不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

「詩織さん、おっぱい大きいのねぇ。羨ましいわ」

「下の毛は薄いんだね、手の平からはみ出してないもん」

まだ手で覆い隠されたままの詩織の胸部と股間を至近距離で眺めるや、明け透けな批評を、後ろに控える仲間達にも明瞭に伝わる声量でしてみせた。

「やっ……~~~っ!?」

ゾクゾクと、熾烈な羞恥が詩織の裸身に駆け巡る。また、その羞恥が火種となって背徳の恍惚を呼び寄せた結果、局部を隠す手に力を込め、身を屈めて視線に曝される面積を減らす努力をする一方で、腰を悶えくねらせて衆目の興奮を煽るという、ちぐはぐな姿を披露する羽目となる。

右腕一本で覆うには実り過ぎている双乳が、図らずも寄せ上げられた格好となって、谷間を強調する事にもなっていた。薄い陰毛がはみだす事もなく左手の平に覆われた股間は、直視こそされなかったが──いずれにも、女性陣の指摘を受けて、彼女達の仲間と思しき面々の視線が注ぐ。

昼日中の燦燦とした日差しを浴びてより白さを際立たせた詩織の裸身は、羞恥がもたらす薄桜色の差し込みも鮮明に映し出し、衆目を釘づけにした。

「ひっ! あぁ……やっ、ぁ……んッッ」

扇を逆さにしたような形で居並ぶ面々の眼差しは、ユウゴほどでないにしろ執拗で抜かりなく、胸を覆う右手の指の間や、股間を頑なに覆い隠す左手の甲、視姦の妨げとなる部位をこぞって舐り回し、内なる局部の煩悶を煽り立ててやまない。

(こ、この人達の目っ、これって……ユウゴ君と同じ……?)

ネチネチぶりは若干劣るものの同質の気配を有する複数視線を、ユウゴに舐り馴らされた素肌で感知して、その彼を再度仰ぎ見た。

眼鏡の他に、やはり靴と靴下のみ身につけたユウゴが首肯する。

「みんな、露出趣味の同志なんだよ。詩織の事を話したらぜひ会いたいって、喜んで集まってくれたんだ」

手を繋いで緊張を解いてくれた彼が、続けて、まだニマニマと締まりのない口を開き、控えている面々の紹介をし始める。

「同、志。……みんな、同じ趣味の……?」

詩織の半信半疑の問いかけを、眼前の──先ほどまで傍にいた女性二人も含めて総勢十二名居並んだ面々が、言葉や頷き、仕草、各々様々な方法で肯定した。

「周囲の別荘は全部、同志達の所有になってるから、部外者が入ってくる心配もないんだ。で、共有のこの広場で行う事は、秘密厳守。これはボクらの不文律になってる」

背後に回るや、努めて落ち着いた口調で語ってくれたユウゴ。その彼の手指で黒髪を梳かされて、また多少の緊張が詩織の身から抜け落ちる。二、三度繰り返されるうちに緊張はほぼほぼ霧散していった。

「いーなぁ、あれ。ねっ、あんな風に……私にもやってよぉ」

あの人懐こい細目女性が、隣の男性──おそらくパートナーなのだろう──にしなだれかかり、たわわな乳房を押しつけながら、甘えている。

他にも羨望や、微笑ましさや初々しさを褒める声が挙がり、全て聞き届けた詩織とユウゴの心に優悦を孕ませていった。

「あ……っ!? や、ぁああっ、ユウゴ君っ……」

それは、すぐに目に見える形となって表れ、詩織の臀部を急襲した。

「へへ、詩織があんまり可愛いから、我慢できなくなっちゃったよぉ」

昨夜の連発など屁でもないと言わんばかりに屹立したユウゴの勃起ペニスが、密接する柔尻肉を突っつき回し、詩織の口から否応なしの嬌声を迸らせる。ほどなく双臀の谷間へと悪辣な雁を滑り込ませたユウゴが、同志達を見渡してまた、にんまり。

「は、恥ずかしいよユウゴくっ、ぅんふっ、あっ、ン……ッ」

怯えを口にしつつも、ユウゴと触れ合った瞬間から信頼に裏打ちされた期待が爆発的に膨らみゆくのを詩織は知覚していた。自然と尻を振り、やはり期待で張り詰めるペニスとの摩擦を貪った。

「ほぉら。胸とお股から手を退けて。ちゃあんと、見てもらおうねぇ」

あっさり攻勢に転じたユウゴも当然、被虐に浸るための口先だけの拒絶だという事には気づいている。ゆえに幾重にも連なる手管を駆使して、勝手知ったる伴侶の心身を抜かりなく追い立てていった。

「ぜ、全部? 見せちゃう……の? あ……っ! はぅ……あっ、あァッ、ン……」

両の手で乳房を持ち上げられ、耳打ちされてしまってはもう、露出の味を占めて久しい心身に抗うすべはない。とどめとばかりにうなじに口づけられ、舐り回されて、喜悦に悶えながらの実行を余儀なくされる。

(そう、よ。見せるために……見せたくて堪らないから、来たんだから。……どんな、反応されるのか……か、考えるだけでもっ……疼いちゃう)

恍惚に震える手をおずおずと下ろす様が、傍目には焦らしと映ったのだろう。興奮を強める十二──実情を察するユウゴも足して十三の顔に注目される中で、とうとう手を局部から離すと、即、別荘前広場に集った集団のそこかしこから歓声が挙がった。

「日の明るい時刻の全裸露出自体、初めてという話だもの、興奮して当然よね」

溜めに溜めた期待を恍惚に転嫁してぷっくりと隆起した左右乳首。その勃起理由まで正しく捉えて、三十路と思しき全裸婦人が上品に微笑む。

「ふふ、視線を感じて、まぁ、クネクネとよく踊る。幹本君と、その逸物がよほど愛しいのだなぁ」

五十路ほどに見える全裸男性は口髭を弄りながら、詩織の腰つきに注目。年嵩らしい落ち着いた口振りで、詩織の被虐悦とユウゴの自尊心をくすぐった。