桜子の優美な手でしごき上げられた時の感触。
飛鳥の締まりよい女肉穴で貪り吸われた時の快楽……。
それらが脳裏に生々しくよみがえり、スラックスの中で男性器が脈打ってしまう。
昨日の放課後にしてしまったことも罪深いが、それを思い出して勃起する自分の浅ましさは、激しい羞恥と罪悪感とになって薫を責めさいなんだ。
(授業に集中しないと……集中しないと……)
自らにそう言いきかせても、スラックスの中では男の象徴がびくびくんと跳ねてしまう。それどころか興奮してそそり立ち、股間の布地を内側から突き上げる始末だ。
「薫先生、どうかしたんですか?」
授業の真っ最中に声を上げたのは飛鳥。
「何だか、身体の調子が悪そうですけど? 腰をもぞもぞさせて」
ポニーテールの女生徒は、野性味のある美貌にからかうような笑みを浮かべている。
その表情から察するに、薫の挙動不審の原因を察しているに違いない。
「え、ええっと……その、すみません。昨日、腰を痛めてしまったもので……」
眼鏡の蔓に手をやりながら、しどろもどろの苦しい言い訳をした。
「腰を痛めるような激しい運動でもしたんですか?」
飛鳥の意味深な問いかけに、何人かの女生徒が小さな笑いをもらす。
答えあぐねていた新任教師に、学級委員の桜子が救いの手を差し伸べた。
「飛鳥さん。授業に関係ない質問はお控えなさい」
毅然とした眼差しで級友を見つめる。
そして薫の方へと向き直り、ほんのりと頬を桜色にしながら睨みつけた。
「薫先生も薫先生です。授業を先に進めてください」
「そ、そうでしたね。それでは次のところへ移ります……」
張りつめている股間を教卓の陰に隠しながら、何とか授業をする薫であった。
昼休みになる頃には、股間の強ばりもどうにか落ち着きを取り戻していた。
(ふう……。やっと鎮まってくれたよ……)
股間をふくらませながら廊下を歩くなど、考えただけでも恥ずかしさで全身が熱くなる。ましてやここは女子校。どんなそしりを受けるかわからない。
ひそかに安堵しつつ廊下を歩いていた時、向こうから見覚えのある女生徒がやってきた。清楚可憐で大人しそうな顔立ち。薄いレンズの眼鏡。
伊勢由香里である。
彼女は、クラス全員分らしき量のプリントを両手いっぱいに抱えていた。
「あ、薫先生……」
由香里もこちらに気づいたようだ。
かすかに顔を赤らめながら会釈をしたその途端……。
ばさばさばさっ。
両手に抱えていたプリントが雪崩を起こしてすべり落ちた。
「はうぁっ……」
慌てて押さえようとして、残っていたプリントまでもが廊下へ散らばってしまう。
「おおっと。大丈夫ですか?」
薫は廊下にしゃがみ込み、派手に散らばった紙を急いで拾い集めた。
「す、すみません……」
そのかたわらに由香里もしゃがみ込んで、慌てふためきながらそれを手伝う。
「あ、ありがとうございます。お忙しいのに手伝っていただいて……」
眼鏡の美少女は、知的な顔を紅潮させつつ一礼する。
今度こそプリントをぶちまけないように、しっかりと胸元に抱え込みながら。
「どういたしまして。クラスのお仕事、ご苦労様です」
薫からねぎらいの言葉をかけられたのが嬉しかったのか、由香里の知的美貌はさらに赤みを増した。彼女は恥ずかしそうにうつむく。
「あ、あの……薫先生。腰をお悪くしたそうですが、お加減はいかがですか?」
そういえば、授業中にそんな言い訳をしたこともあった。
「先生が腰痛を患っているのに、私ったら先生に腰を曲げさせてしまって……」
「だ、大丈夫ですよ、それは……」
腰を痛めているというよりは股間に問題を抱えているのだ。それ以上嘘を重ねないためにも由香里との会話を早々に切り上げて、そそくさとその場を後にした。
「それじゃあ、昨日の授業の続きをしましょうか」
放課後に国語教官室へやってきた飛鳥の第一声がこれだ。
ポニーテールの猫科少女は、野性味のある美貌に淫らな笑みをたたえている。
「き、昨日の授業って、あんなことはもう二度と……」
たじたじとしている薫。
「あんなにすぐおもらしをしちゃうなんて、教師としても男としても情けないと思わないんですか? 女子校生のこと、もっと勉強してもらいますよ」
昨日の放課後の出来事がまたしてもありありと思い出されて、スラックスの中で男性器が跳ね暴れ始める。股間部分は見る見るうちにふくらみ、布地が張りつめた。
「あ、あれは……飛鳥くんがあんなに激しく腰をつかうから……」
いつの間にか教え子を名前で呼んでいることに、薫自身は気づいていない。
「たったの五分くらいしか保ちませんでしたよね」
飛鳥は、からかうように微笑しつつ新任教師に身をすり寄せた。
「あんなに短い時間では桜子の勉強になりませんよ」
旧家のお嬢さま・桜子も、飛鳥に連れられてきたのか国語教官室に来ている。
高慢で冷ややかそうでいながら高貴さをも合わせ持つ美貌は、ほんのりと桜色に染まっていた。不機嫌そうな顔つきで薫を睨みつけている。
「わ、私は別に、あのような破廉恥なものを見たいわけではないのですが……その、良家の娘としてのたしなみで……」
紅潮した顔で薫を睨みつけたかと思えば、恥ずかしそうにうつむいたりしていた。
怜悧で毅然とした彼女らしくなく、どこか落ち着かない様子だ。