ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌

そうしてまた、もっとも簡単な問いかけから。すでに返答済みのところから段階を踏んで、咲美の心を堕としにかかる。

『はひぃぃっ、いっ、いいっ! いいっ、のぉっ』

『どこがっ?』

『おっ、オマ○コッ!!』

強めのピストンを浴びせられて悶絶しながらも、早々に二問目がクリアされた。

『何が入ってるっ?』

『お、おちんちんっ!』

次は焦らされる番だと気づいた咲美が、機先を制して大声で叫ぶ。

『誰のっ?』

『ふ、副店長のっ!』

当たり前に紡がれた呼称に、藪沼の鼻息が荒ぶる。その醜面が、咲美の唇に触れんばかりに接近した。

『誰の何がいいっ!?』

間近で、見つめ合いながらの再度の問いに合わせて、小刻みなピストン。ギュッと抱きついた咲美自らの意思で、藪沼の胸板に押し潰れた両の乳首も摩擦に興じる。

『ふあっぁぁあああっ、ふっ、副店長のっ、おちんちん、いいっ!!』

『旦那のよりっ!? いいんだなっ!?』

抉り入るような突き上げを連発で食らった膣唇が、痙攣しながら蜜汁をこぼした。内部の攪拌されっぷりをまざまざ示す泡立ちぶりの蜜汁が、男女の肉同士がぶつかる部位に滴って弾け散り、その淫臭を嗅いだ男女がより一層の腰振りを披露する。

咲美の首が何度も縦に振れているのは、突き上げられているから──それだけではない。明らかに彼女自身の意思で、首肯している。

(咲美……っ)

これまでの彼女の嬌態を見て、わかっていたことだ。それでも、妻の明確な意思となって知らしめられたことが、夫の尊厳を抉った。胸に穴が開いたような虚脱感、もの悲しさ。それらがまたすぐに歪な昂揚に成り代わり、己が男根を扱く手に熱をこめさせる。

『おおおおおおおっアサオカちゃんっ、ありがとうっ! 可愛いよっ最高だぁ!』

可愛いと告げられた瞬間に、咲美の瞳の蕩けぶりが一層色濃くなった。

次いでビグリと、浴衣に覆われた背が引き攣る。きっと男の予兆を、密着する膣壺で嗅ぎ取ったのだ。

『ふぅっ、ふふふっ、さぁっ! 良くしてくれてるチンチンの持ち主の名前っ、呼んで! 何回も、っ、イクまで呼ぶんだよっ!』

『ひひぃっ、あっああひっ、副店長っ! んおっおぉ、っンンッ、副店長ッ! んほおぉぉっ! 副店長ぉっ! 副店長ぉぉっ! んあッッ、イッ、く、イきますっ、もうあた、しっ、副っ、店長ぉぉぉ~~~っ!!』

ぴったりと息の合った腰使いで、映像の中の男女が共に悦の高み目指して駆け上ってゆく。ぶつかり擦れる結合部から弾けて散った蜜と先走りの混合液が、二人の裸身のいたるところに付着して、すぐに体熱に溶かされ、消失する。

男の優悦丸出しの上ずり声と、女の獣じみた咆哮とが一緒くたになって、視聴する夫の心を穿つ。嫉妬に憑かれ、自慰に耽る肉竿が、憧憬をも孕んで喜々と脈打った。

(まだだ、まだっ……せめて藪沼よりも持たせて、からっ……)

抗う心持ちとは裏腹に、精管から尿道へ、さらにその出口を求めて、悦の弾丸が駆け上がる。荒ぶる装填のさなかにも呻かざるを得ない、苛烈で甘露な痺れがひた奔り。

「くぅぁ……っ! あっ……! あああぁぁぁっ!」

あえなく射出された種汁は、三発目とあって異様に薄く、量も極少。なのに前の二射以上に痛切な悦びが全身に波及した。種の尽きたのちも肉竿の脈動が収まらない。延々浴びせられる悦波に溺れながら、涙の溢れる瞳で画面を見つめた。

『おおっ、ふ、おおおっ、一緒にっ、イくよっ!』

『んひっィィッ、はぁひぃいっ! イッ、一緒にっ、いくうぅぅぅぅっ!』

見つめることしかできぬ男の、心臓が狂い鳴る。

それよりも速く、力強く、咲美と藪沼の腰が打ちつけ合う。

ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌 ヤブヌマシリーズ

『呼びながらっ!』

『ふっ、副店長っ、いくっ、いきますぅっ、あたっひぃぃっくうううッッ!』

『おおおっ、僕もっ、出すよぉぉっ!』

同時に吠えた二人の、ひときわ強くぶつかった腰と腰が、隙間なく寄り添った状態で引き攣り。

『あひっィッあああああああああぁぁぁあッッ!!』

『おおっ、おほっおおおおっ、いいぞっ、搾り取れぇぇぇっ』

のけ反る咲美の背を抱いて、そのまま藪沼が仰向けに倒れこむ。感極まった二人の嬌声が轟くさなかに、画面が切り替わった。

二人を背後から、アップで捉えたアングル。結合中の男女の股座が、画面中央に映し出されている。

藪沼の上にもたれかかる格好となった咲美の火照った尻たぶが、嬉しげに戦慄いていた。その谷間に、根元まで肉勃起を押し入れている藪沼の、玉袋が覗く。そこも咲美同様に喜々と震えを発し続けており。二人共に享楽の高みへと上り詰め、未だにそれを堪能し続けているのだと、知らされる。

──咲美の中に、藪沼の体液が注がれた。

認めたくない、けれど認めざるを得ない明瞭な証拠が、白く濁った粘性種汁が、未だ緩やかに突き蠢く男のペニスに絡みついて、掻き出されている。その垣間見えた分からも、藪沼の、三度目とは思えぬ精液の濃厚さ、粘り気、量の多さが窺えた。

(床にぶちまけられた僕の精子とは段違いの、それが咲美の体内に泳いで……っ)

受け入れた膣肉も、甘えるように未だ摺りつき、味わい食むように蠕動を続けている。

『はひっ、ぃっ、ぁ……ン……は、ぁぁぁっ……』

男が延々腰を震わせるそのたびに、愛妻もまた大きく身震いし、汗だくの尻がうねるのをやめないでいる。下がった目尻から涙を、開き通しの口唇からはか細くも喜色満面な喘ぎを漏らす、咲美。彼女が至福の中にあることは、間違いない。誰よりもつき合いの長い夫だからこそ、疑えなかった。