「ぐはッ、あぁ、ゆっ、悠里さん!? 信じられない。僕のが、悠里さんの口に……」
早くも小刻みに震えている拓実の両手がワンピースの肩に這わされた。愉悦を伝えるように、指先が華奢な肩肉に食いこんでくる。
「ふぐぅン、うんッ、チュッ、くちゅっ、チュパッ……」
苦しげに柳眉を歪め、悠里はぎこちなく首を前後に振りはじめた。肩に食いこむ指の痛みはさほど気にはならなかった。それ以上に、味蕾に広がる先走り液のえぐみと苦み、そして苦みの奥から感じられるほのかな甘みに意識を持っていかれていた。
(凄い。秋山くんのこれ、彼のよりずっと濃い。あぁん、変よ。私のあそこが、キュンキュンしてきちゃってるなんて、こんなの、あの人にしたときはなかったのに)
夫に求められるがまま、義務としてこなしてきたフェラチオ。それを、自分から行ったことによる性感の増大が、確実に女体を疼かせていた。子宮のざわめきが増し、腰がくねってしまいそうになる。
「はぁ、悠里さん、気持ちいいです。悠里さんの舌で、ぐッ、亀頭を優しく嬲られると、僕、それだけで……」
(意図的に舌を動かしているわけじゃないのに。たまたま当たっちゃってるだけなのに、こんなに悦んでくれるなんて)
「ヂュパッ、くちゅっ、ンぐぅん、ヂュッ、くちゅっ……」
驚くほどに少年の反応は鋭かった。それが若妻の満足感を押しあげる。同時に、肉洞内の膣襞もなにかを期待して蠕動を開始していた。本能的に太腿同士を軽くこすり合わせてしまう。ンチュッ、小さな蜜音が若妻の鼓膜を震わせた。
(はぁン、私、こんなはしたないこと、自分から……。夫以外の男の人のオチンチンを口に入れながら、自分のあそこを刺激しちゃってるなんて)
パンティの股布がよじれることによって生じるかすかな淫悦。夫以外の男性器を積極的に口に含んでいるという背徳感。
そしてなにより、口腔内で小刻みに震えているペニス。そこから漏れ出す先走りの風味と、鼻の奥に抜けている牡臭が、若妻のおんなを刺激しつづけていた。
(はぁン、でもこれ、気持ちいい。強い刺激じゃないのに、どうしてこんなに感じちゃうの。相手はあの人じゃなく、秋山くんなのに……。だからなの? 素直に私のことを想ってくれる秋山くんだから私、こんなに淫らになれるのかしら)
夫とのセックスでは得たことのない愉悦が、悠里の口唇愛撫を激しくしていく。
「ヂュチュッ、ふむぅン、くちゅっ、ちゅぴゅ……」
「ダメです、悠里さん。僕、ほんとに、くぅぅ、出ちゃい、ます。悠里さん、悠、り、あっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」
ワンピース越しに食いこむ少年の指に一層力が加えられた。張り詰めていた亀頭がさらに膨張した直後、喉の奥に向かって猛烈な勢いで白濁液が放たれた。
ドビュッ、ずびゅっ、どぴゅ、どぴゅぴゅ……。
「ンぐッ! うっ、うぅぅ……」
(えっ、嘘でしょう! 口の中に、秋山くんの精液が……)
夫から要求されるフェラチオは、あくまでも前戯の一つであり、口腔内に欲望のエキスを放たれた経験がなかった。そのため、口の中にどんどん溜まっていく粘度の高いミルクにパニックを起こしてしまいそうになる。
だが、それと同時に、自分から積極的に施した口唇愛撫によって、男性を絶頂に導いたことへの快感、女としての満足感も全身を駆け巡っていた。
(この経験のない私が、男の人を射精に導けたなんて、それも、こんなに簡単に……)
「あぁ、悠里さん、ごめんなさい。でも、僕、まだ、もっと出ちゃいますぅぅ」
ビクン、ビクンッと腰を痙攣させ、拓実がさらなる白濁液を放ってくる。
(でも、この口に溜まっていくこれ、どうしよう。飲んであげれば、いいのよね)
「コクッ、ンッ! ンぱぁっ、ゲホッ、ゴホゴホ、はあ、はあ、はあ、ゴホッ……」
十回以上の脈動ののち、ペニスがようやくおとなしくなってから、悠里は思いきって喉の奥に精液を送りこんだ。次の瞬間、ドロッとしたゲル状の物体に噎せ返った。
「ゲホ、ゲホゲホ、はあ、はあ、ゴホン、はあ……」
咳きこみながらペニスを口から解放すると、ビチャッと水音を立て、若妻の口から白く泡立った牡の欲望液が、フローリングの床に白い花を咲かせた。
「すっ、すみません、悠里さん。僕、我慢できなくて、それで……」
「はあ、はぁ、ううん、いいのよ、大丈夫だから。ゴホッ、そんなに気持ちよかった?」
しゃがみこみ、背中を優しく撫でてくる少年を、呼吸を整えた悠里は潤んだ瞳で見つめた。
「はい、とってもよかったです。でも、ごめんなさい。憂さ晴らしの相手でもなんでもするなんて、偉そうに言っておきながら、僕だけ勝手に気持ちよくなっちゃって」
「うふっ、いいのよ、そんなこと」
(秋山くんってなんていい子なのかしら。いまどきの高校生で、ここまで相手を思い遣れる子って、少ないんじゃ)
興奮に顔を上気させつつも、悠里を気遣う少年の態度に、若妻の胸の奥と秘唇が、同時にキュンッとなった。元々、拓実に対する好感度は悪くなかったが、それが急上昇していく。
「あ、あの、許してもらえるなら、ぼ、僕も、その……ゆ、悠里さんのあそこ、舐めさせて欲しいです」
「えっ!? いや、でも、それは……」