ハーレムマンション 僕と美人妻たちの秘蜜な昼下がり

「千成だか万成だか知らないけど、やっぱり見る目がないよ! 僕のアンナをなんだと思ってるんだ!!」

口にしてから、エキサイトしすぎたと気づいたが、吐き出した言葉は戻らない。微妙すぎるセリフを中和しようと、洋介は、こほんと一つ咳払いしてから、声のトーンを少し下げ、彼女を力づける言葉を、頭をフル回転させて検索した。

「まあ、だから、そんな一度くらいの失敗で、落ち込むことはありません。まなみさんの美貌と演技力をもってすれば、ファンは暖かく迎えてくれますから!」

言いながら洋介は、まなみの様子を窺った。すると、彼女の大きな瞳と洋介の細い目が、ばちばちんとぶつかった。

目もとを赤く染めたまなみは、両手で覆うように持っていたココアの入ったカップを口元へと運び、こくりと甘い液体を呑みこんだ。少女がはにかんだようなその仕草に、洋介は心臓を鷲掴みされた気分だった。

「洋介くんは、ひいき目が強いから……。でも、ありがとう、少し元気が出てきた。あともう少し、自信を取り戻せるといいのだけど……」

まなみがぽつりとつぶやくのを聞いた洋介に、とある思い付きが浮かんだ。

「それじゃあ自信、取り戻しましょう!」

そう宣言した洋介は、居間の棚やビデオデッキ、寝室の本棚を回り、手元にあるまなみのイメージビデオやドラマのDVD、写真集などを大急ぎでかき集めた。

「こんなに持っているの? もう、わたしの手元にはないものまで……」

山と積まれたお宝に、目を丸くするまなみ。その感激の面差しに、洋介もまんざらではない。

「だったじゃなくて、今でも大ファンを自負しています……。で、まなみさん、ここで使われている衣装って、まだ持っています?」

「全部は残っていないけど、何枚かなら……」

「それじゃあ、それを持ってきてください。その衣装を身に着けて人前に立てば、あの頃の自信が取り戻せるでしょう?」

洋介自身、無茶と思える提案だったが、意外にもまなみは何かを決心したかのようにこくりと頷いてくれた。

「だったら、ここに衣装を運ぶよりも、洋介くんがうちに来て」と、うれしい招待をしてくれたのだ。

「どうせなら、撮影会もやりましょう。いいですよね?」

ピンクに染まった頬が縦に動くと同時に、二人は腰を持ち上げた。

最初に洋介がファインダーに収めたのは、清楚なワンピース姿だった。

白い花柄のそのワンピースは、大好きな写真集の中で身に着けていたもので、もちろん洋介のリクエストによるものだ。

ひざ丈のコットン生地を着こなして、まなみが恥ずかしそうに現れた時は、感動のあまり声も出なかった。

「どうかしら? おかしくない? 恥ずかしいんだから、何とか言ってよ」

生足を気にして、前かがみになるまなみを、呆然と見つめていた洋介。あんぐりとあけたままの口から、涎が垂れそうになったのをあわてて手の甲で拭った。

「き、きれいです……。ああ、アンナさんだ。高野アンナが、こんなに間近にいる」

ぶるぶると身体が震えはじめ、涙ぐんでしまった。

二枚目の衣装は、情熱的な赤のドレス。

ネックラインが深く大きくカットされ、首筋や胸元を露わにしたローブデコルテの赤のドレスは、胸や肩を大きく露出させることで着装者の肉体的な美しさを誇示している。無防備な肩からは、白いショールを羽織っていたが、それもレース地のため肌を隠すものではない。

西洋の貴婦人を髣髴とさせる裾の長いドレスは、女優として輝きを放っていた当時よりも、現在のまなみのほうがより似合っているように思われた。こうしてみると、まなみは、あの頃以上におんなとしての熟成が進み、凄まじいばかりの女盛りにその身を咲き誇らせている。

マッシブにも柔らかく揺れる乳房。キュッとくびれてからバンと迫力たっぷりに張り出した蜂腰。あの頃は、華奢で細いとばかり思えた女体が、今は驚くほどの官能美に満ちている。

緊張感に汗ばんでいるのか、彼女が放つフェロモン臭がどんどん居間に充満していた。

「まなみさんの美貌が、より輝いています。凛とした美しさが魅力です」

男を圧倒するばかりの美女オーラと熟女フェロモンを纏ったまなみは、それでいて決して下卑たところがない。乳白色に輝く白い肌が、上品な彩りを添えるからだろう。優美な貴婦人を思わせるのも、それゆえだった。

「本当にすごい。近寄りがたいくらいの美しさです。本物の女優さんって、こんなにすごいんですねえ」

洋介が褒め称えるたび、まなみのおんなっぷりがあがっていく。まるでセピアカラーの写真が、総天然色の鮮やかさに変わるような印象だった。

三枚目の衣装に、アイドルらしいピンクラメのドレスがチョイスされた後、四枚目は、一転してナチュラルなものに変わる。

自然に身体の線が知れるようなニットのワンピース。フロントは深めのVネックで、前かがみになると、襟首からまなみの深い胸の谷間が惜しげもなく晒されるのだ。

バストトップ九十八センチEカップと公称されていた乳房は、現在も変わりなく健在で、目のやり場に困るほどの迫力だった。

「うわああ……おっぱいが、プルンプルン揺れて、悩ましいですぅ!」

ファインダー越しであるのよいことに、洋介は恥ずかしげもなく思いのままを口にした。