不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

「おめでとう」「元気な赤ちゃん、できてるといいね」「無事生まれたら、またお披露目をしてくれると嬉しいな」「その時は、またみんなで」

仲間達の祝福と希望と情欲の詰まった声と視線が注ぐ只中で、愛しい種の熱々ぶりに生命力を感じ取り、嬉し涙をこぼしながら、とびっきりの嬌声を迸らせる。

「あっありがとっ、ひッああああッッ! ああっあ……っあァッッ!!」

──今、受精した。確かな予感を抱いてまた肉の悦の高みへと達し、肩越しに迫ってきた恋人の唇に口づけた。愛しさを糧として、膣内で肉の棒がなお滾る。

蕩け惚ける詩織のアクメ顔を眺めながら、仲間の内の何組かが絶頂に達した。その痴態も悦の糧として、主賓二人の生殖器が揃って脈動し、蜜を噴く。

「おぅっ、うぅ……、ひ、ひひっ。まだまだ出せるからっ、たっぷり見てもらおう?」

まだ、空には燦燦と陽光が照りつけている。宴は始まったばかりなのだから。

「う……ン……ッッ」

詩織は、伴侶と過ごすこれからだけを考えて、まだユウゴの言葉尻が掻き消えぬうちに従順の意思を被せた。

直後に喜悦に咽んだ肉の棒が竿に残っていた種汁を絞り出す。残滓とは思えぬ強力なとろみを有するそれが、子宮の口を潜って内粘膜へと飛び散り、ねっとり、こってりとへばりつく。粘着質な汁の心地が、ユウゴの愛撫のしつこさにそっくりで──より愛しさを募らせた子袋が口を締め、亀頭と雁を甘噛みした。

互いに愛し、求め合う様を、仲間達が羨望と温かさ半々の眼で見つめてくる。

(──ずっと、こうしていたい)

愛しい男と、仲間達に囲まれて、もうじき子供も加わる。至福に憑かれた詩織の内には希望のみが敷き詰められていた。

食事や、汗を洗い落とすための休憩を挟みつつ続けられた宴も、夕刻には終幕を迎える。同志達が一人また一人と帰り支度を始める中、ユウゴと詩織も七度目の種付けを終え、心地のよい疲労に包まれる肌を互いに摺りつけ合う。

「安定期に入ったら、ボテ腹セックスもみんなに見てもらおうよ。ねっ、約束しよぉ」

授精の自信に満ちた発言をユウゴが放てば、受胎の確信を噛み含めた詩織もまた、至福の笑顔で頷き応じた。

「ぁン……っ。そ、そんなの……想像しただけで、また……あぁッ、イキそうになっちゃう……ンンッ」

ゆるゆると腰を振り立てれば、半萎え状態のユウゴのペニスがなけなしの余力を振り絞り、脈動する。彼の雁首に掻き混ぜられて泡立った、大量の精液がチャポチャポと膣内で波打つ。そしてまた受胎の喜びに浸った詩織の側からキスをせがんだ。

(私達の、赤ちゃん。大好きな人と愛し合った証拠。新しい……家族)

すでに自身の腹部に新たな命が宿っている。父と母、双方の手で撫でられた我が子が弾み返事したような気さえして──。

「早く、生まれておいで……っふ、あ……ぁは……ァ……」

夕方の和かな風にあやされて、今なお野外の開放感と恍惚に酔い痴れる。

「……ボクの部屋に置いてきた指輪は、もういらないよね?」

「ふぁ……? あっ……」

今の今まで忘れ去っていた、偽りの自分。竹谷詩織としての生活にピリオドを打てば、ユウゴとの日々を心置きなく送れるようになる。すでに定めていた覚悟ゆえに、怯えも惑いもなく、するりと言葉となって滑り出る。

「うん……もう、いらない。ユウゴ君がくれたものがあるから、あんな物、もう……いらないわ」

愛しい男からの贈り物である黒のチョーカーと、子が宿る腹を視線と指で撫で、決意のほどを発した唇を再度、終生を共にする男へと捧げた。

事が終わったらすぐに携帯電話で幸太郎と連絡を取ろう。煩わしい工程を早々に終えて、より長く、心の底からユウゴとの露出性活を楽しみたいと思う。

けれど今は──もう少しこのままで、母となる喜びと、久方ぶりに性欲が満たされすっきりとした心地、野外の心地よさ、最高の時間を愛しい男の腕の中で過ごしたい。

「ねぇ……もっと。たくさん、して。教えて欲しいの……」

飽く事なくおねだりをする詩織に、ユウゴは満足げな笑みで応え、同様に情熱尽く気配のない肉棒を再び膣奥に突き込んでいった。