不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

久方ぶりの結合に昂りきっている今は、執拗なネチネチピストンよりも、ガンガンと力強い腰遣い。その上でがっつりと、とことん攻め落とされたい。

「ボクがしっかり支えてるから。思い切り腰振って大丈夫だからね」

「う、ん……ありがとう」

安心しきった女の側から、おずおずと尻を押しつけたのを皮切りに、双方の欲のタガが外れた。ほどなく互いに腰を強く打ちつけ、粘膜を擦り合う享楽に溺れてゆく。  重力で垂れ下がり、より大きく映る双乳が、抽挿のリズムに乗って前後に弾む。

「んっ、んん! はァあァッ、はしたない音っ、出ちゃってる、のっ、おッ、おォ、んッくぅぅぅ!」

隙間を失くそうと食い締め続ける膣洞を、勢いづいた肉棒が掘り進む。濡れほぐれた襞肉が吸着しようとすがるのを、掻き分け抉って、より奥へと突き上がる。

腹の内に男性器の形状を刻み込まれゆく悦びに咽んだ詩織と、亀頭と裏筋をたっぷりの汁を絡め舐り回されたユウゴ。互いに喜悦を抱いた男女の視線が共に、柵の向こうに夢想世界を視る。

不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

実際に視界に映るのは、今いる足場よりも低いビル群と、赤らみかけの空。だが、夢想に浸った男女の脳裏には、眼下に米粒のようになって映る同級生達の姿が鮮烈に映写されていた。

「うひ、ひひひっ。連中に、今すぐ教えてやりたいなっ。本当の詩織はこんなにもスケベで、学校一魅力的で、それをボクだけが独り占めできるんだ、ってね……!」

吠えたユウゴの声に、上下左右の隣室に泊まる客が驚いて顔を出すかもしれない。頭の片隅でそんな期待も抱きつつ。

──学校で一番のスケベ娘を独り占めできて嬉しい。

強く求められ、愛されている実感に何より酩酊させられる。

「んふぁっ、ぁあ……んぅぅ! はっ、あああっ、ン! わ、たし、だってぇぇっ」

──こんなにも逞しいおちんちんを占有している。まだ高校生なのに、生涯最高のセックスパートナーと出会い、毎日結ばれている。その優悦と幸せを吐き出したいと思うのに、喘ぐので手一杯の口唇がうまく働かない。

「ふ、ぁ……!」

もどかしさに噎せた詩織の心情を察したかのように、身を寄りかからせてきたユウゴの手指が恋人の黒髪を梳き撫で、うなじに浮いた汗を掬った。

「詩織。髪を触られるのも好きでしょ?」

「う、ン……っ、好き。優しくさわさわされるの、好きィ……」

髪を梳き撫でられると、心身共に面映ゆい感覚が広がる。耳のたぶを指腹で摺りあやされると、肉欲に飢えて過敏になっている背が悶えずにいられない。煩悶して首を振れば、黒髪が舞い、そこにもユウゴのキスの雨が降る。

どれもユウゴだけが知り、施してくれる。この上なく至福に浸れる愛情表現だ。

「ほら、今、誰か下から見上げてたよ、気づかれたかも」

立ちバックの姿勢に戻って腰を振るいつつ、ユウゴが囁く。

「ひっ、んくうっんんんっ! は、ひっ、ひぁ、あぁぁ!」

学生らしい初心さ溢れる思慕感情が、即座に背徳的な悦へと成育してしまい──。背後から見ると桃の如く熟れた、制服とはあまりに不釣り合いな尻を振り立てては、潤みの増した膣肉で男根を擦り磨くのに夢中となった。

その間も眼鏡の奥で見開きっ放しの眼下には、夢想の世界の生徒達の姿が投影され続ける。ユウゴは一人が見上げたと言ったが、今見た夢想では複数の生徒が屋上を見上げ、中には確認しようと屋上へと続く階段を駆け上る者の姿もあった。

「やだぁ、駄目。登ってきちゃ、やだあぁぁっ」

背に奔り抜けた、恐怖と恍惚半々の衝動が、乳と尻の揺れとなって恋人の目と肉棒を悦ばす。

「大丈夫だよ。ほら。ボクが付いてる。今もこうしてギュッと抱き締めてあげてるでしょ? ずっと、護ってあげるから……だから好きなだけ気持ちよくなろうっ」

──これまでユウゴと共に行った秘密の逢瀬の中で、危機を覚えはしても、実際に酷い目にあった事は一度もない。

(私がスリルを覚えられる範疇で、煽っても、最後にはちゃんと現実へ連れ帰ってくれた。この人と一緒なら……)

事実に基づく信頼を寄せて安堵した後、詩織は夢想の恍惚を貪り続ける選択をした。

「屋上に続く階段をカン、カンッて登ってくる靴音が聞こえるの……」

「ゾクゾクするね。見つかったら、セックス見せつけるのが大好きな露出狂の変態女だって噂になっちゃうよ……」

互いに囁き紡いだ言葉に煽られて、打ちつけ合う男女の腰がパンパンと小気味よいリズムを刻む。打ち据えられた尻肉がたわみ、谷間で息づく窄まりが収縮しては熱を放散する。

「一緒に、噂されちゃっても、私の事裏切らない、よねっ……」

「もちろんっ。むしろ自慢してあげるよ。見られながらする詩織とのセックスは最高に気持ちいいんだってね!」

繰り返し確認せずにいられないのは、自信のなさの表れ。自己顕示欲の強さだって、同様だ。

「サッカー部のイケメンがよこせって言ってきたって、渡す気はないからねっ。詩織はボクだけのものだっ……!」

「うんっ、う、ンンンッ! わ、たしもっ、私もユウゴ君がイイッ、ユウゴ君とする露出セックスが最高なのォッ! んあッ、ひぐっううううう!」

──今のお互いの告白、全部同級生達に聞かれちゃったよ、とユウゴが囁く。噂は学校中に広まり、登校中も、授業中にも「露出女」と囃し立てられる。毎日、常にユウゴとセットで語られるのだ。