不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

それを見届けたユウゴの眼差しがにんまり、より細まって、女性器を彩るように震えそよぐ陰毛を直視した。

(どこ、見てるの。それを、どうしたいの)

不安を凌駕する期待が、詩織に足の震えを忘れさせた。踏ん張りが利かぬ両脚をまた半歩分、地に摺りながら前に出す。そうしてより近接した股座の、割れ目の上部、肉付き良く盛った恥丘を、丸みに沿うようにユウゴの舌が掃き愛でる。

「しょっぱい。でもヌクヌクふにふにで、頬ずりしたいくらい愛しいよぉ」

染み出た汗の味を伝え、恋慕の程を伝えるユウゴ。その舌先が、女性器上部にのみ密生する淡い茂りへ、のそのそと這い上る。

「あ……ふ、うぅっ……。駄目。そんな変態じみた真似……んっ、あは、あぁぁ」

秘すべき部位に生える毛にも、男の唾と熱と息と視線。幾重ものマーキングが施されてしまう。妄想逞しく予測した詩織の背が震えながら海老反り、その分腰が前に出る。またも詩織の方から接触をねだる形となった。

ユウゴの熱視線に炙られ、鼻息にそよいだ黒い茂りが、覆い被さるユウゴの口蓋に、一呑み。詩織の瞳も見つめる中、啜り呑まれた陰毛束が、さっそくもごもご、ユウゴの唾たっぷりの口内で咀嚼される。

「ひぁっ、はひ、いぃ……こんなっ、のっ、おぉ、変……ッッ、ふぁッあ……!」

唾を絡められ重くなった陰毛群が、続いて歯先に甘噛みされた。神経が通っているわけでもないのに、甘痒い衝動が突き抜ける。

(今もまだたくさんの人がすぐ向こうの通りを歩いてる。はしたない声出したら気づかれちゃう。わかってる、のに……!)

溜まりに溜まった悦びを、喘ぎという形で吐き出したくて堪らない。

そんな詩織の渇望をつぶさに見て取ったユウゴがまた目を細め嗤った。直後に彼の口唇が、唾まみれとなった陰毛群を解放し、間髪容れずに間近の大陰唇へと舐りつく。

「んば……っ、へひひ……っ、れぇ……ろぉぉぉっ!」

「んひ……ッ! あ……あぁ、はっ、あ……!」

ヌラヌラと唾を摺り付け蠢く舌に、詩織の視線が追いすがる。唾液と共に下腹部に染む、疼き。渇望をより煽るそれを余さず受け容れて、捲れたスカート生地ごと詩織の腹と腰がくねり舞う。

「ふっ……ぢゅッッ!」

詩織が手ずからつまみ拡げる肉ビラを真っ先に舐り回し始めた舌の動きは、相変わらず執拗かつ丁寧だった。

まずついばむような接吻を連ねておいて、焦れ蠢いた膣口から蜜が溢れ出すのを視認。汁気を即座に掬い取り、再度大陰唇へと舐りつく。己の唾と蜜汁を溶き混ぜて、粘りを強めた液ごとリズミカルに媚肉を啜り揺さぶる。

「ンッッ! んく、ひィ……! んはっ……うぅ、音っ、立てちゃっ、やあぁっ」

蜜も尿の残滓も一緒くたに、舌先で穿り取ったそばから、喉を鳴らして飲んでゆくユウゴ。その彼の唇が不意に媚肉から離れた瞬間。

「やっ……」

哀切たっぷりの声が、若妻の口唇からこぼれた。

「んはぁぁ……詩織のしょっぱいおしっこ、飲んじゃったよぉ。潔癖な旦那さんは知らない味だよね? ボクだけが知ってる、詩織のおしっこ味……うひ、ひひひっ」

悪辣な占有欲を見せつけて、狂喜したユウゴの舌が再度、待ちぼうけを食らわされ蠢いていた蜜壺へと啜りつく。

「んぅっ! ひ、あ、あ、んはぁぁ……!」

そのジュルジュルと轟く衝撃にも揺さぶられながら、妄想に酔った若妻が嘶く。

(幸太郎さんも知らない、幹本君だけが知ってる私の秘密……おしっこの味を知られてる女なんて、軽蔑されて当然だわ)

不貞の現実を強く意識させるユウゴの言葉を膨らませ、被虐に自ら浸った女の蕩け眼が、自然とアスファルトの地べたへ。まだ居残る尿溜まりへと行き着いた。

直後に蜜壺内に溢れ出た真新しい愛液を、張りつくユウゴの口唇がすかさず啜り、嚥下する。そうしてまたほくそ笑み、今まさに皮剥けて飛び出ようとしていたクリトリスに鼻先を摺りつけてきた。

「っひ!?、ンッ、んふぅっうううう……!」

ついばまれた状態で引っ張られた媚肉にも、悦なる痺れが突き抜ける。

甘く蕩けきった嬌声を、堪えられるはずもなかった。喉振り絞り放たれた甲高い大音声に、通り向こうの誰かが目を向けるのではないか──。恐怖と期待を交互に差し込ませた詩織の瞳に、喜びとも嘆きともつかぬ涙が浮く。

路地を覗いたり、足を踏み入れる者は結局現れずじまい。安堵したらしたで、今度は切々とした渇望が詩織の性感帯を揺すり立ててやまない。

窮屈な衣服の内に押し込められている左右乳首が痛いほど張り詰めて、ブラジャーの裏地に擦れては、もどかしさに呻いてもいた。自ずと摺れ合うムチムチの両内腿に、丸出しの股間から垂れ落ちた汁気が絡み、ヌチヌチと猥褻な音を響かせてもいる。

覚えてしまった禁忌の味。露出の悦びを、今更拒絶できない。

(怖い……のに。それが、堪らなく気持ちよく思えて……あぁ、私、私ぃぃ……)

このまま、際限なく堕ちてしまうのだろうか──。悦に興じる一方で、恐れ怯える想いも、にわかに勢いづきつつあった。

それもすぐ、密着するユウゴの知る所となる。

察した彼の肉々しい両腕が、詩織の腰に巻きついてくる。丸出しとなった尻をやんわりと揉み捏ねながら抱き締める、彼の温みと逞しさ。