ヤブヌマ 侵食されゆく妻の蜜肌

咲美の両の手が、藪沼の胸を押し剥がそうと懸命に足掻いている。一方で、投げ出されたままの彼女の両足は、ただ震えるばかり。

藪沼の手で大きく前を開けられた浴衣から、こぼれ出た双乳。足掻くたび弾むそこから、溜まった汗と熱が放散されている。

『ねっ?』

勃起し通しの乳頭を指腹で摘まみ、捏ねながら、藪沼が腰を振るう。時折膣口を掻き混ぜる動きを織り交ぜて、勝手知ったる蜜壺内を好き放題、エラ張りの亀頭で摺り上げ、奴は喜々と腹を揺すり、腰を振るい続けた。

『そっ……んっ、なっ……あァ……ッ!』

『いいよねっ?』

また、一歩。逸物が膣壺に埋まった。すでに三分の一ほどが埋没した状況で、それより先に一気に侵攻することなく、抜き差しされるたびにべっとりと蜜を纏う幹を誇らしげに見せつけて、焦らしのピストンが続行される。

『嫌なら……抜いちゃおっか』

不意にそう言い放って、藪沼が腰を引く。ずるりと大半抜け出た肉棒が雄々しい脈を打ち放つ。

『やっ……ひッ、あァ───ッ……!』

一気に引き抜かれた際、嵩高の雁首に強かに擦られた。その衝動に否応なく喘がされた咲美の顎が上がる。ずり上がっていた胴にも喜悦の痺れが巡り、逃走の動きを止められた。

『……どうしたいのか言ってくれなきゃ、わからないな』

一歩、また一歩。膣内に舞い戻りながら、下種男が囁く。同時に乳首を捏ねる動きも活発化し、咲美の煩悶を誘う。

『ふっ! うぁ……、あ、やぁぁ……』

なお耐えようと懸命の彼女が首を横に振る。敷布団上に投げ出された彼女の両足が、シーツを引きずりピンと突っ張った。そのさまは刺激に耐える準備とも、甘受しようとしていることの表れとも受け取れる。

『嫌なんだ? じゃあ……』

一気に三歩分。藪沼の腰が引け、剛直が抜き出された。

その瞬間にも、咲美の首が、おそらくは無意識のうちに激しく左右に振れた。

『じゃあ、いいんだねっ?』

ズッ、と強めに藪沼の腰が押し出される。同時に奴の指が、咲美の左右の乳首を抓るように強く摘まんだ。

『ちっ、違っ、あっあぁぅっうううっ』

咲美は、胸と股とを同時に見舞った甘苦しい痺れに呑まれてしまい、拒否の言葉を明朗に告げられず。その間にズブズブと、逸物が半ばほどまで膣壺への侵攻を果たす。

(咲美は……耐えられると、思うか?)

──思いたい。信じたい……けど。

──思えない、な。

切にすがった自問に、無碍な自答が返される。

諦観を伴わぬ確信が、望まぬ昂りを肉の竿に孕ませた。知らず知らずのうちに、再び握ってしまうほどの、苛烈で卑しい疼きが、擦り立てるにつれて、倍加する。

『もうここまで入ったんだから……いいよねっ? ねっ?』

『やぁ……あっ! ま、待っ』

待ってと、告げる時間すら咲美には与えられなかった。

藪沼の腰が目一杯、迫り出してゆく。

『ンヒッッ!!』

先走りのつゆでぬるつく亀頭に、膣奥をぶたれた途端。嘶く咲美の瞳から涙が、貫かれた蜜壺からは、とろみの強い蜜が滴った。

『ほらっ? あったかいでしょ、チンチンの熱、わかるよねっ?』

『やっ! やぁぁぁっ』

子供のように首を振る咲美を見下ろして、奴が意地の悪い笑みを浮かべている。

『ほらっ、ほら、ほらほらぁっ』

『ンッ……! 嫌あっ、やめ……んヒィッ、や、ぁんっ、ひんっあっああっひッ!』

とうに準備万端、蜜たっぷりの状態で待ちわびていた膣壺を、速い回転で肉勃起が行き来する。

『あぁ……最高っ! 生だから、アサオカちゃんのオマ○コの中全部っ! よぉっくわかるよっ! きゅんきゅん締まる感じもっ、ドロドロの蜜が襞のうねりに乗って絡みついてくるのもっ、奥を突いてやると……っ』

『あああぐッッ、ひあっあっあ───っ!』

『もっとして……って子宮の口がキスしてくるのもねっ!』

藪沼の告げる猥褻極まりない膣内の有様。奴の言葉通りに突き上げられて嘶く咲美の、喜悦に震える下腹。そこにのしかかる男の腹肉がぶつかってまた、甘く蕩けた嬌声が妻の口より噴き上がる。

快楽のサイクルを、映像の中の男女が共同で生み出しているのだと思うと、手淫の手が止まらない。

不意に咲美の耳元へ顔を寄せた藪沼が、聴き取れぬほどの小声で何事かを囁く。

『い、いやっ、そんなっ……こと……っぁ、ひっ、や、やああっ、んっぐぅぅっ』

要請を拒絶する咲美の尻を、藪沼の両手が抱き留め、引き寄せ、ぴっちり隙間なく互いの股間がくっついた状態から、刺激する。藪沼自身の腰が八の字回転をしたのはもちろんのこと、掴んだ咲美の尻にも奴は同じリズムで動くことを強制した。

『お願い、言ってよっ』

痺れるような愉悦に悶絶する咲美を見下ろして、藪沼が言い募る。

『いっ、言えませっ』

『お願いっ!』

そしてまた、エラ張り亀頭で膣内を捏ね回す。さらに今度は彼女の両乳に舞い戻った指で、乳頭をやんわりと揉む。

『はぁ……っ、ぁ、はぁぁ……っ、いやぁぁっ』

強弱を使いわけての攻めに、咲美は対処の切り替えを寸断なく迫られる。熱い吐息が断続的に漏れ落ち続けるその口端から、よだれが糸状に滴った。

『ねっ! お願いだからっ!』

『んひぃっぃぃいんっ!』

続けて二度、膣奥を摺り上げられて、彼女の全身が派手に震えた。縦に弾んだ乳房を藪沼の手に抱き留められ、優しく揉み捏ねられた瞬間から、咲美の両手が、男の背にしがみつく。すでに、生挿入を拒む面持ちはどこにもない。