ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌

長いつき合いの夫がまともに舐めた事のない秘唇を、赤の他人である藪沼が堪能している。状況とテクニックを駆使することで、奴は自ら勝ち取ったのだ。

敗北感に打ちのめされながらも、観ることをやめられない。やめようという考えが、思い浮かびすらしなくなっていた。

『やっ、やだ。あっ、んんっ、もうっ、もうやめてぇぇっ』

喘ぐ咲美の腰振りが、なりふり構わぬ雑な動きに変化していく。広げられっ放しの双臀に、奴の汗と、火照った咲美の汗とが染み、混じる。谷間で忙しなく、窄まりの物欲しげな収縮が続いていた。

『感じやすいねぇ。でもまだだ。まだ我慢だよっ』

咲美の切羽詰まった様子を見て取った藪沼が一転。勢いよく貪っていた響きを控え、リズミカルな、ゆっくりとした吸引に転換する。

『やっ、そこは嫌っ、お願いです、いや、ぁぁっ!? んっ、んんーっ』

ビクリと身を震わせて咲美の尻穴が、ぎゅっとひと際窄まった。揺れていた腰が、やはりビクリと跳ねたきり、何かに集中するように揺れを止める。代わりに表れた小刻みな身の震えと、甘露な声の響きとが同調しだす。

きっと、クリトリスを舐められているのだ。

(藪沼の唾でとっくにヌルヌルの股唇をヒクつかせて? すでにビンビンにしこってるクリを、食まれ、噛まれ、愛でられるがままに、喘いでる……そう、なのか!?)

視認できぬがゆえに、妄想は際限なく膨れ続ける。咲美の尻の向こうに垣間見える藪沼の頭部の動きと、音の響き具合から、奴の行っている愛撫の全容をも想像する。

まるで蛇のそれがごとき器用さで、円を描き、蜜壺のふちをなぞったり。突っついたり。かと思えば不意に、ずぞぞ、と強く吸い上げる音を響かせる。

先の手指同様、緩急を自在に使いわける手管に、クンニに免疫のない咲美が長く持ちこたえられようはずもなく。

『あ、あぁっんっ! ひぁっああああ』

ついに鼻から抜けた、明確な嬌声が噴き漏れた。

『ん? ここ、だね? いいよ、一杯してあげるっ』

その発言と、続く吸引音、間を置かず再度放たれる咲美の嬌声。一連の流れから、咲美の弱点が重点的に攻め抜かれているのを知る。

愛妻は、クリトリスを捏ねられると、今のような声を決まって発するのだ。

(僕がろくに舐めたことのないクリを、指で愛でるくらいしかできなかったそれを)

強弱交互に響く吸引音を聞かされるたびに、猛烈に嫉妬する。

それは藪沼が、咲美の小粒なクリトリスが引き伸ばされるほどの強い吸引と、やんわりとした接吻を交代で与えている証拠でもあった。

『はっ、あぁぁ、んっ、ふぁ、あはぁぁっ』

咲美の手が藪沼の頭を押さえている。引き剥がそうとするでも、腰を引いて逃れようとするでもなく、ただ押さえていた。

腰を反らせて、より強い吸着をせがんでいるようにすら見える。

──耐え忍ぼうと必死なんだ。それ以外の意味なんてない!

──本能で、刺激を求めているんだよ。

(僕が、抱いてやらずにいたから……そう、なのか咲美……)

一縷の希望にすがった夫の観る先で、藪沼の頭が持ち上がりだす。その際咲美が押さえつける手に力をこめたのは。

──これ以上変なことをされたくないからに決まってる。

──いや、早くイかせてほしくてだよ。

夫が惑い、呻き、嘆くうちに、画面は再び引きの構図となり。抵抗を制した藪沼の頭が再度咲美の右乳房にたどり着くや食らいつく。その全容が余さず捉えられた。

『ふぁっ、や、ぁぁんんっ』

呻きとも喘ぎとも受け取れる声音の合間に、ピチャピチャという水音が、二重に連なって響く。一か所は、当然藪沼が貪る右乳房からだ。もう一つは──。

(……ああ)

目で追い、確かめて、唾を飲む。

もう一つの音の出所は、くねる愛妻の尻の向こう側。蠢く藪沼の右手の先が、接着しているであろう部位。先ほどまで奴の舌に嬲られてもいた、秘唇の奥から、攪拌音は響いている。

(藪沼の指が、咲美の中に……)

ペニスさながらに突き入り、内部に溜まった蜜を掻き混ぜ、掻き出し、泡立ったその蜜にまみれた状態でまた、我が物顔で押し入ってゆく。音の様子から想起される事態に、吐き気と昂奮が収まらない。

『やっ、だ、ぁひっ、ぃっや、だめ……だめぇぇぇっ』

甲高い声の響きに誘引されて画面に目を凝らすと、咲美の尻のくねりが再び大きなものに変わっている。先のものと違うのは、円を描いていること。膣内に受け入れた藪沼の手指の動きに応ずるように、咲美の声のリズムと尻の揺れがリンクしている。

咲美の背にそよぐ髪も揺れていた。イヤイヤと首を振っていたのかもしれない。

『いいんだ、いいんだよっ』

なだめすかすような藪沼の囁き。

『やだやっ、あああっ!』

感極まった愛妻の、ひと際甲高い嬌声が迸る。

『ほら、すぐだ。いっぱい出してごらんっ』

一転急かす口振りとなった藪沼の手指の出入りが激しくなる。忙しい抽挿音に乗って、揺らぐ咲美の尻の下、内股でもじつく腿の間に、粘液が幾度となく滴った。

『やっ、あっ、あひぃっ、ひやっ、あっああっあっあ……っ!』

『ほら、すごいよ、アサオカちゃん、いいよっ、可愛いよっ!』

輪唱のごとく、リズムに乗った二人の声が追いつ、追われつ。グチュグチュと響く粘着音も併せての三重奏が轟き渡る。