不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

「グラウンドで一生懸命汗流してる人達を見下ろして、これから二人きりでセックスするんだ。興奮、するよね?」

鼻息荒らげたユウゴの問いに、詩織は即座に首肯した。

学生時分いつも引け目を感じていた相手を見下ろして、日常の一部であった学校で自分達だけが非日常を貪り食らう。堪らなく甘美で、刺激的な趣向だ。護ってくれると誓った相手もすぐそばにいる。二人だけの秘密の遊戯を拒む理由などない。

詩織は頬がまた緩むのを自覚しながら、夢想のビジョンを眼下に投影し始める。

「は、恥ずかしいから、見ないで……ね?」

あえて口に出す事でユウゴの気を惹き、フリフリと振った尻の谷間へと彼の目線を誘引した。その上で、命じられるまでもなくスカートを捲ってみせた。

「ふ、っ、ぁ……っ! 広げちゃ……やっあぁ、見られて、る……ぅぅ」

ユウゴの手が双臀を割り広げ、谷間の奥に息づく窄まりを剥き出した直後。相も変わらぬねっとりとした視線が、排泄のための穴に注ぐ。緊縮する穴の口周りの皺、一本一本を舐り尽くすように移動する彼の視線。

「あぁ、すごく可愛いよぉ。色素の沈着もまだ全然ない、処女肛門。いつかここにもボクのちんぽを入れてあげる。詩織のもう一つの処女、予約したからね」

言動に一貫するねちっこさが、女の優悦感情を炙り立て続ける。ほどなく、焦れて抑制の効かなくなった詩織の膝から下がカタカタと、情けなく震えだす。

「お、お尻の穴に、入れる……の?」

「そうだよ、それも、大勢の人に見てもらおうねぇ」

投影したビジョンの中でグラウンドを走ったり跳んだりしている学生達の中に、アナルセックスの経験がある者などいないはずだ。

(一緒に勉強してるクラスメイト達も知らない……私とユウゴ君だけが特別。二人だけの秘密。はしたなくて、スリルがあって、物凄く気持ちいい……変態セックス!)

大勢の人の前で、排泄穴を犯される。禁忌の香りが色濃い提案だけに、この上なく背徳の興奮を貪れる確信があった。

火照りを帯びた肛門が余計にきつく引き締まる。四か月の忍耐の果てにようやく目前に迫った待望の瞬間を、もう一秒だって待てそうにない。

「は、早っくっ、んふぅっぅぅぅっ」

表情と言葉で挿入を願おうと、詩織が背後を振り返った。その瞬間を待っていたように、ユウゴが勃起ペニスを膣口へと押し当ててくる。

すでに濡れそぼっている丸出しの膣口が、まだ焦らされるのかという思いと、久方ぶりの結合への期待。二つ同時に孕んで、よだれ代わりの蜜を熱々ペニスにまぶす。

「ふっ、うぅ……あぁっ、ン……駄目ぇぇ。早くぅっ」

滑りをよくした肉幹はズリズリと割れ目を擦り愛でては、また蜜をひり落とさせる。

少量ずつ注がれる疼きに耐えかねているのに、欲深い女の腰は自ずとくねり、摩擦の悦に貪りつく。内股をなぞり上げてくるユウゴの右手を愛しく受け容れてしまった。

「ゴムなしで……いいよね? 学校で、生セックスしちゃおうよ」

──まだ危険日には程遠い。その事実だけを、喘ぎ悶える脳内で繰り返し反復する。妊娠への危機感情がその程度の保証で霧散するほどに、詩織の身と心はユウゴを、彼の分身を受け容れたがっていた。

「いっ、いい……よ。生のおちんちんっ、お願い……詩織のお股に、早くっうぅ、ふグッ……~~~~~ッッ!」

受諾を得て脈打った肉の切っ先が、挿入口に突きつけられる。

待ちに待った結合の瞬間を想像して、詩織の尻にキュッとえくぼが浮いた。それとほぼ同時に、強烈な衝撃と、圧倒的質量が膣内に突き入ってくる。

「うはっ、ぁぁっ……四か月ぶりの詩織マ○コぉっ」

感極まったユウゴの喘ぎと叫びが、夕暮れの晴天に響き渡った。「毎日セックスしまくっている」設定を忘れた彼に怒りを覚える前に、一層高まった野外交尾の実感に酔い痴れて、詩織も負けじと嬌声を放つ。

「あ……ッ、くあ……はっ、あああァァ……ッッ!」

「は、締まる。締まってるよぉ。……うひっ、ひひひ。詩織ってば、入れられただけで軽くイッちゃったんだねぇ」

極度に刺激に弱い性感帯──膣の上壁を強かに擦りながらの挿入だったせいだ。加えて、尻穴の緊縮に同調してきつく狭まった膣洞を、力ずくでこじ開けられ、肉棒の根元近くまで一気に呑み込まされた。

(こんなの、堪えきれるわけ、ないじゃない……)

ユウゴの問いに頷き、振り返って表情を見せつける。半開きの唇からよだれを垂らし、また盛った犬のようにハッ、ハッと荒く短い息を吐く。目尻からは嬉し涙がこぼれ、羞恥するほどに赤らむ頬をしとどに濡らしていた。

「うぁっ、ひっンン……!」

見せつけた詩織の思惑通り、悦び勇んだ肉棒が膣内で弾む。揺すり立てられた安産型のヒップが、添え直されたユウゴの両手にぎゅっと強く掴まれた。

「ああ、いいよ詩織。ほら、もっとたくさん脳筋連中に見せつけてあげようよ」

痴態を余さず見届けてくれる。曝せば曝すほど、一緒に悦び昂ってくれる。夢想の続きを供与して、道筋を示してもくれた。

だから、充足感が止め処もなく溢れ出し、応えたいと思わされる。

「今日はねっちりよりもガンガン、がっつりする方がいいよねっ」

男の抽象的な問いかけを即時理解できたのは、詩織も今まさにイメージし、乞い願おうと考えていたのと、そっくり同じだったから。