の『変調』の理由を知っているのはこの教室の中で幸太だけなのだ。机と椅子の隙間から、男子生徒のスラックスの前が膨らんでいるようすが見えた。

「俺、もうたまんないよ。すげぇ……」

「い、今は授業中よ……く、うっ……私語はやめなさい……ぁぁっ」

いつもなら凛々しく生徒を指導する真弓も、このときばかりは娼婦のごとき蠱惑的な表情を抑えきれず、男子生徒たちの妄想をかきたてさせることしかできないようだった。楠木を潤んだ瞳で見据え、

「特に楠木くんは赤点ぎりぎりよ……は、んっ……も、もう少しがんばらないと、次は……補習だから……んくぅっ……ねっ」

真弓は呼吸が荒いだけでなく、いつもならモデル顔負けの美しい歩調も少し千鳥足気味だ。一歩踏み出すたびに艶めいた三十二歳の色香が漂ってきて、幸太のみならずクラス中の男子生徒がため息をもらす。

「へ、返事は、く、楠木くん……あふっ……」

言いながら真弓は軽く中腰のような姿勢を取った。膣内を不規則な振動が襲っているのだろう、口を半開きにしてねっとりとした息をもらす。

「は、はいぃ……」

素直にうなずきながらも楠木の視線はあふれんばかりの欲情をたたえ、くなくなと腰を揺らす妖艶な女教師へと向けられている。幸太の股間もすでに膨張しきってスラックスの前がテントを張っている状態で、けっして彼のことを笑えなかった。

「そ、それと……浅野くんは今回よくがんばったわね……こ、この調子よ」

真弓の視線が楠木から幸太へと向けられ、賞賛の言葉を投げかけてくれた。胎内をバイブの振動にさらされているためか、相変わらず声がかすれている。震える手で教科書をめくりながら授業を進めていく。

(真弓先生が褒めてくれた!)

幸太はひそかに心の中でガッツポーズをした。勉強で真弓先生が認めてくれた事実が小躍りしたいほど嬉しかった。

(僕だってやればできるんだ)

幸太の胸にはたしかな自信が息づいていた。それは真弓に背中を押され、育ててもらった自信だった。だからこれからは胸を張って生きていけそうな気がする。もっともっと努力を重ねて自分を磨く。男を磨く。

そして本当の意味で真弓にふさわしい相手になりたかった。

放課後の教室には幸太と真弓の二人しかいなかった。掛け時計を見ればもう五時を過ぎている。開け放たれた窓から外気が吹きこみ、ぶ厚いカーテンを揺らす。橙色の夕陽が教室に差して長い影を落としていた。

「もうっ、こんなものをつけてたら授業にならないわ」

真弓はスカートをたくし上げ、ショーツをずらした。股間に手をやると、じゅぷっ、と淫らがましい響きとともに、無機質な器具があらわれる。直前まで女教師の膣孔に埋まっていたバイブレーターだ。

愛蜜にまみれ、なかば白濁色に染まった淫具を教卓の上に置いた。ぷん、とした女の香りが教室の中に漂う。

「ごめんなさい。でも、とても色っぽかったですよ。僕のまわりの男子、みんな前かがみになってました」

「あたしは教師なのよ。生徒を興奮させるんじゃなくて、授業をするのが仕事なの」

憤然と口を尖らせる。ため息を一つつくと、自席の椅子に座っている幸太に身体をこすり寄せた。

「……最近の浅野くん、少し変わったわね。クラスの男子が騒いでいたの、職員室にまで聞こえたわよ。サッカーで大活躍したって」

そう、見違えるように成績が上がってきたのは勉強だけではない、体育の時間でも同じだった。もともと幸太は運動能力が取りたてて低いわけではない。自信を持って取り組み、自分の能力をきっちりと出しきればそれなりに活躍できるのは不思議ではなかった。

幸太は二時間目におこなわれた体育の授業でサッカーのフォワードを務め、立て続けに三点も取ってしまった。おかげで男子たちの間で、ちょっとしたヒーローに祭り上げられた。

入学して以来こんな扱いを受けたのは初めてだ。今の幸太は冴えない、目立たない男子生徒ではない。周囲から一目置かれているのを実感する。

もちろんその評価を維持するためには、不断の努力が不可欠だ。周囲が驚いているのはあくまでも『幸太にしては』活躍したからであって、彼の能力が他を圧しているわけではない。それでも今の幸太は、もう昔の幸太ではない。

「積極的に動いたらたまたまうまくいっただけです。まぐれですよ」

照れくさいような、くすぐったいような気持ちで謙遜すると、右の肩口に真弓の胸元が触れた。ふくよかな柔らかみを感じて胸の鼓動が高まる。

偶然ではない。真弓自身が誘うように、たわわな双丘を押しつけてくるのだ。

「まぐれも実力のうちよ。君ががんばってるのは分かっているのよ。実力テストも八十点を超えていたし、担任として鼻が高いわ」

嬉しそうに告げながら、色香あふれる女教師が教え子の少年にしなだれかかった。熱っぽい息が幸太の首筋をくすぐる。ぞくりと背筋が粟だった。

「じゃあ……ご褒美がほしいな」