不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

ユウゴの左手指が、詩織の頭と髪を再度撫でさする。

「無理矢理奥まで突っ込んだりはしないよ。ボクは詩織の悦ぶ顔が見たいんだ」

(こんな真似されて喜ぶわけないでしょうっ!? 中途半端に好い人ぶらないで!)

いっそ、乱暴に犯されたなら、もっと割り切れた。

憎らしさを肉棒へと吐きつけるすべもなく、すがるようにユウゴを見上げた詩織の口中で、唾と、今また男が吐きつけた先走り汁が堆積する。

(……苦、い……)

実際には無味なのにそう感じたのは、やはり夫への罪悪感、心苦しさがあるからだ。

「口を窄めて、唇で雁を扱くように出し入れするんだ」

「……んっ……ふ、んむっ。ンン……ン、ンンンッ」

早く済ませたい一心で指示通りに奉仕する。窄めた状態で前後させるたび、唇を捲る雁が跳ね、手近な口内粘膜に先走りのつゆを吹きつけた。

熱く苦々しいその味わいを唾と一緒に嚥下すれば、胃の奥まで淫熱に炙られる。

「あぁ……最高っ。いいよ、いいよ詩織っ。ずっと、夢見てたっ……」

興奮しきったユウゴが、またスマホで撮影する。今度は動画を撮っているのか、彼の目が画面を見据えて動かない。

「ふっ……うぅ……んむぢゅッッ」

直接の視線を浴びられず焦れた唇が、詩織自身がそれと自覚するよりも早くに行動する。肉棒を唾ごと強く啜った口腔に、肉棒の鼓動が轟いて、揺さぶられた舌がまたベロリ。亀頭を舐り上げ、先走りのつゆを掠め取った。

「っ、ぁあ……! へ、へへ。こんなとこ、旦那さんに見られたら、どうなるかな?」

返礼のつもりか。今もリビングで眠っているはずの家主の話を持ち出して、ユウゴがやっと画面から離れた目を向ける。より硬く張り詰めた亀頭と舌のキスを楽しむように、掴んだ左手で詩織の頭を前後させるユウゴ。その摩擦に伴うむず痒い痺れと、止め処なく染み出す先走りのつゆのヌメリ。

男のもたらす全てが、三十分前まで渇ききっていた女体に容易く浸透する。

(やめて。言わないで。幸太郎さんの事、今は……今、意識させられたら、ぁ……ああ、は、ああぁ……ン……っ)

ユウゴの手がまた移動し、詩織の乳房を揉み捏ねる。左右とも球の下から逆手に掬われて、弾ませられた後、きゅっ……と乳首を摘ままれる。

「んふぅっ……! ふぅうぅぅっ」

強過ぎも弱過ぎもしない詩織の好み通りの圧力で乳首と乳肉を交互に愛撫された。その都度恍惚と多幸感が胸の内に奔り、同調した腰がくねって熱を吐き出す。スカートとショーツ、二重に覆われる股肉が解放してとせがむのを、実感しつつ歯噛みする。

(あぁ、あんな約束……っ)

しなければ良かった。ユウゴが約束を破って無理矢理押し倒してくれば──浅ましい肉欲が、破滅へと繋がる道を魅惑的に思わせる。

「急に旦那さんが戸を開けて入ってきたりして」

(ひっ……ち、違うのあなた。これはっ、脅されて仕方なくっ。あぁ、だからそんな蔑みの目で、私を見ないで。見捨てないで……!)

被虐を溜め込む悦びを知った肉体が、ユウゴの言葉責めに乗る道を疑う事なく即座に選択した。

「手も使って。そう、いいよ、詩織ぃ……」

唇で扱く傍ら、幹に這わせた右手指を上下に動かし、摩擦する。男の顔色を窺って圧を調整し、絡めた指で時折揉み立ててもやる。

すると悦び勇んだ肉棒が口中でひと際弾み、とろみの増した先走り汁を吐く。

肉棒を出し入れするため頭を小刻みに前後させれば、雁に掻かれ波打った唾液と先走り汁が溶け混ざる。泡立ち粘り気の増したそれを酸素確保のために飲み下す。粘着力でへばりつきながらドロリ、ドロリと胃に垂れ落ちてゆく感覚が、被虐悦を煽った。

(幹本君の出したおつゆが、私の唾と混ざって、喉に絡んで……臭いも味も、充満してってる……。こんな他人の臭いと味させてる口、幸太郎さんに嫌われちゃうぅ!)

暴れる肉勃起の突端が、歯茎や頬裏肉に幾度もぶつかり、強烈な存在感を刻みつけていった。その都度詩織の痺れた舌先が追いかけていって、窄めた唇と一緒になって肉幹を抱き締める。

摩擦に酔った口腔に溢れる唾を飲む。その振動に合わせて牡肉が浅く素早いピストンを見舞った。律動に揺さぶられた詩織の両乳房が弾むと、すぐにユウゴの手指が丁寧に揉み立ててくれる。刺激に期待して腰がくねれば、即座に粘着質な熱視線が降り注ぐ。

(あぁ、また、見てる……)

スマホでの動画撮影を続ける一方で、そのスマホから離れて真っ直ぐに見下ろしてくるユウゴの視線。眼鏡越しにも切々と伝わる彼の恍惚ぶりと執着心が、見上げる不貞妻の自尊心と性的欲求をあっさりと満たしてしまった。

──この三か月間、夫では満たされなかった心の空白を、卑しい陵辱者によって埋められる。あまりに惨めで情けのない現実が、不貞妻の被虐悦をこの上なく炙った。

「ふぐ……っ!」

同時に詩織の口中で、恋慕と肉欲で目一杯に膨れた肉棒が猛々しく脈を打つ。

(舌の上で暴れて……っ。あぁ、……凄い。熱々でパンパン……!)

それだけ大量の白濁汁が詰まっているという事だ。たっぷり詰まったそれが一斉に自身の喉元へと雪崩れ込んだら、どうなるだろう。想起した瞬間から、詩織の頭が前後に動く速度が上がる。

「うひっ、ああ、いいよぉ。もっと小刻みに、雁から上だけ擦って、しゃぶって! 舌でもベロベロして!」