人妻フルコース~熟れ頃・食べ頃・味見頃~

「あら、可愛い。秋山くんって意外に初心なのね、注意されて赤くなっちゃうなんて」

注意された恥ずかしさで顔が赤くなったと勘違いしたらしいベテラン主婦の言葉に、周りからクスクス笑いが漏れる。

「はーい、じゃあ、甘酢あんの作り方いきますよ。よく聞いてくださいね」

和やかな雰囲気の中、千佳子の優しい声が調理実習室に響くのであった。

─ 2 ─

「ごめんなさいね、こんなこと頼んじゃって」

「いえ、全然たいしたことないですから」

悠里夫婦が住む1LDKのマンション。料理教室の帰りに同道した拓実は、その浴室で脚立にのぼっていた。浴室中央の天井部に設置された照明器具の電球交換。

(ここで毎晩、悠里さんは裸になってるのかあ……。この鏡は毎晩、悠里さんの裸を映しこんで……あぁ、チクショウ、羨ましいなぁ)

決して広い浴室ではなかったが、白で統一された浴槽やタイルが清潔感を印象づける。そして、洗い場に設置された、いまは脚立にのぼる拓実の下半身を映しこんでいる鏡を見ると、つい邪な妄想が逞しくなってしまうのだ。

「ほんとに私、高いところ苦手なのよ」

「僕でよければ、いつでも参上しますから。なにかあったら、呼びつけてください」

「ありがとう。はぁ、秋山さんみたいに頼りになる弟がいればなぁ」

(できることなら、僕だって悠里さんみたいなお姉さん、欲しいですよ。っていうか、悠里さんがお姉さんだったら、最高だろうな。姉弟だからエッチはできないだろうけど、それでもこんなに綺麗なお姉さんがいたら……)

若妻の言葉からの連想に、頬が緩んでしまいそうになる。そんな中、球形のガラスカバーを外した拓実は、それを悠里に渡すと、本題である切れた電球を外した。

「すみません、新しい電球を」

「はい、これに替えてちょうだい」

切れた白熱電球の代わりに渡されたのは、LEDの電球であった。それに付け替え、再びガラスカバーを戻せば作業は終了である。

「ふぅ、終わりました。ちゃんと点くかどうか、試してみてください」

脚立に載ったまま声をかけると、悠里はすぐに脱衣所に戻り、スイッチを入れた。パッと瞬時に照明が灯る。

「大丈夫ですね」

「ありがとう、秋山さん」

「いえ、本当にたいしたことじゃありませんから。こんなことなら、いつでもどうぞ」

戻って来た若妻に笑顔で答えてから、脚立をおりた。

事件はその直後に起こった。

洗い場の水栓側にいた悠里が、床に落ちた埃を拾おうとして、誤って肘で水栓レバーを押しさげたのだ。刹那、猛烈な勢いでシャワーから水が噴き出してきた。

「うわっ!」

「きゃっ」

シャワーから噴き出した水は、ちょうど真下に屈みこんでいた悠里をずぶ濡れにし、脚立に弾かれた水滴が、水栓と反対側におりた拓実をも濡らす。

「大丈夫ですか、悠里さん」

拓実は心の中でいつも呼びかけている名前で若妻を呼ぶと、あまりに突然の出来事に呆然として動けなくなった悠里の側に駆け寄り、大急ぎでレバーを戻した。その際、洗い場の中央に置かれた脚立が邪魔で回りこめなかったこともあり、シャワーを止めに動いた拓実までもが、水の洗礼を受ける羽目になってしまった。

「ごめんね、ドジっちゃったわ」

「僕は平気ですけど、悠里さっ、いえ、森口さんは大丈夫ですか」

「うふっ、別にいいわよ、悠里さんで」

「はい。悠里さんも、僕に「さん」付けはヤメテください。僕、年下ですから」

肩胛骨あたりまでのびた、真っ直ぐな黒髪から水滴を滴らせながら、若妻が美しい笑顔で見上げてきた。悠里ほどではないが、濡れた髪から水滴を落とす拓実は、こっくりと頷き右手を差し出していく。

美人妻のほっそりとした白魚のような指先が絡まってきた。そのなめらかな感触だけで、ゾクッと背筋を震わせつつ、悠里を立ちあがらせてやる。

立ちあがった若妻の全身を見た瞬間、雷に撃たれたような衝撃が走り抜けた。

(すっ、す、スケ、透けてる! 悠里さんのオッパイを守るブラジャーが丸見えになっちゃってるぅ。凄い! やっぱり悠里さんのオッパイ、大きい……ゴクッ)

涼しげな白い麻のワンピース。濡れたそれが若妻の肌に貼りついていた。お陰で悠里の魅惑のボディラインを浮きあがらせている。見事としか言えない胸の膨らみ。四分の三カップのピンクのブラジャーに包まれた乳房が、ドンッと拓実の視線を射る。

チノパンの下で、ペニスがピクッと震え、急速に鎌首をもたげはじめてしまう。

「ほんと、ごめんなさいね。あぁ、秋山さッ、秋山くんまでビショ濡れに……。いま、タオル持ってくるから、待ってて」

自分の状況を理解していないらしく、若妻は拓実の姿を見ると、すぐに脱衣所へ向かおうとした。だが、それよりも早く、多感な少年の本能が行動を開始していた。

(悠里さんのこんな悩ましい姿見ちゃったら僕、もう我慢できないよ)

「悠里さん!」

横をすり抜けようとする悠里の手首を掴み、心の導くままに二十六歳の女体を抱き締めた。濡れて冷たい麻のワンピースとTシャツ越しに、若々しい肉体の弾力と温もりが伝わってくる。胸板でひしゃげる張りの強い双乳の感触に、腰骨が妖しく震え、ペニスが完全勃起してしまう。

(悠里さんの身体、温かくって、張りが強くて、そしてなにより、なんて細いんだ)