ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌

咲美の肉体は、藪沼のペニスを受け入れることにもはや躊躇しない、それどころか、求めてすらいる。

(奴のテクニックが、そうさせてるのか? それとも僕が至らないから……その分を藪沼が埋めてくれるから。だから……そんなにも)

夫の前では見せたことのない表情、媚態を余さず曝け出して、他人棒にしがみつくことを厭わぬというのか。あまりに屈辱的で、陰惨──なのに痛切な欲望を刺激してやまない愛妻のさまに、心も体も魅入られてゆくのがわかる。

咲美の腰使い、締めつけを真似て肉竿を扱くと、奇妙な一体感を得られもした。ゆえに、彼女の痴態を一秒たりとも逃さぬよう、瞬きも忘れて凝視する。

「明日から……もっと咲美を満足させられるよう、頑張るから……だからっ」

咲美の恥部を見定め、より深く知るために、映像を見届けねばと思う。

歪な決意を示した矢先、再び藪沼たちのいる部屋のドアを叩く音が聞こえた。

藪沼は狼狽えもしなければ、腰の動きを止めもしない。

『もっ、もう許して……っ。ドア叩いてるの、っ、たぶん、しゅ、主人ですからっ』

『じゃあ言ってよ、じゃないと止めないよっ』

『そっ、んんァ……ッ、やっ、やはぁっあぁっ、んっ、あんっあっ、ンンンッ!』

ゴツゴツと、音が聞こえてきそうなほどの強いピストンを浴びて、咲美の肢体が上下に躍った。はだけた浴衣からこぼれる胸から股下にかけてのラインを、玉の汗粒がいくつも伝う。弾む乳房からも汗が四方に飛び散り、敷布団上で乱れ広がった咲美の髪からはきっと甘い芳香が漏れ溢れている。

甘ったるくも淫猥な匂いの数々を思うさま肺に収めながら、咲美にのしかかる腰の速度がまた一段、跳ね上がった。ピストンのさなかに垣間見える肉幹は、べっとりと絡む蜜に磨かれて黒ずみを増し、いくつも浮いた青筋が喜悦のほどを知らしめる。

(この時も、なんにも知らずに、僕はドアの前で待ちぼうけを食らって……)

画面を観ることしかできぬ今と違い、ドア一枚隔てた場所に立っていながら、何もしてやれなかった。人目を気にして騒ぎもせず、ただ狼狽えるばかりだった己に腹が立つ。その怒りすら、肉竿の悦の糧に転化してしまう浅ましさに、失望しながらも、扱く手を緩められなかった。

『ほらっ、言ってくれるね?』

なお飽くことなく女芯を貪る男が、小刻みに突きこみながら言い募った。

『こっ、これで、はぅっ、お、終わりに、っ、ひくぅっ、して、してくださいっ、あんっ、やっ、約束……してっ……ひぁっ、あっ、あぁ、んっ、んくふぅぅぅっ』

悦の波を幾度も被ってきた女体に、再度の限界が迫っている。ヒクつきっ放しの膣唇が、より奥へと男根をいざなうべく、うねり盛り、泡立ち溢れた蜜汁をひり落とす。

そのさなかに受諾の意思を伝えた口唇も、絶えず唾液の糸をこぼしている。

『わかってる。さあ』

腰を止めて、相手に猶予を与えた藪沼が再度の要請をした。

『……はっ、あぁっ、あぁんっ』

息を整えるのに必死で、なのに腰の揺らぎは止められないでいるがために、咲美の呼吸は一向に静まる気配を見せず、なかなか要請された発言をなせない。

『アサオカちゃんっ』

『ふっ……』

焦れた藪沼が吠え、ようやく咲美の唇が言葉を成そうとし。

『あっんあっあっあっあふぅっふ、ふくっ、んああああっ』

間髪容れずに突き上がった逸物に、何度も強かに摺り上げられた膣襞が喜々と震えた。震えはそのまま嬌声となって、ぬかるんだ口唇より噴き漏れる。

『ふっ、副店長ぉ……っ!』

それでも咲美は。愛しき妻は、職場での男の呼び名を、口にした。合わせて口唇を飛び出した舌先から、唾液が何粒も飛散する。

『そうだっ! もっと甘い声でっ』

腰の回転をまた一段速めて、見るからに昂奮を増した男が吠える。

『はひ、ひぁっあああっ、副っ、店長ぉおっ……!』

求められるがままに幾度も幾度も、咲美は上司の肩書を叫んでみせた。

『いいかっ? アサオカちゃん、いいのかっ?』

一つの欲求を満たした男からの、新たな問いかけ。

『やっ、そん……ふぁッあああひぃぃぃっ』

またも口ごもった咲美に、ピストンの洗礼が与えられる。あえなく蜜を漏らした股間が早々に陥落し、愛しむように男根を締めつけた。

『いいんだろっ? アサオカちゃんっ!』

二度目に問うにあたって、藪沼が腰を引く。

『いっ………』

焦れた膣唇がパクついて、蜜を漏らし。その刺激を浴びた男根が、また、咲美が意を決したタイミングで膣内に舞い戻ってゆく。

『いいんだろっ!?』

『いっ、いっ……イイッ!』

肉棒が根元まで埋まり戻った瞬間に、女の口が事実を認めた。

『もっと、ほらっ、しがみついてっ、思いっきりっ! そうだっ』

抱き起こされ、対面座位へと移行する際も。

『んはッああああっ! 副店長っ、いぃぃっ!』

角度の変わった肉槍に深部を抉られて、咲美は偽らざる感想を吐き出した。心が快楽を完全に受け入れた。それを契機に、枷のなくなった女体は露骨に媚びを示し始める。さっそく藪沼の背と首に手を巻きつけて、より強い密着をせがみだす。

『そうっ! それでいいっ! 素直になるんだっ! 自分を解放しちゃえ! そうすりゃ、もっとずっと気持ちがいいんだっ! ほらっ、続けて! どこがいいっ!?』