不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

「陰毛が淡いせいで、割れ目が丸見えだよ。幹本君を欲しがっているのが丸分かりだ」

「うふふ。指摘されて羞恥する様も、初々しくていいわね。昔の自分を見てるよう」

他の面々も同好の士と言うだけあり、詩織が見られたいと願ったポイントを的確に視線で舐ってくる。口々に紡がれる批評のどれもが、露出嗜好を巧みに刺激して、詩織の腰により一層のくねりをもたらす。恍惚に震えた両脚の付け根に早くも、女陰のパクつきに乗じ漏れた蜜が滴る。

「うひひ。初めての時に比べて、随分濡れやすくなったよね。詩織のマ○コ」

無理矢理という形でユウゴに初めて抱かれた、八か月前。あの時には、彼との関係が続くとも、露出性癖の悦びを楽しめるようになるとも思わなかった。

それが今は、ユウゴの言葉を受けて衆目の注視が注ぐ女陰に、随喜を孕まさずにはいられない。

(十人以上の目に一斉に、濡れたお股を観察される、なんて……。恥ずかしいのに。熱く、なって、狂いそうなくらい……でもそれが、恋しくて堪らない……っ。こんな、世界があったなんて……!)

これほど大勢の同好の士が一堂に会する場が前々から設けられていたというのも驚きだが、何より皆が皆好意的に迎え入れてくれているのが嬉しい。長年性癖と向かい合う事なく過ごしてきた詩織にしてみればカルチャーショックを受けるのと同時に、安息感を覚えずにいられない。

「……もっと早く、ここに来たかった」

有限である人生を損した気持ちが抑えきれず恨み節が吐き漏れた。それを聞き留めて、苦笑いを浮かべたユウゴが弁明する。

「詩織が大切だから。その分慎重になっちゃったんだ。ごめんよぉ」

「あ……。い、いいの。怒ってるわけじゃ、ないから……その。あり……がとう」

子供のように素直に謝られると毒気も抜ける。大切にされていると改めて知って、思春期の少女の如き、拙くも面映ゆい情動が双乳の内に敷き詰められてゆく。

「待たせちゃった分、今日はたっぷり楽しませるからね。恥ずかしい姿を曝せば曝すほど、みんな喜んでくれるから。だから、ねっ。好きなだけ見せちゃおう」

「……っ。好きな、だけ……?」

恍惚に火照る素肌にそよ風が心地よく染み、野外で全裸という状況を強く再認識させた。遅れて訪れた解放感が、同志達の温かな眼差しと首肯に迎えられた事で、より痛切に詩織の胸の内に染む。

「そのチョーカーは差し詰め、結婚指輪代わりって所かい?」

「え。へへっ、まぁ、はいぃ」

おもむろに歩み寄ってきた、まだ若い青年の発言を、ユウゴが照れ混じりに肯定する。デレッと崩れた恋人の表情を振り返り見て、詩織は驚くと同時に胸奥と股の芯をときめかせた。傍目には情けなくも聞こえる彼の蕩け声が堪らなく恋しさを煽り立て、我慢できずに腰を振り、密着する彼の勃起ペニスを尻肉で舐り回しもする。

(これ……が? 私とユウゴ君を繋ぐ……絆。そう、なんだ)

高価な贈り物。普通にそう捉えて密かに緊張を覚えてさえいた。

身に付けた際に面と向かって告げてくれれば、誤解も緊張もせずに済んだのに──。真っ先に知らせてくれなかった事について拗ねる思いも生じたが、嬉しさが遥かに強く女芯を揺する。

黒のレース装飾が施されたチョーカーの滑らかな触れ心地は、彼の細やかな気配りの象徴。首に感じる拘束感は、彼の掛け替えのないパートナーとなっている現実を絶えず詩織の心身に意識づけてもくれた。結婚指輪代わり、との言葉を受けて、小さな布への愛おしさが天井知らずに増大する。

ひと際目を惹く黒い宝石の存在感に優悦を煽られ、喜悦に身じろぐたびに奏でられる音を意図的に大きくしようと、つい胸を意図的に反らせてしまう。

「良い形の胸だ。幹本君の目がなけりゃ、ひと揉みしたいところだが」

「あ……っ、やっ……ぁんっ」

離れ際。ベロッと舐り上げるように丸出しの双乳を一瞥していった青年の言葉が脳に、視線の熱が乳肌に染みつき浸透してゆく。

(ユウゴ君以外の視線。照りつくような強さのっ……)

前方の通路からも注ぎ続けるそれら全てを強く意識して、全身が煮え茹だる──そんな錯覚に憑かれた女体を、容赦なく夏の日照りが炙り、より熾烈な煩悶を四肢末端にまで及ばせる。

身を捩り悶える詩織の胸中を推し量り、ユウゴの眼差しが両乳房全体を隙間なく舐り尽くし、快楽の上書きをしてくれた。

「大丈夫、誰にも渡さないよ、詩織はボクのだ。この先もずっと、ずうっとだよ」

陶酔口調で紡がれた所有宣告に、思わずまた詩織の右手がチョーカーと、備え付けの宝石を順に撫で愛でる。頬の緩みを堪えきれずにニマニマと笑んだのを見咎められ、また皆の温かな微笑に迎えられた。

「嬉しいよね。わかるよ、その気持ち」

「わたくしも。主人と出会った時の事を思い出すわねえ」

特に女性陣からの同意の言葉に、詩織の心は沸き立った。皆同じ性癖の伴侶と出会えたのを至上の幸せとみなしているのだ。

(私だけじゃ、なかったんだ──)

安堵と共に訪れたさらなる解放感にも打ち震わされた後、詩織は両内腿を、股下に突き迫る恋人の勃起ペニスに愛しげに抱きつかせる。

「お。幹本君もいつになく興奮しているようだぞ」

五十路男性の指摘を受けるまでもなく、詩織はじかに触れ合う肉棒の感触から鮮烈にユウゴの興奮を嗅ぎ取っていた。