不貞妻 詩織 視線を感じて、私……

見渡せる範囲で二組だけとなり、互いに向き合う男女四名。年若い組が緊張と興奮に強張るのを良い事に、ユウゴと、手を引かれる詩織は距離を見る間に詰めてゆく。

やはりユウゴは、この、自分達からすると一回り以上歳の離れた少年少女を露出悦楽のダシとする気だ。

「あんな、若い子たちにもイヤらしい目で見られちゃう、のね……」

「ああ。興奮、するでしょぉ?」

わずかばかりの申し訳なさが募ったが、それもじき背徳への期待に塗り込められる。ユウゴの問いに頷き、目を輝かせて従う詩織の膝から下は、期待を示す震えを堪えられず、ユウゴに全体重を預け、抱かれた状態で、蕩け眼をベンチの男女に差し向けた。

「さ、ちゃんっ」

少年の方が先に弾かれたように立ち上がり、迫る詩織達との距離が詰まるにつれ、狼狽を強めていった。まだ腰を下ろしたままの少女の手を引いて、急いで場を離れる意思を見せている。

「ゆ、ゆう君。待って……」

少女の側は、よほど気が動転しているのか。強張りと震えに同時に見舞われる身体を立ち上がらせる事ができずにいるようだ。

その間に、手を伸ばせば触れられる距離にまで詩織とユウゴが迫り来る。歩みの速度を緩める事なく前に出続けた結果、間もなくしてベンチを行き過ぎ、少女がほっと安堵し息を吐くのを、他の三者が同時に聞き留めた。

少年は、少女と手を繋いだまま、すれ違い様に垣間見た詩織の胸の谷間と、ノーパン状態で捏ね回される尻、二つ交互に反芻し、鼻息の荒さを気に留める余裕もなく、行き過ぎた男女を振り返り見る。

(あ……凄い。熱い……十代の子って)

予測していた通りの少年の挙動に、若さと拙さを見いだした詩織の口元に再度、優悦に由来する微笑が浮かぶ。たっぷりとまた熱視を浴びた乳房を、意図的に寄せ上げて見せつける。

赤い顔をしながら凝視し続ける少年と、その彼に手を繋がれたまま羞恥を湛えた顔を俯かせる少女。初々しい二人を、自分達の痴態が掻き乱している。そう思うと、脚の震えも、背に奔る背徳の悦びも俄然勢いづく。

「……これから、どうしたい?」

行き過ぎたベンチの裏にうっそうと生い茂る木々。その影がもたらす薄闇へ踏み入り進む道すがら。今宵初めてユウゴから決定権を委ねられた。

「詩織がしたいと思う事。全部、ボクが叶えてあげる」

その意味をゆっくり咀嚼して受け容れるにつれ、ひと際の期待と昂揚が女芯を揺さぶる。またノーパン状態の股根から蜜が染み落ち、足元の草を濡らす。

「……して、ほしい」

躊躇は、生じなかった。

「何をかなぁ? はっきり、言ってくれなきゃわからないなっ」

「……セックス、して。ユウゴ君のおちんちん……欲しいの……」

意外にも少女の方が少年の手を引く形で、密集する木々の陰に隠れ潜みつつ追ってくる。その双方に明瞭に届く発声で、偽らざる本心をパートナーへ、たっぷりと媚も含め、伝達する。

「ひ、ひひッ、いいよぉ。ここで、前からの約束通り、詩織の…貰っちゃうねぇ」

人妻の身にぶつけるには不相応に思える発言を、即時意図を汲んだ詩織の淫靡に惚けた美貌が出迎えた。折良く、事を成すのにおあつらえ向きなやや開けた場所に到着する。

沙耶と呼ばれたショートヘアの小柄少女と、裕と呼ばれた少年。二人が揃って大木の陰に身を落ち着けたのを目端に留め、露出性癖に耽溺する男女はさらなる痴態を披露すべく、少年少女に最も見せつけられる位置取りに腐心した。

日取りを今夜と決めた、六月最後の逢瀬の際。当日が周期的に妊娠しやすい頃合、いわゆる危険日に相当する事は、前もって詩織の口からユウゴに伝達されていた。

「それじゃあ、約束通りに、お口で……ね?」

足元に屈んだ詩織の手でズボンを下ろされ、凶悪に反り勃った男性器を剥き出されたばかりのユウゴが、嬉々と告げる。

淫水焼けして黒ずんだ大人ペニスを、右側面、数メートル先の木陰に潜む男女──特に一歩前に位置取る少女の方が熱心に凝視していた。

(興味ある年頃だもの、しょうがない、よね。……こんな立派なおちんちん。見ないでおこうと思っても目が向いちゃう。見慣れたはずの、私だって……)

何度目であっても見惚れてしまう。

同じ女として理解を示した詩織は、ユウゴのそれを独占できる優悦に浸り、肉棒を目にした瞬間から疼きの止まらない腰を揺り振った。ユウゴと睦むようになって満たされる機会が増えたためか、以前より張りの増した淫尻に注ぐ他三名の視線の熱を甘露と受け容れ、なお一層の恍惚で背を蕩かす。

(私だけのおちんちん、そのおちんちんを受け容れるためのお尻。あぁ、ほら、どっちもはしたないでしょう? もっと、たっぷり。羨ましがって、いいのよ)

全て余さず見せつけたい。増長する想いに乗せられるまま、脱がす前に彼のズボンポケットから取り出しておいた袋を、木陰の二人に見えるようかざす。

先にそれの正体に気づいたのは、少年。

少年に尋ねて知った少女の顔の赤みが増し、なのに視線は勃起ペニスと、破かれた袋から取り出されたコンドーム、そして隣の少年の表情。三点を絶えずぐるぐると廻り通し。

(興味、あるのよね。よぅく見てて。もっとはしたない事、教えてあげる)

注目を集めている喜びと、保護者めいた感情と、二つ同時に抱いた詩織が、少年少女の潜む方向にわずかに身を向けて、開いた口腔内を見せつける。期待の湿りに覆われてヌラヌラ煌めく薄桃色の粘膜に、若々しい注視が刺さるのを感じながら。