人妻フルコース~熟れ頃・食べ頃・味見頃~

再びジーンズの股間部に這わせてしまった左手の平からは、その下に押しこめられている強張りの感触が、はっきりと伝えられていた。ピクン、ピクンと小さく跳ねあがる硬直に、三十六歳の性感が妖しく揺さぶられる。

「くッ、あぁ、そんなことは……。ほんと、ダメです、ヤメテ、くださいよぅ」

「ふ~ん、じゃあ、悠里ちゃんのことだ。拓実くん、悠里ちゃんのこと、よく見つめているもんね」

「えっ!? あっ、いや、あの、そんな、森口さんのこと、なんて、僕は、別に……」

(あら、図星だったようね。まあ、年齢的に考えれば、悠里ちゃんはちょうどいい感じの年上のお姉さんだし、彼女、美人なだけじゃなく、スタイルもいいものね)

両目を見開き、不安そうに視線を泳がせた少年に、晴恵は内心で小さく笑んでしまった。しかし、表情には一切出さず、左手の平に感じる強張りをギュッと掴んだ。

「ダメよ、悠里ちゃんは。彼女、今年の三月に結婚したばかりの新婚さんなんだから」

森口悠里は、この春から料理教室に通いはじめた若妻だ。三月に結婚したばかりの新婚であり、楚々とした印象を漂わせる美貌は、同性である晴恵も素直に美しいと思えるものがあった。

「いえ、だから僕は、決してそんなつもり、ッわっ、はぁ、ほんとに、ヤメテください。そんな強くこすられたら、僕、うぅ、出ちゃう、あっ、あぁぁぁぁッ!」

ソファに落ちていた尻がビクンッと大きく浮きあがったと思った刹那、ジーンズ下のペニスが激しい脈動に見舞われたのが、手の平を通じてありありと伝わってくる。

「えっ!? ちょっ、ちょっと、拓実くん、あなた……」

「す、すみません、僕。ほんとに、ごめんなさい」

あまりに突然のことに、晴恵は呆然としてしまった。強張りに被せたままの左手の平には、じんわりと生温かな潤みが感じられる。迸り出た白濁液が、早くも下着とデニム地を透過してきたのだ。

(嘘、こんな簡単に……。童貞くんって、こんなに敏感だったなんて……)

「本当にごめんなさい。僕、あの……」

潤みを帯びた拓実の声が鼓膜を震わせた途端、晴恵はハッと我に返った。被せたままであった左手を離し、改めて右隣に座る少年を見る。すると拓実は、顔をうつむけ小刻みに震えていた。その姿に、熟女の母性が激しくくすぐられた。

「私のほうこそ、ごめんね。こんな悪戯して。まさか、出てしまうなんて思わなくて」

「さっ、坂下、さん……」

気づいたときには、晴恵は上半身を右に捻り、うつむく拓実をギュッと抱き締めていた。タンクトップ下の乳房が、少年の左肩を挟むような格好だ。ビクッと肩を竦ませた拓実が、震えた声をあげてくる。

「大丈夫よ。さあ、立ってごらんなさい。そのままじゃ、気持ち悪いでしょう。旦那の新しい下着があるから、それに履き替えていきなさい」

「いえ、平気です。ほんとに、すみませんでした。僕は、これで失礼します。本、ありがとうございます」

優しく抱擁を解き、先にソファから立ちあがった晴恵が促すと、拓実は首を小さく左右に振った。渡したレシピ本を一度掲げるようにして礼を言うと、料理教室に持ってきていた鞄にしまい、うつむいたままソファから立ちあがる。

「ダメよ、ジーンズの前にも、お漏らししたみたいに浸み出てきちゃってるのよ。こういうときは、大人の言うことを聞くものよ」

「でも、僕、あの……」

「ふふふっ、大丈夫。私に任せて。これでも人妻なんですからね」

ソファの横に出た拓実の戸惑った顔に、またしても母性をくすぐられながら、晴恵は妖艶な顔にできるだけ優しい微笑みを浮かべてやった。

少年の正面にしゃがみこみ、慣れた手つきで、ジーンズのボタンとファスナーを開放する。まずはジーンズだけを足首のところまで引っ張りおろす。下からあらわれたのは、白いブリーフであった。噴きあがった白濁液が大きな濡れジミを作り出し、同時に、若い牡の精臭が三十六歳の鼻腔に突き刺さる。

(あぁん、すっごい。こんなにたくさん……。それに、なんて強烈な匂いなの)

晴恵の子宮に、ズンッと鈍い疼きが走った。ホットパンツの下、薄布に守られた秘唇の奥がざわめきだし、クロッチに淫蜜を滲み出してしまいそうになる。

(はぁん、こんな凄いの嗅がされたら、私のほうがおかしくなってきちゃいそう)

結婚して八年。子宝に恵まれなかったこともあり、すっかり倦怠期を迎えていた。そのため、夫婦の夜の営みはここ半年ばかりご無沙汰である。そこにきて、商社勤務の夫は先月から上海に長期出張中なのだ。それだけに、高校生の濃厚な精臭に、熟れた肉体が敏感に反応してしまう。

「あっ、あの、さっ、坂下さん……」

「えっ、あぁ、ごめんなさい。こんなに大きく濡れちゃってるのよ。このままじゃ帰れないでしょう。でも、困ったわね。旦那の下着ってトランクスなのよ。白いブリーフ、買ってきてあげるわ」

「いえ、いいんです。本当に平気ですから。だから、あの……」

拓実の瞳が落ち着きなく左右に泳いでいた。心なしか、ブリーフ下のペニスが少し大きくなったようにも見える。次の瞬間、晴恵は「あっ」と声をあげそうになり、慌ててその言葉を呑みこんだ。

(胸! タンクトップの襟元から、私の胸元が覗けちゃってるんだわ。だから、急にこんなソワソワした感じに……)